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最近イギリスでは、イギリスの宇宙飛行士が初めて国際宇宙ステーションを訪問したり、『スター・ウォーズ』が超大々的に公開されたりと、密かな宇宙ブームが到来しているのをご存知だろうか。

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http://getnews.jp/archives/1331020 [リンク]

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そんな中、宇宙ブームの火付け役となったのかも知れない特別展示が、ロンドン観光の目玉の一つサイエンス・ミュージアム内で行われているとの情報を察知。筋金入りの宇宙野郎を自負する筆者はすぐさまサイエンス・ミュージアムに急行し、そしてとんでもなく良い展示を目の当たりにして感動したので、「これはガジェ通で紹介しなければならない!」となった次第だ。その名も『Cosmonauts: Birth of the Space Age』(ソ連の宇宙飛行士たち:宇宙時代の始まり)。とにかく素晴らしい宇宙展示だったので、宇宙好きの方には是非最後まで目を通していただきたい!!

期間 2015年9月18日~2016年3月13日
料金 £14
※公式サイトはこちら
http://www.sciencemuseum.org.uk/visitmuseum/Plan_your_visit/exhibitions/cosmonauts.aspx

※公式プロモーション映像

そもそもサイエンス・ミュージアムとは

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その前に、そもそもロンドンのサイエンス・ミュージアムとは一体どんなところなのか、最近の動きとともに軽く触れておきたい。

名称 Science Museum
住所 Exhibition Road, South Kensington, London, SW7 2DD
最寄りの駅 地下鉄サウスケンジントン駅より徒歩5分ほど
営業時間 10時より19時(最終入場は18時15分)
入館料 無料(ある程度の寄付が推奨されているが任意)
公式サイト http://www.sciencemuseum.org.uk/home.aspx

産業革命以降の科学・工業・情報技術の展示がメインとなっているロンドン屈指の名門博物館であり、数多くの極めて貴重なコレクションを有する大型施設でもある。歴史ある外観とは裏腹に、中は非常にモダンでクールな雰囲気で統一されており、SFチックな展示箇所もある。また大型のIMAXシアターも併設されており、定期的に一般映画の上映も行っている。目玉は博物館エントランス部に鎮座している19世紀中頃に開発されたコーリス蒸気機関。1日に数度、モクモクと蒸気を吹き出しながら実際に稼働する様子を間近で見学し、蒸気機関を肌で体感することができる。

宇宙イベントも大盛況inロンドン

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パブリックビューイングに集まった人たち

せっかくなので、最近ここで行われた宇宙イベントも紹介しておこう。意外と思われる方も多いと思うが、今までイギリス人の宇宙飛行士が国際宇宙ステーションを訪れた事がなかったのだ(アメリカとの二重国籍で宇宙へ行った飛行士は多い)。とにかくイギリス初の快挙という事で、12月15日に行われたロケット打ち上げはイギリス中で大盛り上がり。あの高級新聞『THE TIMES』紙も2日連続で一面で報じるなど、その注目度は非常に高かった。日本人宇宙飛行士・油井亀美也さんが帰ってきたばかりだが、Tim Peake氏はそれと入れ替わる形で宇宙に飛び立ったのだ。

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(ソユーズ宇宙船から宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに乗り込む際のライブ映像)

そんなこともあり、サイエンス・ミュージアムでは打ち上げ日に大規模イベントを実施。打ち上げのライブパブリックビューイングや、人類初の宇宙遊泳を行った旧ソ連の英雄・アレクセイ・レオーノフ氏の講演(ちなみ公式サイトに超貴重な講演音声がアップされている)など多数のイベントが実施された。さらにイギリスらしいのが、なんとこれらのイベントを深夜にアルコールとともに楽しむ事ができるという大人っぷり。イギリスでは公共の施設がアルコールを提供するのが当たり前になっており、ビール片手に博物館を自由に歩き展示物を鑑賞できる素晴らしい風土があるのである。

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科学博物館、というと日本では「子供のための場所」のような印象を持つが、ロンドンでは大人も大ハシャギできるよう、アルコールが可だったりオールナイトで開放してクラブイベントを開催していたりと、非常にアクティブなのが特徴だ。

なお、この2日後には同じくサイエンス・ミュージアム内のIMAXシアター新作『スター・ウォーズ』の上映も封切られ、筆者はもちろん参加。その際の様子も記事にしてあるので、興味のある方はチェックして欲しい。

【最速レビュー】新作スター・ウォーズをフィルムIMAX劇場で見てきた!【ロンドン】
http://getnews.jp/archives/1311635 [リンク]

特別展示はソ連そのまんま!宇宙を感じろ!

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ここからは本題のソ連宇宙開発特別展示『Cosmonauts: Birth of the Space Age』について紹介していこう。

Cosmonautsという名前が指し示すとおり、本企画展示はソ連の宇宙開発、特に1950年代~70年代を中心とした初期の宇宙活動に焦点を当てている。情報を積極的に公開していったアメリカと異なり、当時のソ連の宇宙開発はベールに包まれていて、今でも謎が多いのが特徴だ。

しかし、この展示では初めて目にするような史資料が多く公開されており、また展示方法もソ連時代のプロパガンダを彷彿とさせるようなアヴァンギャルドな構成となっていたのだ!例えば、宇宙開発の父・コンスタンチン・ツィオルコフスキーの直筆手稿や宇宙ステーションのスケッチ、セルゲイ・コロリョフの巨大絵画、または壁一面にソ連の歴代宇宙服が飾られていたり、巨大な真っ赤なショーケースの中に3人乗りの宇宙船が展示されていたりと、とにかくド派手だったのが印象的だった。

だが、残念ながら特別展示フロアは撮影禁止。非常に貴重な展示物も多く、ネット等では見ることが出来ないような資料も多かったので心惜しいが、以下に”イメージ”として、だいたいどのようなものが展示されていたのかを紹介していく。

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(画像は同一モデル。モスクワの宇宙飛行士記念博物館にて撮影)

注目ポイントその1・ルノホート
ソ連が当時の技術の粋を結集して作り上げた、人類初の無人月面探査車両。
おわん型の太陽電池パネルが極めて特徴的な、バスタブのような形をした探査機だ。最近アメリカの探査機に抜かれるまで、長らく月面での走行距離の記録を保持していた。正面から見るとゆるキャラの様な顔をしていて可愛らしい。

注目ポイントその2・ボストーク6号&ボスホート1号
ボストーク6号は人類で初めて宇宙に行った女性・テレシコワ宇宙飛行士が乗った船として有名。ボスホート1号は史上初めて複数の人間を載せて宇宙へ行った船。もちろん実物だぞ!真っ赤なケースに入れてあり、さながら「デススター」のような様子。

筆者的に最も感動したのが、ソ連の『幻の有人月着陸船・LK-3』が展示されていたことだ。ご存知の通り、月に人間を送り込んだのはアメリカだけ。ソ連にも計画自体は存在したものの、度重なるロケットの問題で計画は頓挫。同じく月を目指したアポロ計画の船とは大きく異なり、ソ連らしい曲線を多様した美しい独特の外観は、ロシアから送られてきたと言う事もあり一見の価値アリ!

その他にも珍しい展示物が目白押しで、ソ連式の宇宙冷蔵庫、犬用宇宙服、ソユーズのカプセル、歴代の船外活動宇宙服などがカッコよく展示されている。
ネタバレなので伏せるが、最後の展示ルームにはとてつもなくインパクトのあるモノが飾ってあり、『2001年宇宙の旅』を連想させる強烈な空間が広がっていたぞ!

常設展示も見逃すな!

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今回、ソ連の宇宙開発をじっくりと堪能出来たのは非常に素晴らしい経験だった。しかし、ここロンドンでしか経験し得ないであろう、素晴らしい展示が他にも備わっていたのだ。それが1階「航空宇宙」常設展示コーナーにあるアポロ宇宙船と月着陸船だ!

サイエンス・ミュージアムにはもちろん常設展示として航空宇宙コーナーがあり、イギリス国産ロケットやアポロ計画で使われたサターンVロケットの3段目エンジン、ロンドン市民を恐怖のどん底に陥れた最初期のロケットV-2など貴重なコレクションが多数ある。なかでもこの「アポロ月着陸船」は実物大レプリカとして博物館にどデカく鎮座している。筆者は先程見たソ連の月着陸船「LK」と比較して、その巨大さに目を疑った程だ。今まで何度か目にしたことのある宇宙船だったが、ソ連の物と比較してここまで巨大だったとは、改めてアメリカの技術力の高さを身に沁みて感じる事ができた。おそらく、ソ連の月着陸船とアメリカの月着陸船の大きさを実際に比較できるのは、世界でもここだけなのでは無いだろうか。

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こちらは月の上空スレスレまで行ったアポロ10号司令船「チャーリー・ブラウン」の本物。同様に、先程見たボスホートとボストーク、さらにはソユーズと比較してもその巨大さがよく分かる。ソ連、アメリカ双方の宇宙開発における記念碑的な遺物を同時に見学できるのは、そのどちらでもないイギリスだからこそ可能な環境なのかもしれない。次にまたいつ訪れるともわからない機会なので、宇宙好きはこのチャンスを逃すな!

率直な感想

我々が普段目にしているアメリカの宇宙開発とは大きくかけ離れた様式に、度肝を抜かれる事数度。ただでさえ興味深い展示物が、博物館先進国イギリスの卓越した展示方法によって更に魅力的に楽しむ事ができた。入場料は日本円にして約2800円と決して安くはないが、ソ連の宇宙開発の象徴ともなる展示物をまとめて同時に鑑賞できるのは、滅多にあることではない。筆者は今までアメリカ・ロシア双方の数多くの宇宙関連博物館を渡り歩いてきたが、それらと比べても非常に高品質な展示内容だったと断言することができる。ただ技術的な側面を見るのではなく、プロパガンダを含めソ連の精神性まで垣間見ることができるのが特に素晴らしい。

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モスクワにある、チタンでその全てが覆われた記念碑・通称「宇宙征服者のオベリスク」。ソ連の宇宙開発の栄光を象徴する、100mを超える巨大な塔だ。ソ連の宇宙開発は、とにかく象徴性に富む。

お土産がアツい

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最後の展示ルームを出ると、お土産コーナーが待ち構えている。お土産コーナーには誰でも立ち寄れるので、ここからは写真を交えて紹介していきたい。このお土産からでも、十分に展示内容を連想することができるのではないだろうか?

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まず圧巻なのが、壁一面に敷き詰められた宇宙開発プロパガンダのポスター。

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ソ連のポスターなどをモチーフにしたTシャツなどのアパレルも充実。これでロンドンの街を歩くと間違いなく様になる。

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極めつけは宇宙飛行士が実際に着用したジャージのレプリカも。

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マグカップにソ連象徴主義風に描かれたサイエンス・ミュージアムがかわいい。

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こちらはロシア人らしく一気にウォッカを楽しめそうなスプートニク・ショットグラス

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ロンドンらしいポップアート風ライカ犬のスカーフ

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「英雄」ガガーリンの缶バッチなど小物類も充実

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こちらは可愛く現代風にデフォルメされたソ連象徴主義コースター

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ポストカードセットはなかなかの出来。とにかくカッコいい!

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チタンの様な輝きでコーティングされたコーヒーカップ。ソーサーに描かれた宇宙遊泳するアレクセイ・レオーノフがカップに映り込む逸品。

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スプートニクからソユーズまで、ソ連ロケットの進化の過程を表したTシャツ。

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企画展示から宇宙に行った犬・ライカ犬猛プッシュだったので、ついおみやげにライカ犬ぬいぐるみを買ってしまった筆者。かわいい。

如何であっただろうか?ソ連の宇宙開発の歴史展『Cosmonauts: Birth of the Space Age』。近年日本でもアニメの影響などで徐々にソ連カルチャーが浸透してきているが、実際に宇宙開発などガチなソ連を体感すると、その独特過ぎるテイストに驚くはず。オシャレというよりもパワフルなソ連カルチャーとその宇宙開発。未知の世界に挑戦したソ連の姿勢には、宇宙開発そのものに興味がなくても、きっと何らかのインスピレーションを受けるはずだ。
モスクワはちょっと、というそこのアナタ。ロンドンに立ち寄った際は訪れてみてはいかがだろうか。

※画像は許可のもと全て筆者撮影

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