アイスを食べ終えた俺たちは、お化け屋敷『ハンドレッドアパート』に行く事になった。

ここは、名誉挽回のチャンスだ。

動画で観た情報によると、女子は怖いものが苦手で、男らしさをしっかり見せれば、手をつないだりするきっかけにもできる!

『ハンドレッドアパート』は、幽霊たちが夜な夜な屋敷で晩餐会をやっているところに、ゲストは知らずに招かれるという設定らしい。

とは言えお化け屋敷なんて、所詮はつくりもの。まぁ大して怖いことなんてないだろう。

ふっふっふ。
これは藤島と急接近のチャンスだぜ。

数十分ならんだ後、俺たちの番となった。

「あれ?健斗ぉ〜。ひょっとしてビビってる?」

「バ、バカ言うな。そ、そんな訳ないだろ!」
 
のぼりからのチャチャに、藤島も笑ってる。
これはやはり、お化け屋敷で名誉挽回するしかない・・・。

入口からヒンヤリと冷たい空気がただよっていて、おどろしい雰囲気だ。

「いやぁ、ほんとに何か出てきそう〜」

案の定、女子がビビってるな。

「思ったより大したことないよな、な、武志?」

「まぁな、子供向けって感じがするよな〜」

前半の方は、特に大きな仕掛けもなく、小さな仕掛けがチョコチョコと出てくるくらいで、チョット拍子抜けした感じだ。

そして、いよいよ晩餐会が行われる大広間がやってきた。

「これ絶対、何か仕掛けがあるよ〜。ここは男子がドア空けて!!」

「オーケーわかった。俺が行くよ」

勇敢さを見せつけるチャンスとばかりに、すかさずドアに手をかける俺。

ドアノブを回した瞬間、


ピギャぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜


大きな音と共に、大量のお化けが逆さ吊りでいきなり目の前に現れ、とんでもない悲鳴をあげてしまった。

これには武志は言うまでもなく、のぼりも藤島も大笑い。

ここから、『健斗ッキーチキン』という、まったくもって不名誉なニックネームを頂戴してしまった...。