米国政府が、iPhoneのロック機能を解除するためにバックドア(裏口)の設置を要請したことに対して、アップルのCEOティム・クックが取った姿勢はIT業界を味方につけたかもしれないが、連邦政府はそれを全く認めていない。サンバーナディーノで起きた、銃乱射事件の容疑者のiPhoneにアクセス権を与えることを認める要請について、クックCEOが公に拒否したことに対して米司法省は反論し、提出した書類の中で「そのビジネスモデルと、公へのブランドマーケティング戦略を気にしているように見える」と主張した。
アップルと米司法省の対立の中心となるのは、2015年12月にカリフォルニア州のサンバーナディーノで起きた銃乱射事件の攻撃者の1人である、サイド・リズワン・ファルークのiPhoneだ。
FBIは動機とテロ組織とのつながりの可能性を捜査しており、それらの捜査の一環として、ファルーク容疑者のiCloudのアカウントにもアクセスした。だが、容疑者のiPhoneにはiCloudアカウントにバックアップされていない情報を含んでいる可能性があるとして、当局はアップルに装置のパスワードを解除するための協力を要請したと主張している。
アップルがこれを拒否すると、米司法省は裁判所に申し立てを行い、今週始めにはiPhoneのロック機能解除に協力する裁判所命令が出されるに至った。クックCEOは声明の中で、今回の件について独自の装置を作るということは、今後装置にアクセスできる前例を作るようなものだとして「我々は、法律上の問題を超えた影響を及ぼすこの命令に反対する」と主張した。これについて、GoogleやFacebook、Twitter幹部らはクックCEOの対応を支持している。
米司法省は2月19日に反論を行い、バックドアについての全ての話は巧妙なまやかしであると主張した。また一方で、連邦政府はiPhoneのセキュリティ環境について明らかに不満を表明し、「アップルはデータのアクセスを制御するために、法律よりもその技術を許してしまうような商品をデザインし、市場に出しているように見える」と記した。現在検察は、アップルに裁判所の要請を受け入れさせる裁判官を必要としている。