7月4日(土)より公開中の映画『ブラフマン』が、多くの劇場で上映延長&公開館も続々決定!超大ヒットを記念し、渋谷HUMAXシネマでの上映後にクリエイティブディレクター・箭内道彦監督と、トイズファクトリーの西村佳樹氏によるティーチインが行なわれた。BRAHMANと親交の深い両者による、赤裸々すぎるトークの内容をここに暴露します!
箭内:西村さん、これヒットしてるんだってね?
西村:そうみたいですね。2週間限定だったんですが、その期間を過ぎたということで。渋谷でも公開が決まって、これはヒットなんだなと(笑)。箭内さんと2人でトークするとは思ってなかったですね。
箭内:ていうか出演者ですからね(笑)。インタビュー出演だけじゃなく、レコーディングのシーンにも登場しますしね。
西村:あのシーンを使われるとは思ってなかったんですよ。レコーディングとか、ちょっと声も入っていて恥ずかしいですね。びっくりしました。
箭内:最初の試写をしたとき、誰にも「どこを直せ」とか言われなかったんでホッとしたんですけど、西村さんが数々のシーンやインタビューの中でもいちばん驚いたっていうか「これ言っちゃったか・・・」ってシーンがあったんですよね? それが僕にとっては意外なシーンだったんですけど。
西村:もうBRAHMANとは17~18年の付き合いです。レコーディングやライブなど、彼らと一緒にいることが多いんですが、TOSHI-LOWくんが中心になってるように見えると思うんですが、RONZI、KOHKI、MAKOTOもそれぞれの性格があって。3人とも言いたいことをガッと言う感じではないんですが、映画のカメラの前でそんなこと言うんだ・・・って。特にRONZIくんは、TOSHI-LOWくんのことを色々と言ってたと思うんですよ。まあ「鬼だ」っていうのは、みなさんそういう噂を聞いてるとは思うんですけど。(笑)
箭内:鬼は噂じゃないでしょ(笑)
西村:ケンカしたとか、妥協や我慢してるとか言ってましたね。そういうことを、けっこう僕らスタッフの中では言わないようにしてるんですが(笑)。RONZIも言ってたように、バランスをとるために言いたいことも言わないようにしてる時間ってあるんですけど、何年か前にバーン! とやっちゃったときがあって、バンドなんで長くやってたら絶対ケンカもあるし。そのときはRONZIとTOSHI-LOWがウワーッとなって、MAKOTOが「まあまあ...」って。そういう、ちょっとヤバいなあって時期があったんですが、そこからあまりぶつからないようになった。その言葉をRONZIから聞いたのは10年ぐらいぶりで。そんなこと映画で言うんだなって、そこが私がこの映画でいちばん驚いたシーンです。
箭内:インタビューはカメラも僕が回してるから、完全に1対1なんです。レコード会社の人とかスタジオの人が聞いてるとか一切なくて、だから喋ってくれたって部分もあるかもしれないなって。
西村:たぶん箭内さんじゃないと、喋れなかったんじゃないかなあ。
箭内:僕に喋ってると同時に全国に人に喋っちゃってる、そこに気がついてないですよね(笑)
西村:そこが箭内さんマジックなんじゃないですか。ふわっとしたやさしいトークで、黙っておきたいことも喋ってしまう。目立たなかったですけど、KOHKIやMAKOTOが普段喋らないようなことも喋ってしまう、マジックですよ。
箭内:皆さん今日もご覧いただいたかと思いますが、KOHKIの無言、45秒! あれは限界への挑戦でした(笑)
西村:あれを残すっていうセンスね(笑)。けっこう長いですよ45秒って。
箭内:あれは、自分でも「やったな!」って(笑)。で、この映画って最初の編集では9時間になっちゃって(笑)。
「どうしよう~」ってなったんだけど、そこから頑張って5時間切ったんですよ。で、やったー! って思ったんだけど、配給会社からは「90分でお願いします」って言われてて。そうしないと、チケットが1回2千円とかだから、1日何回上映できるのか?っていう。90分でも5時間でも値段は一緒だから(笑)。
割りと僕は、CMを15秒で作れとか、いつまでに締め切り! とかも守る方なんですが、4時間を切ったあたりから「これもうムリ!」ってなって、他の映画会社に相談しに言ったんです(笑)。そこで「90分ってどれくらい守らなきゃいけないのか?」って、映画会社のプロデューサーに質問したら「2時間までは大丈夫です。それを超えたら製作委員会の会議とか、映画会社の上の人が出てきます」って言われて(笑)。・・・で、1時間58分にまとめたわけです!
西村:素晴らしい!(笑)。118分です、この作品。
箭内:だから、もしKOHKIの無言がなかったら他のネタが入れられたわけです。そこを切ってでも、あの無言に何かを託したかったんでしょうね(笑)
西村:ここでせっかくなので、私から監督へ質問を。この映画には初期メンバーの話とか、僕も全く知らなかったエピソードがあって。この映画を観て初めて知ったんですが、なぜ初代メンバーに目をつけたのか? というところをお聞きしたい。
箭内:目をつけたとか、勘が働いたとかでは全然ないです。これ、はじめて言う話なんですが、基本的にはTOSHI-LOW発信なんですよね。TOSHI-LOWもある意図があったと思うんですよ。だからTOSHI-LOWが水を向けたというか、そういう部分はあって。
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ここで、初代ベーシストのナベさんの親友から寄せられたというメールが、西村氏によって読み上げられた。我々にとっては、結成当初のブラフマンのサウンドやこの映画から想像するしかないナベさん像が、高校の同級生による熱い言葉で綴られることで、より生々しく感じられた、とても感動的な文章であった。
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箭内:これは、パンフレットのTOSHI-LOWとの対談にも書いてあるんですが、やっぱり実家を訪ねたり、亡くなった場所にカメラを向けたりすることに、すごく迷いと葛藤がありましたね。そういう感じじゃもう、映画の仕事はできないなって思ったので...引退します(笑)
西村:いやいや! これが本当に箭内クリエイティブ・ディレクターの最初で最後の映画になってしまうのかどうか...。
箭内:他にも色々やってみたいことあるしね。小説書いたりとか(笑)。「又吉に挑戦状!」とか(笑)ウソウソ
西村:この映画を観たときに「箭内さんが脚本化したものを実写化した」っていう印象がありましたよ。
箭内:ドキュメンタリーのようで、そうじゃないですよね。僕の個人的な想いと視点で組み立ててる部分もありますから。でも、いろんな意見を頂いて面白いですよ。こんなに褒められたことないってくらい褒められますし、最近。その反対の意見もあったりね。「自分にも撮れるよ」とか「眠くてしょうがなかった」とか(笑)。いろんな意見があることが面白いと思うし。
「インタビューが8割」っていう映画は世界的に類を見ないと思うんですけど、それに付き合ってくれて、それを許してくれた製作委員会とか、長い時間観て笑ったり泣いたりしてくれる皆さんにはありがたいと思います。
・・・BRAHMANいいですよね、西村さんも好きになったでしょ?
西村:いや~そうですね(笑)気持ち悪いですけど、好きですよ。それも、さらに箭内さんのお力で。
箭内:僕はもうBRAHMANとは何も関わりたくないですけどね(笑)
西村:BRAHMANが結成して、8月9日に下北沢シェルターで初ライブをしてから今年で20年ということで、そんな大事な年に箭内さんに映画を撮っていただいた。これからBRAHMANがどんなバンドになるのか、あの4人がどんなふうになっていくのか、箭内さんが期待するところってありますか?
箭内:うーん、特に何もないですね(笑)。TOSHI-LOWの息子が映画の中で「ずっとバンドを続けてほしい」って言ってましたけど、ずっと続けるだろうし、続けるためには元気でいなきゃいけないから、体に気を付けて永らえてほしいなと思います。
西村:僕はパンフレットを読んで涙が止まらなくて...映画では涙出なかったんですけど(笑)。映画を観て、パンフを読んで、『其限(それきり)』のCDを聴く...そして、なぜか映画をまた観たくなる。このループを箭内さんが作ってたんだと思って、びっくりしましたよ。
箭内:だから、例えば「10万人動員!」ってなったとしてもね、"2万人が5回来た"みたいな映画ですからねこれ。AKBに近いものがあります(笑)
西村:2度3度、楽しめる映画ですよ。今日もそんな方が来ているとして、次に観るポイントなんかがあれば。
箭内:牛丼じゃないですかね(笑)
西村:あ!話題のキムチ牛丼の卵のせですね。
箭内:今日の昼も食べましたもん。ちょうど500円なんですよ。でもTOSHI-LOWが劇中で食ってるのは大盛りです。
西村:
話題になってますよ、キムチ牛丼と、カツ丼と、のり弁。食事にフォーカスされた思惑とは?
箭内:命というかね、生きる源として"食"を扱いたかったんです。生きるってこととか、想いがパッケージされてるものじゃないですか、MAKOTOの奥さんが作った弁当とか、TOSHI-LOWが息子に作ったイチゴの入ってる弁当とか。・・・だからすごく、実は大事な要素でした、自分にとって。
箭内:ロンちゃん(RONZI)が予告編でも「いちばん好きな食べ物はカツ丼です」って言ってるのに対して「ラーメンじゃないのかよ!」ってみんなツッコんでるみたいですけど(笑)
ラーメンは3番目だって言ってましたね。カツ丼がとにかく好きなんだと。ラーメンはお店によってものすごくレベルの差があるんだけど、カツ丼は完全に安定しているところが好きだそうです(笑)。カツ丼の不味い店はないそうです。
西村:映画でも触れられてましたけど、なかなかCDを出さないわけですよ(笑)。17年でオリジナルアルバム5枚しか出してないんですよ!?(笑)お前なにやってんだ!って言われることもあるんですが、すごく寡作なバンドですから...。
箭内:トイズファクトリー的にもBRAHMANも刈り取りの年だってことですね(笑)
西村:20周年を自分たちで祝うってことではないんで。映画に関しても箭内監督に一任して、スタートから完成するまで何も言わないっていう。
箭内:完成しても何も言わない(笑)。そこがいいところですよね。
西村:なので、周りの人で祝ってあげようっていうね。
箭内:僕もこれ、寿ビデオだと思って作ってましたから(笑)
映画『ブラフマン』は大ヒット上映中!
(C)2015 映画「ブラフマン」製作委員会
■参照リンク
映画『ブラフマン』公式サイト
http://brahman-movie.jp/
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