2020年東京オリンピックの経済効果:1964年との比較で考える
オリンピック関連の支出は経済に大きく関与する為、2020年のオリンピックの経済効果と1964年に開催された前回の東京オリンピックとの対比してみたいと思います。
参照:公益社団法人日本経済研究センター
【2020年東京オリンピックの直接経費・間接経費】
現在、2020年の東京オリンピックの諸経費は運営経費が8,200億円に上ると見込まれています。加えて、競技施設の建設・修理には6,800億円が予定されています。緊急事態に備えて、1,000~3,000億円の予備費も計上されています。オリンピックの直接経費に相当します。
参照:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会2016
オリンピックにあわせて、インフラの整備も進められます。首都高速道路の改修の他、鉄道新線の開設・在来線の延長、成田・羽田空港の拡張があります。これらインフラ投資の総額は2~3兆円になると見込まれています。オリンピックの開催に伴う間接経費です。
参照:みずほ総合研究所、2017
このらを計上すると、オリンピック関連の経費総額は4.8兆円前後と見込まれます。2020年度におけるGDP試算値の0.8%以下に相当する額です。ただ、これらの経費は計画段階の見込みであって、実際の経費は最終的にはもっと膨れ上がるのがこれまでの通例です。したがって、実際はもっと大きくなる可能性があることは念頭に置いておく必要がありそうです。
民間部門でもオリンピックに誘発された投資等が見込まれます。ホテルの新設や改装のために0.8兆円、都市再開発で4.8兆円、合計6兆円前後の投資が行われると試算されています(日本銀行、2015)。外国人旅行者による支出の増加も期待されます。これまでにも外国人旅行者は増加してきていますが、オリンピックによってさらに外国人旅行客を誘致することができれば、経済効果も加速することができそうだと思います。
【1964年東京オリンピックの直接経費・間接経費】
1964年の直接経費は、運営費100億円と競技場の建設・修理170億円を合わせ、総額270億円だったそうです。オリンピックのためのインフラの整備のための間接経費は、東海道新幹線の開通、首都高速道路の延伸、地下鉄の延伸、上下水道の整備を含め9,610億円にも上りました(当時の貨幣価値;オリンピック東京大会組織委員会、1966)。
以上の総計は9870億円となります。これはGDP比で3.1%に相当されます。2020年の東京オリンピックの予想経費がGDP比で0.8%であったのに比べると、その規模の大きさが想定出来ます。
1964年の場合はオリンピックだけで2020年のようにパラリンピックを開催していません(両方を相次いで開催するようになったのは1988年のソウルオリンピック以降です)。また、1964年のオリンピックは、1960年から2016年の間に開催されたオリンピックに比べると、直接経費の規模において、総額や1競技当たりあるいは競技者1人当たりの直接経費と言う意味でも、最も少額に抑えたグループに属していると評価されているそうです。
ただし、1964年のオリンピックの場合は、直接経費の規模は少なかったものの、インフラ投資を中心とする間接経費の規模において大きなものがあった為、経費総額において、1964年のオリンピックは、2020年のオリンピックを大幅に上回ることになっています。
このほかにも、民間部門ではオリンピックに誘発された投資が行われ世界的レベルの高級ホテルの建設が行われました。そのため、民間部門における誘発投資額も考慮すると、需要創出効果はもっと大きかったはずです。
【オリンピック誘致】
子供の頃はオリンピックで有名選手が世界新記録を出す事や日本選手がメダルをどの色でいくつ取得出来るかが焦点でしたが、オリンピックを誘致する事で上記の様な経済効果を生み出すとは想像していませんでした。
国の富に繋がる事業や対策がもっと有ればオリンピック後も更なる経済需要が見込めてそうですね。
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