2011年3月11日の東日本大震災は、近代史にない未曽有の被害をもたらしたといっても過言ではないかもしれません。
あれから4年。復興は進んでいますが、まだ十分に以前の状態まで戻っているとはいえません。。
現在進行形で処理が続いている福島第一原発の問題をはじめ、住宅などのインフラの復旧や雇用の問題など、解決すべきことが多数残っているのが現状です。
その中で、驚くべきレポートがあります。
公衆衛生学の専門家である東北大学の東北メディカル・メガバンク機構の宝沢篤教授がまとめた2014年度の健康調査結果によると、昨年より健康状態が改善した方は増えているものの、抑うつ状態などの精神神経疾患の症状を示す患者さんが多いことが明らかになりました。
宝沢教授らがまとめた分析の手法は、成人男性17000人にアンケートを行い、約7500人に尋ねた前回のデータと比較して、統計的な処理を行ったもの。
その結果、気分がふさぎこむといった抑うつ症状を訴える人は、沿岸部が26.0%、内陸部が24.4%です。
2013年度は、沿岸部が30.0%、内陸部が25.5%ですので、改善はしているものの、沿岸部の方のほうが抑うつ症状を訴える方が多いことがわかります。
また、震災を思い出して仕事が手につかなくなるなどといった症状を訴える心的外傷後ストレス障害(PTSD)を訴える方は、沿岸部では3.0%、内陸部では2.4%。2013年度は、沿岸部が5.0%に対し、内陸部が2.4%となっており、状況は抑うつ症状と同様の傾向が見て取れます。
明確な論拠はありませんが、沿岸部のほうが、不調を訴える方が多いのは、津波被害を目の当たりにされた方が多いからではないでしょうか。
今回の調査は、母集団の数が17000と少ないです。したがって、このデータよりも医師の治療が必要な精神神経疾患症状に悩む方が多いのではないかと推測されます。
震災から5年目に入りました。
このデータを見るにつけ、東日本大震災の規模の大きさが改めて理解できる気がします。
同時に、あの震災によって、医療を受けるべき方が見落とされていないか、改めて検証する必要がありそうですね。
※写真はイメージ 足成より http://www.ashinari.com/2012/12/24-374424.php
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