内閣府は、去る1月15日に平成27年の自殺者が23971人であることを公開しました。
問題となっていた年間3万人より減ったわけですが、とはいえ、この数字は異常ともいえる数字です。
多くの社会学者や自然科学者は、人が自殺に至るには様々な原因があると指摘しています。貧困や失業といった社会保障問題もそうですが、多くの自然科学者が指摘するのは慢性の睡眠不足です。
もっとも、慢性の睡眠不足には複数の精神神経疾患が関与しているケースも珍しくありません。
したがって、慢性的な不眠は自殺を引き起こすリスクが高いことがわかっているものの、様々な配慮が必要であり、複数の対策が求められています。1966年から2011年に発表された睡眠問題と自殺リスクに関する論文で対象となった147753名を解析したところ、慢性的な不眠がある方は希死念慮(死にたいと考えること)があり、実際に自殺を試みるリスクが約2倍になることがわかりました。
また、十分な睡眠をとれないほどの悪夢を見る傾向が強い人は約1.7倍に上昇することが明らかになっています。
まずは、熟睡できないことを自覚するようになったら、精神科や診療内科の医師に相談するとともに、職場での問題は労働基準監督署や労働組合というように、一つ一つ心当たりのある原因をつぶして対策していくことが重要です。
本人がつらいほどの睡眠不足は、まずは医師に相談することが重要です。
米国薬物乱用・精神衛生サービス局から「Warning Signs of Suicidal Behavior(自殺の危険なサイン)」という報告書が出されています。
ここでも、不眠が自殺のリスクを高めることを指摘しています。
自殺の前兆の可能性となる危険なサイン
1・周囲の人物に自殺をほのめかす
2・ネットや書籍ほか、その他の方法で、自殺の手段を探している
3・絶望感に常に支配され、生きる意味がないと考え、周囲の人にそのことを話すことがある
4・常に追い詰められた気分があり、苦痛を感じ、周囲の人に訴えることがある。
5・家族や周囲の負担になっていると感じ、常に苦しいと感じる。
6・アルコールや、精神を安定させる薬の服薬の増加
7・不安感や焦燥感が常にあり、衝動性に駆られた行動に走る。
9・強い不眠、もしくは過眠がみられる。
10・周囲の人との接触を避ける、もしくは疎外感を感じ、執拗に人との接触を求める
11・激情しやすく、被害にあったと解釈しやすく、そのような状態に陥ると復讐することを頻繁に考えるようになる
12・気分の浮き沈みが激しい。
1と2以外は、衝動的な自殺が考えられる人に特有な症状ではありません。安定した精神疾患であるうつ病や不安障害、PTSDなど多くの精神疾患に広くみられます。
しかしながら、それでも、上記の症状が重なっている時は、衝動的に自殺に踏み切ることがあるとされています。
悪夢は心に負担がかかりすぎているサイン?
また、悪夢(悪夢の定義は人それぞれになりますが)、睡眠を妨げるほどの苦悩を伴う夢を見る場合は、上記のリスクの一つになりうるといわれています。
雇用や失業、家族や恋人の問題など、自覚できる問題以外がなく、これらの不眠や悪夢が続くようなら、医師に相談することがベストでしょうね。
昔から、精神神経疾患の治療に使われるある種のお薬は、なぜか悪夢を見やすいと言われてきました。
すでに、病院にかかっている方も、不眠や寝苦しい夢ばかり見る時は、すでに処方されている薬の影響もありうるでしょう。
具体的な症状をよく話して、治療方針を検討してもらうほうがいいでしょうね。
※写真はイメージ 足成 http://www.ashinari.com/2011/07/05-037350.php より
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