日本は中古物件の流動性が低い
国交省の調査によると、日本の住宅市場における中古住宅の割合は15%程度にとどまるそうで、80%以上に達する米国やイギリス、約70%のフランスと比べると、日本の中古住宅は流動性が低いとのことです。近年は、人口の減少や相続放棄による空き家の増加が進み、国内で社会問題となってもいますが、流動性が低いままでは問題は深刻化していくばかりだと言われています。
なぜ中古物件は売りにくいのか
なぜ中古不動産の売買が活発化しないかといいますと、市場における古くからの慣習が問題だという見方があります。売り主と買い主の間には不動産仲介業者が介入し、売却までの手順が複雑なうえに、売買契約成立時には不動産価格の「3%+6万円」(税別)の仲介手数料が発生します。例えば2000万円(税別)の物件では66万円(税別)、6000万円(税別)の物件では186万円(税別)の手数料を仲介業者に支払わなくてはならないのです。
AIがオンラインで価格査定!
実は今、簡単に素早く物件を売却したい、という物件所有者のニーズを汲み取ったサービスがあります。それは不動産スタートアップのスムタス社が2018年10月から提供開始している「スムタス買取」です。スムタス買取では、専用サイトに物件の情報を入力するだけで、人工知能(AI)などの先端技術を駆使してオンラインで価格を査定。最短1時間で買取価格を提示してくれます。買取価格に納得すれば、そのままWeb上で売却の手続きが完了し、実質最短2日で売却契約と入金まで出来るようになるそうです。従来、中古物件の売買では、売り出しから販売価格が決定するまで平均1~2週間程度、売れるまでは平均3カ月から半年程度の時間を要するのが一般的でしたが、前述と比べると大幅な時間短縮が図れます。不動産仲介業者を介さないので、仲介手数料もかからない、中古不動産の「売り難さ」を取り除いた革新的なサービスです。
VR(バーチャルリアリティ)で内見ができる
また、今まで賃貸で部屋を借りるときは、不動産屋に足を運び営業マンと物件を見に行く、というのが一般的な流れでしたが、現地まで行かずにVR技術を使って物件の内見ができる「VR内見」というサービスを提供するスタートアップも出てきました。独自の撮影アプリを使って360°撮影を行い、物件のVR動画を作成。営業スタッフも客と同じVR映像を一緒に視聴しながら接客するというもので、現地に行かずとも間取りや広さ、日当たりなどを自分の感覚として体験でき、顧客満足度の向上や、成約率のアップに効果がでるようです。またその会社では、家具や小物でモデルルームのように演出して物件の価値を高める「ホームステージング」を、VRで実現する「VRホームステージング」サービスも提供しています。全ての物件をおしゃれに演出することはコスト的に難しいですが、VRなら低コストでホームステージングが実現できます。また、複数パターンのインテリアコーディネートを用意できるほか、家具の配置も簡単に変えられるなど、リアルのホームステージングでは不可能な付加価値を提供することも可能になったのです。
不動産業界にもテクノロジーの波が来ている
今○○テックという言葉を新聞やネットで良く目にするかと思います。代表的なところでいうと金融(ファイナンス)とテクノロジーかけたフィンテックが有名ですが、不動産業界の場合は不動産=リアルエテートとテクノロジーをかけてリーテックと呼ぶそうです。リーテックスタートアップは今増えているようですから、上記のような便利なサービスがどんどんこれから増えて、より不動産市場は活性化していくでしょう。