あなたは沼津という街をご存じだろうか。静岡県東部、伊豆半島の北部に位置し、駿河湾に面した港町だ。漁業が盛んで、全国でもトップ20に入るほどの漁獲高を誇る。東京から東海道新幹線などを乗り継ぎ2時間程度で行けることから、かつては“海のある軽井沢”として名を馳せ、多くの有名人が別荘やペンションを持っていて、市街地などは買い物客や観光客でにぎわっていた。
しかし、その沼津が変化しつつある。沼津は今、2つの大きな問題を抱えている。
1.市街地の衰退化
まず1つは、市街地の衰退化だ。ここ十数年で郊外に相次いで大型店舗が出店し、人の流れが市街地から郊外へと大きく変わってしまった。かつて駅前にはニチイや長崎屋、マルイや西武などの有名デパートが軒を連ね、西武百貨店に至っては、沼津駅前の一等地に店舗を構え、池袋本店に次ぐ2号店であった。
しかし、これらのデパートは採算がとれず、1990年代後半から2000年代にかけて次々と撤退していった。西武百貨店も2013年1月に撤退した。残ったのは駅から少し離れた場所にあるイトーヨーカドーのみになってしまった。
また、沼津駅前にあるアーケード商店街・沼津仲見世商店街も空き店舗が目立ち、“シャッター商店街”化しつつある。
行政や商店街の側もイベントなどを通じて市街地の衰退化を食い止めようとしているが、なかなか成果が出ていない。
2.沼津駅の高架化
高架化という問題も沼津は抱えている。
高架化とは、沼津市が進める「沼津駅周辺総合整備事業」のメイン事業として現在地上に設置されている沼津駅を高架駅駅化し、駅周辺の区画整理や再開発を図る目的で1991年から構想に着手し、2006年11月に静岡県から事業の認可を受け、2022年に完成予定である。しかし、この高架化に伴って現在沼津駅に設置されている貨物駅が移転する予定であり、その移転先の住民が列車の騒音などを理由に反対していることや、高架化に多額の税金が使われることなどでも反対意見がある。
ただその一方で、衰退しつつある市街地の活性化の起爆剤になるのでは、と高架化を歓迎する声もあり、街を二分している。
希望の光も……
これらの問題を抱えている沼津だが、一筋の希望の光が今、射している。
冒頭でも取り上げたように、沼津は港町として栄えてきた側面がある。その沼津港が近年再整備され、沼津港は観光地へと変化を遂げた。休日には、貴重な深海魚を展示する水族館や新鮮な海の幸を楽しむ観光客が増加しつつあり、観光関係者は期待を寄せる。
一筋の希望の光は射しているが、依然として市街地の衰退化と沼津駅の高架化という2つの大きな問題を抱えている沼津。しかし多かれ少なかれ、どの地域も何らかの問題を抱えている。国際情勢や国政の問題に目を向けるのも重要だが、このような地域が抱える問題にも積極的に目を向けて考えるのも重要ではないだろうか。
※文中の画像は5枚目を除き、著者撮影。5枚目は『写真素材 足成』(http://www.ashinari.com/)より。
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