「変?」藤島が首をかしげる。

「そうそう、なんかいっつも動画観て、一人でぶつぶつ言いながら納得してるの」

 

ほとんど喋ったことのないフラットな状態の藤島に、変なイメージを植え付けるな!

 

「へぇ〜 どんな動画見てるの?」

食い付いてきた!ここでしっかり受け応えすればまだ軌道修正できる!

 

「あ、えと、それは…」

まずい。女子にモテるための秘訣を日夜チェックしている、なんて言えない…。

 

 

「人間性を磨くための勉強をしてるんだよな?」

 

俺の肩に手を回し、アイコンタクトをしながらフォローを入れてきたのは、武志だった。

 

「そ、そう!人間性!人間性だよ!!」咄嗟に話を合わせる。

武志ぃぃぃ!お前はいつからそんなにイケメンな振る舞いができるようになったんだぁ?!

これならのぼりと付き合えるのも納得だぜ!

さすが俺の親友!心の友!!

 

 

武志のナイスフォローに興奮していると、藤島が更に尋ねてきた。

 

「人間性って、例えば?」

「あーそのー、気遣いとかマナーとか。丁寧な会話の仕方とかさ、大人になっても必要じゃん?

そういうのを今のうちに知っておこうと思ってさ」

「なるほどねぇ」

 

よし、藤島も納得した!これでいい感じの印象を与えられたはずだ!

 

 

「いや、ーー」のぼりが口を開いた。

 

「この間『女心のブレーキの外し方』っていう動画観てたじゃん。

ただ単にモテたいだけでしょ(笑)」

「ぁぁ〜…」

 

藤島ドン引いてますがぁぁぁっ?!!

 

 

「次の方ぁ〜」

俺は藤島からの好感度を代償に、ファストチケットを手に入れたーー。