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各方面で話題沸騰のイスラエル映画『オオカミは嘘をつく』は、クエンティン・タランティーノ監督が「Sensational! The best film of the year!」と激賞したことで耳目を集めた一作だ。「もうやめようかと思ったよ。もう十分だよね(笑)」と感激しまくりのナヴォット・パプシャ監督と彼の師的な存在でもあるアハロン・ケシャレス監督にハナシを聞く。



タラ兄貴が興奮した場所は、2013年の第18回釜山映画祭の会場だ。ちょうど同時期は映画祭のオンパレードでアハロンはシカゴとデンバーへ、ナヴォットはスウェーデンと釜山に散った。「だから、衝撃の一瞬は一人で経験したわけ(笑)」とナヴォットが説明を担当する。「実はニコラス・ケイジとタラが偶然、釜山に来ていることを知ってね。ああ、僕たちの映画を観てほしいなって期待していたら、上映15分前にタラが話しかけてきて! 壇上に上がって、『今年最高の1本だ!』と。もうまったく、僕は気を失いそうになったよ(笑)」。

タラ兄貴の推奨がなくても、映画は確かに面白い。残酷な少女連続殺人事件をモチーフに、容疑者、被害者の父親、刑事の思惑が絡み合い、何が正義で何が悪かという古典的だが、答えが出しにくいテーマに果敢に挑戦した。遠くイスラエルでここまでワクワクする映画があるかと思うと、イスラエル映画界への期待に胸が張り裂けそうだが、実際は「正反対な作品しかないよ(笑)」とアハロンが暴露する。「レバノンが舞台の政治、戦争、軍事モノが多いよ。根強いね。後は機能不全な家庭ドラマが多いかな。オヤジがおかしくなる映画が伝統的に多くて、コメディー、スリラー、モンスターものなど、まったくない(笑)」。



だからこそ公開時には本国で話題になったはずで、その現象を最近の傾向とともにナヴォットは解説する。「前作の『ザ・マッドネス 狂乱の森』(10・未)がイスラエル初のホラーで、観た客もどうすればいかわからなかったみたいだよ(笑)。だからカルト扱いになってしまったけれど、国際的な成功を収めた影響で2012年以降はホラーが増量した。そして、今回の『オオカミは嘘をつく』につながったということ。バイオレンス満載だが(笑)、めちゃくちゃヒットして、たくさんの賞ももらって大成功だ(笑)」。
娯楽性があればシリアスな題材でも受け入れられることに気づいたというイスラエル映画界は、ハリウッドもマークしているネクスト・ブレイク市場かも。個人的には、機能不全な家庭ドラマに興味!

『オオカミは嘘をつく』は全国順次公開中

■参照リンク
c公式サイト
http://www.bigbadwolves.jp/

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