12月上旬の先行受賞やノミネートの騒動がひと段落した今、2015年の賞レースでまったく相手にされていなかった作品が突如として注目を浴びる形となった。その映画とは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だ。
米ワーナー・ブラザースが手掛けたこの大ヒット作品は、全世界で3億7500万ドルもの興行総収入を記録し、先週開催されたナショナル・ボード・オブ・レビュー(NBR)で作品賞を受賞しただけでなく、ロサンゼルス映画評論家協会(LAFCA)が選考する第41回LA映画批評家協会賞でも、映画『スポットライト』に続き作品賞の次点となった。さらに重要なことには、同作は12月10日(現地時間)の朝に発表されたゴールデングローブ賞の候補一覧で、フォックス・サーチライト・ピクチャーズの期待作『Brooklyn(原題)』に僅差で勝利して作品賞(ドラマ部門)のリストに載り、ジョージ・ミラー監督はスティーヴン・スピルバーグ監督(『ブリッジ・オブ・スパイ』)やクエンティン・タランティーノ監督(『ヘイトフル・エイト』)などの強敵を押さえて監督賞にノミネートされた。
来月アカデミー賞が候補一覧を発表するにあたり、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が存在感を示す可能性は非常に高い。2010年より作品賞のノミネート数が10作品に増えたこの賞レースにおいて、同作がハリウッド最高の賞を争うことは初めてだが、受賞の可能性は高いと見られる。そして監督賞の獲得レースにおいても、同部門から非常に愛されているジョージ・ミラー監督が、トーマス・マッカーシー監督(『スポットライト』)、リドリー・スコット監督(『オデッセイ』)、トッド・ヘインズ監督(『キャロル』)、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督(『レヴェナント:蘇えりし者』)らと共にノミネートされる可能性が考えられる。
同時に、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は編集賞、撮影賞、美術賞、録音賞、衣装デザイン賞、音響編集賞、視覚効果賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞のような技術的なカテゴリーでも評価されると言っていいだろう(主演女優賞の獲得レースで、シャーリーズ・セロンが受賞する可能性は低いかもしれない)。
もし投票権を持つ映画芸術科学アカデミー会員がとりわけ寛大であれば、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は最多10部門でノミネートされるはずだ。どの作品がトップに立つか? それを言うのは難しい。しかし、数週間のうちに同作が『キャロル』や『スポットライト』、『Room(原題)』のような、従来のハリウッド型の作品より多くのノミネートを受けたとしても驚かないだろう。
今のところ、映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に勝算があるのかと言われれば、その可能性は、ほとんどないように思われる。しかし、オスカーシーズンの賞レースは始まったばかりだし、今年の全米映画俳優組合賞(SAG賞)のノミネーションが異例なものだったという教訓もある。アワードシーズンのダークホースである映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、スピードを増し続け、止まることはないだろう。
本紙ヴァラエティによる、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ジョージ・ミラー監督のインタビュー動画はこちら。
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