不動産投資コラム

【マンション経営コラム|第92回】自家用車は資産?負債?意外にかかっている生涯経費

2018/01/12 08:59 投稿

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突然ですが、あなたは「車」を所有していますか?

公共交通機関の有無など住んでいる地域の交通事情によりますが、自家用車を持っている方も少なくないでしょう。便利な反面、車の所有コストも馬鹿になりません。所有コストを鑑みて、あえて自家用車を所有しないライフスタイルを選ぶ人もいます。これは、カーシェアリングサービスが発達してきた1つの要因でもあります。

今回は、自動車保有台数の動向や所有コスト、所有せず借りるための費用シミュレーションなどをまとめてみました。

自動車保有台数の動向

一般財団法人自動車検査登録情報協会の「自動車保有台数推移表(平成28年)」のデータによると、自動車保有台数(乗用車・軽自動車含む)は、平成26年は約6,005万台、平成27年は約6,052万台、直近の平成28年は約6,083万台と、ここ数年横ばい状況にあります。

参考までに、ハイブリッド車・電気自動車の保有台数の推移も見ておきましょう。ここ5年間、ハイブリッド車所有は前年比118~143%で増えつづけているものの、2016年のハイブリッド車の保有台数は約558万台、電気自動車のそれは6万3,000台と、自家用車全体に占める割合はまだ少ない状況です。

自家用乗用車(登録車と軽自動車の合計)の世帯当たり普及台数にいたっては、1.064台(2016年3月末)と、2年ぶりに前年より減少しています。

クルマの所有形態として、家族(世帯)で共有する場合と個人所有が考えられますが、個人専用車のうち、50代以上を運転者とする割合が半数を超え、約6割まで増加という運転者の年齢層が上がっていることを示しているデータがあります(道路交通センサス「自動車の所有形態の変化と運転車属性の変化/2011年」より)。若者の自動車離れと言われていますが、統計データもそれを裏付ける流れとなっています。

家計に占める交通関係支出の推移

冒頭で述べたように、自家用車を所有するにはイニシャルコスト。ランニングコストがかかります。世帯収入が伸び悩んでいるなかで、住宅ローンや子の教育費などを捻出しなければならないファミリー層の家計支出の選別が進んでいるのかもしれません。

少し古い資料になりますが、国土交通省の資料を紐解くと、家計支出に占める交通費支出はおよそ10年間の間で26%減少しています(2000年8万3,000円→2011年6万1,000円 ▲26%)。有料道路料金支出にいたっては4割減という状況です。この間の家計支出全体の減少幅は11%ですので、出かける場所や行く回数、到達ルートなどの変化も相当あったと思われます。

マイカー所有・維持にいくらかかるのか?

自家用車の購入には、新車を買う、新古車や中古車を買うという選択肢があります。軽自動車か車種により価格もまちまちですし、中古車の場合、車の状態によって価格が大幅に上下します。そのため、乗り出し価格に大きな差が出てしまいますが、家族で乗るための状態の良いセダン車を中古で買うなら、少なく見積もっても乗り出し価格80万~100万円程度でしょう。自動車ローンで購入する場合、さらに金利も上乗せになります。

購入時のイニシャルコストに加えて、自家用車は持ち続ける間にかかる経費も馬鹿になりません。具体的には、以下のようなコストがかかります。

・ ガソリン代
・ 整備点検費用
・ 車検代
・ 自動車税
・ 自賠責保険や(任意)民間自動車保険の保険料
・ 駐車場代
・ 自動車免許更新費用

たとえば、コンパクトカークラスの場合、年間で5〜6万円かかります(例;1.3L 自動車税3万4,500円/重量税7,500円/自賠責1万2,915円。エコカー減税考慮せず)。ワンボックスなど大型車であればさらに費用はかさみます。

メンテナンスや保険料なども加味すると、排気量1,000cc超~1,500㏄以下のファミリーカーの場合、ざっくりですが、毎月3万〜6万円程度の維持費がかかるでしょう。

仮に、150万円の乗り出し価格の車を10年毎に借り換える(維持コスト=年間50万円)と想定した場合、一生涯にどれくらいのマイカー支出が発生するのでしょうか

【30歳から70歳まで、40年マイカーを所有】
購入コスト:150万円×4回=600万円
維持コスト:年50万円×40年=2,000万円
 総費用計:2,600万円

ちりも積もれば……ではありませんが、車を所有する累積コストがこんなにかかることに驚く方もいるのではないでしょうか。

通勤で車を使う、送迎が必要な家族がいるなどの事情があれば仕方がありません。しかし、車に乗る頻度や人数・行先などを考慮して、車を「持たない」という選択肢もあるでしょう。

身近になってきたカーシェアリング

車を持たずに「借りる」というと、レンタカーをイメージする人が多いかもしれませんが、しかしもっと手軽に、必要な時間だけ借りる方式があります。それは「カーシェアリング」です。

「カーシェアリング」とは、1台の車を複数の人で共有することです。

車両を買うお金も不要です。さらに、自動車保険や駐車スペース、整備にかかる費用負担もありません。月額基本料金と利用した時間だけ支払いが発生するので、車をあまり利用しなかった月は当然支出も減るため経済的です。

今では、全国各地にサービス拠点ができています。コインパーキングとカーシェアリングが一ヵ所にまとまったタイプ、はた目には駐車場のように見えるタイプ、マンションの駐車場に設置されているタイプもあります。

最近は、都心だけでなく全国的に広がりつつあります。たとえば、オリックスカーシェアの拠点は全国で1,397拠点あります(2016年3月末時点)。気になる方は「カーシェア お住まいの地域名」でネット検索してみてください。複数のサービス会社や拠点が見つかるでしょう。

カーシェアリングには、サービス拠点が多いことに加えて、レンタカーのように店舗での対面での借り入れや返却手続きがいらないシステムのものもあります。たとえば、事前にWEBなどから会員登録し、支払いに使うクレジットカード情報も登録します。会員になると、PCやスマホから借りたいタイプの車を予約して、24時間365日、人手を介さずに車を駐車スペースから出し入れできます。

いちいち対面で手続きを取らずに済むため、日常遣いとしてカーシェアリングを利用しようと考えている人にも便利でしょう。

所有とレンタル、コストを比較してみよう!

自家用車を所有するに比べて、どれくらい支出が抑えられるか考えてみます。

たとえば、オリックスカーシェアで月に10回、6時間ずつスタンダードクラス車を借りた場合でシミュレーションしてみましょう。

【個人Aプラン利用・1回の移動距離は20㎞、6時間パックで計算】
◎計算式 月額基本料+時間料金+距離料金-サービス料金
月額基本料:980円
時間料金(パック料金):3,500円×10回
 距離料金:300円×10回
 サービス料金:△980円
月額総利用支出=3万8,000円

利用頻度で実際には必要な支出額は変わりますが、マイカー所有の場合に比べると、車両本体にかける費用がまるまる浮くことになります。

また、費用以外にもメリットがあります。それは、車にかける手間が大幅に削減されることです。たとえば、整備や洗車、自動車保険契約・更新手続きなども不要になるため、それらにかけていた時間を別のことに使うことができます。

では、カーシェアした車で万が一自動車事故を起こした場合、その補償はどうなるのでしょうか。

一般的には利用料金のなかに保険加入コストも含まれていますが、気になる方は会員登録前に補償される内容や事故ペナルティー料金の有無などについて確認しておきましょう。

たとえば、オリックスカーシェアの場合、以下の保険・補償額が料金に含まれています(HP Q&Aより一部抜粋)。
対人:1名限度額 無制限(自賠責保険含む。免責0円)
対物:1事故限度額 無制限(免責0円)
車両 :1事故限度額 時価額(免責0円)
人身損害:1名につき 3,000万円まで
※事故対応専門窓口あり

もし補償内容が不足していると感じたら、個人で自動車保険に加入するとより安心です。

タクシーと公共交通機関を使うという方法もある

自動車をそう頻繁に使わない場合や、大都市圏に住んでいて公共交通機関が発達しているというケースもあるでしょう。大都市圏では駐車スペースにかかる費用が大きいため、マイカー所有はより慎重に検討する必要があります。

たとえば、普段は電車やバスなど公共交通機関を使って移動し、最寄り駅から目的地までの移動距離が長い時だけタクシーを利用する、夜間だけタクシーを使う……などができるでしょう。健康のためにも徒歩や自転車を活用するという方法もあります。

高くなってきたとは言うものの、東京都のタクシー初乗り運賃は380~410円程度です。たとえば、東京駅から御茶ノ水駅までの区間程度であれば千数百円程度でしょう。

参考までに、東京23区のタクシー(普通車)の利用料金がどのようになっているのかをお伝えします。

初乗り:410円で1,052メートルまで
以後:237メートル毎に80円加算(深夜加算など考慮せず)

週に2〜3回この程度のタクシー移動をしたとしても1万円前後で済みます。外出頻度にもよりますが、電車・バス代を加味してもせいぜい2〜3万円ではないでしょうか。自家用車を所有し続けるコストに比べればかなり安上がりだと感じる方もいるのではないでしょうか。

ただの節約術ではない。資産形成を目的とした合理的選択

資産形成のためには、シンプルですが以下のことが考えられます。

・ 世帯収入を増やす
・ 家計支出を減らす
・ お金に働いてもらう(運用する)

世帯収入が伸び悩む中でできることは、支出を減らし家計収支を改善することです。家計改善、節約というと、「食費」や「通信費」など日々使われるお金に目が向きがちです。しかし、効果的な支出削減方法であるとは正直言えません。

自家用車の所有コスト試算でみたように、家計支出に占める割合の高い固定費、長い間支払う費用にまず着目すべきです。ファイナンシャルプランナーが、生命保険の見直しや住宅ローンの借り換えをすすめるのも同様の理由からです。そう考えると、車を所有することで得られる利便性・メリットは、所有にかかるコストという犠牲のもとに成り立っていることに気がつきます。

たとえば、自家用車を手放して公共交通機関やカーシェアリングを利用するだけで、もしかすると毎月の家計収支は「赤字」から「黒字」になるかもしれません。そのお金をコツコツ貯められれば、将来かかる住宅購入資金や教育費の一部にできるかもしれません。あるいは、住宅ローンの繰上返済に回して完済を早めることも可能になるかもしれません。

現金には、さまざまな商品・サービスと好きな時に交換できる自由度があります。ただ貯めるだけでなく、資産運用や不動産投資などお金自身に働いてもらい、新たな収入源となりうる可能性もあるでしょう。

自家用車所有は、長期的にどれくらい家計支出にインパクトを与えているかをみてきました。少なからずお金をかけるのであれば、かけるだけの価値があるか、そのコスパをじっくり比較検討してみましょう。

「車があったほうが何かと便利」という安易な決めつけで車を購入、維持することで、本来はできた資産形成のチャンスを逃してきたかもしれません。そう思い始めたのなら、自家用車を今後も所有し続けるか、再検討してみてはいかがでしょうか。

持たない、シンプルな暮らしを心がけることで家計収支は大きく変わります。家計にゆとりができれば、貯める・増やすことができるようになります。

将来が不安、老後のお金が貯まらないのであれば、今すぐ家計収支を見直してみましょう。行動を変えなければ結果は変わっていきません。

↓みなさまからのコメントお待ちしております。 吉田早希と学ぶ「世界一受けたい不動産投資の授業」#5

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