国家安全保障会議の設置、それに関連した特定秘密保護法の制定……。安倍政権は、着々と安全保障体制を築いている。しかし、日本が諸外国に比べて、まだまだ安全保障の面が甘いことは間違いない。特に情報面、つまりは「サイバー戦争」に対して、日本は無防備といっていいほどなのだ。
では、この「サイバー戦争」とは、どのようなものか。東大名誉教授の月尾嘉男さんにとことん話を聞いた。
「サイバー戦争」では、コンピュータ・システムやインターネットを利用し、目標のコンピュータやネットワークに侵入し、データを盗んだり、改竄あるいは破壊したり、攪乱したりする。そして敵のシステムを機能不全に追い込む。恐ろしいことに、敵のシステムに侵入し、必要な情報を盗んでも、プロはまったく痕跡を残さないのだ。
原理的には、インターネットにつながっているコンピュータなら必ず侵入できる。実際、世界ではたびたびサイバー攻撃が起きている。2007年には、バルト三国のエストニアがサイバー攻撃された。銀行のオンラインシステム、政府の電子サービスが停止して、大混乱に陥ったのだ。2009年には、アメリカや韓国も、サイバー攻撃を受けている。
このような状況に対処するため、各国は「サイバー部隊」を配備している。そのなかで、もっとも進んでいるのは、やはりアメリカである。90年代初めには、すでに戦争情報センターという組織を作っているのだ。そして、国防大学では、サイバー戦争指揮官を養成するコースを設置している。2010年には、アメリカサイバー軍を作り、要員はなんと10万人規模といわれている。アメリカに次いでサイバー部隊が進んでいるのが中国だ。こちらは数万人規模といわれている。
一方、日本はどうだろうか。2013年5月、「サイバー防衛隊準備室」をようやく設置したところである。完全に出遅れているのだ。なぜ、日本はこんなに遅れているのか。その原因のひとつは、なんといっても憲法9条だろう。憲法が国の交戦権を認めていないため、日本は「サイバー防御」はできても、「サイバー攻撃」ができないのだ。
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