朝日新聞のコラムで取り上げられた漫画について、同紙が作者の意図を踏まえずに、有識者からの声として、独自の解釈を掲載したところ、作者から「そんなことは思っていない」という反論がネット上に投稿され、現在、物議を醸している。
問題となったのは朝日新聞が1月6日の朝刊に掲載したコラムの一節で、このなかで往年の人気漫画『うしおととら』を引き合いに出し、文芸評論家のコメントを拾う形で、「経済成長や科学万能主義が背景にある。作者は批判を込めて描いているが、ひたすら強さを追求し、人間の力で自然が思い通りになるとする土壌があった」と紹介。しかしその後、同漫画の作者である藤田和日郎氏が反論。自身のtwitter上で「思ってねーよ」とツイートした。
あはは。 もう描いちまったことはしょうがないし、受け取り方は読者の方々にお任せして文句はありませんわ。 でも、思ってないって言う事実ぐらいは言ってイイでしょう? とらをうしおは獣の槍でぶん殴って言うこと聞かせるからなあ。 妖怪をすぐ「自然」の比喩としちゃうからそうなるのだよね。
- 藤田和日郎 (@Ufujitakazuhiro) 2015, 1月 6
その後、同記事については、記事中でコメントした人物により、藤田氏に対して謝罪の言葉がもたらされたが、その中で、このコメントそのものが、「長々と話した中の(今回は2時間ほど)ごくごく一部を切り取られて」いるものだということが判明。そのため、朝日新聞側が意図的にこうした編集を行ったことに対して、同紙に対する批判が相次いでいる。
@Ufujitakazuhiro 言葉足らずなコメントで大変失礼いたしました。御指摘のくだりは、作品自体に関して述べたものではなく、高度成長以前から以後に至る社会的な風潮の変化について言及した中の一部分なのです。誤解をまねく表現となりましたことを深くお詫び申しあげます。(雅)
- 怪談専門誌『幽』 (@kwaidan_yoo) 2015, 1月 6
文・藤井一成
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