不動産価格が高くなっていることやローン金利が下がっていることから、「不動産投資」が注目されています。なんとなく理解はしているつもりの不動産投資ですが、もし関心があるなら、この「なんとなくの理解」は危険です。一体どういうものなのか、整理しておきましょう。
そもそも不動産投資とは?
投資とは資本・利益を増やすため、現在の資本を事業や商品に費やすことをいいます。ですから不動産投資とは、投資する対象が不動産ということになります。
一般に投資による利益は、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」に区分されます。
インカムゲインとは利子・配当所得などのことです。ある資産を保有することで継続的に受け取ることのできる収入です。不動産投資では、投資した物件を貸して使用させて得る賃貸料収入などを指します。
キャピタルゲインとは保有する資産の価値変動によって得ることのできる利益のことで、不動産投資では、購入価格と評価額や転売時の価格差による利益を指します。
不動産投資といっても、いろいろな種類があります。土地や建物を購入して、造成をしたり建物を建設したりして付加価値をあげ転売益を狙ういわゆるデベロップメント(開発事業)も不動産投資のひとつです。巨額な資金が必要となるので、会社組織が主事業として行うことがほとんどです。
個人向けの投資としては、マンションやアパートを購入する現物不動産投資、複数の投資家が共有持ち分権を保有する小口化不動産投資のほかにも、ファンドが複数の投資家から集めた資金をオフィスビルや商業施設に投資しその収益を投資家に分配するJ-REITという不動産投資信託などがあります。
一般的に「不動産投資」というと、個人のマンション・アパートへの現物投資を意味していることが多いようです。
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不動産投資の5つのメリット
不動産投資にはいくつもメリットがありますが、ここでは代表的なものを5つに分類して紹介しましょう。
1. 安定的・長期的な収入を毎月期待できる
購入した物件を貸与することで、安定的な収益を長期間にわたって期待することができます。毎月一定の収入を見込めることは資金繰り上大きなメリットです。他の金融商品の利子や配当などは、半年以上の期間を経なければ支払われないものが多いのです。
2. 収益向上のために主体的に行動できる
他の金融商品などへの投資は、収益率は基本的に他人任せ、結果任せとなってしまいます。不動産投資の場合は、アドバイザー(不動産会社)、投資物件、融資元(金融機関)、運営先(管理会社)、修繕やリフォームなど付加価値向上の時期や程度など、自分の選択によって主体的に収益をあげるアクションを起こすことが可能です。
3. 転売ロスが少なく転売益も期待できる
土地は資産価値の減少のリスクが小さく、周囲の開発状況などによっては価値の上昇も期待できる。建物も、建物自体の原価は経過年数により減少しますが、転売時には期待収益によって市場価値が決まるため、価値の減少は限定的なものとすることが可能です。
4. 資金調達がしやすい
投資の対象である物件を担保とすることができ、その資産評価も減少が限定的なため、投資金額の多くを金融機関からの融資で調達することが可能です。仮に投資が失敗に終わっても、物件自体の価値で負債の大部分を返済できる計算が成り立ちます。自己資金が少ない場合でも、不動産投資は可能ということです。
5. 税制上の優遇措置がある
不動産投資による収益は所得税の対象となりますが、経費として実費の他に減価償却費が認められています。これは出費を伴わない経費として認められていますから、キャッシュフロー上の所得が、税務上の所得よりも大きくなるメリットがあります。また不動産所得は総合課税ですので、仮に赤字となった場合は、他の所得による収支と合算され他の所得にかかる税金額を減らすことができます。
また、相続税対策としても有効です。不動産の相続税については評価額が対象となります。現金で1億円が遺産となった場合、相続税は1億円を課税対象としますが、1億円で購入した不動産は購入額ではなく評価額が対象となります。建物の評価額は経過年数により減少しますので、例えば評価額が6千万円だとすれば、その分にしか相続税はかかりません。
不動産投資の4つのデメリット
投資による将来の収益は、あくまで期待値であって、どんな投資にも不確実性は存在します。不動産投資も例外ではありません。リスクが顕在化しやすい不動産投資のデメリットをご紹介しましょう。
1. 投資金額が大きい割に収益は限定的
不動産の価格は一般的な人々にとっては高額です。中古の区分所有のマンション一部屋でも最低で数百万円はするでしょう。1棟マンション投資ともなれば億円単位の投資となります。投資が失敗に終わる場合の損失も、自ずと大きいものになります。一方で、収益は、転売益は別として家賃収入が急に増加するということはなく、一定の範囲内のものでしかありません。
2. 修繕費、リフォームなどの費用がかかる
土地の価値に変動は少なくても、建物は必ず老朽化していきます。単なる修繕だけではなく、入居者の志向にあった設備への変更も必要となることがあるでしょう。
3. 家賃の下落、滞納、空室リスクが生じやすい
設備の老朽化や周辺環境の変化によって、空室が出たり家賃相場が下がったりすることも起こりやすいものです。家賃の滞納が起こることもあります。
4. 社会環境の変化による価値下落の可能性がある
不動産に関する法制度や税制が変わったり、経済情勢が大きく変わったりする場合には、不動産の価値が下落する可能性が生じてしまいます。
ミドルリスク・ミドルリターンといわれる理由
不動産投資は、他の金融投資に比べて多くのメリットがある一方で、収益は限定的です。しかしそれは、リスクも抑えられるということです。よく「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資といわれるのはこのためです。
不動産投資を始めるにあたっては、目的を確固たるものとして、目的に応じた投資額で、リスクの管理を意識しながら投資案件を選ぶようにしましょう。
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