ユニクロや国立新美術館のロゴ、SMAPやミスチルのCDジャケットまで手がけ、現在のデザイン界を牽引しているといっても過言ではないアートディレクター/クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん。
そんな佐藤さんが、仕事の現場で一体どのような打ち合わせを行っているのか、気になりませんか? 佐藤さんは、自身にとって打ち合わせは仕事そのものであり、真剣勝負の場、そしてクリエイティブな現場そのものなのだといいます。
「僕の1日の多くは、誰かとの『打ち合わせ』で埋めつくされています。(中略)最近は打ち合わせのあいだにアイデアを出し、打ち合わせのあいだに決断をし、打ち合わせのあいだに指示をする、という仕事のスタイルになりました。(中略)打ち合わせの質を高めれば高めるほど、アウトプットの質も上がっていき、結果的に仕事の質は高まります。何気なくこなしてしまいがちな『打ち合わせ』という行為にこそ、仕事の質を高める秘訣が隠されているのです」(書籍『佐藤可士和の打ち合わせ』より)
では実際、佐藤さんが打ち合わせの場において意識していることとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
同書のなかでは、打ち合わせを「いい打ち合わせ」にするための多くのポイントが挙げられていきますが、ここでは最初の打ち合わせで決めるべきだという2つのポイントをみてみましょう。
まず、最初の打ち合わせを単なる顔合わせで終わらせないために、目的をはっきりさせること。つまり、真っ先にわかりやすいゴールを設定することが重要なのだと佐藤さんは指摘します。そこで佐藤さんは、はじめにリリース日、プロジェクトの成果を発表する日を決めるのだといいます。ゴールを設定することで、「いつまでに、何をするべきか」が見え、スケジュールを組み立てていくことが出来るようになるのだというのです。
そして2つめとして、それぞれの立場や利益をあらかじめきちんと確認しておくことの重要性を挙げます。具体的には次のようなこと。
「自分たちの利益は何か。打ち合わせの相手の利益は何か。やりたいことはどんなことで、やりたくないことはどんなことか。プロジェクトをめぐって、どんな力関係が発生するのか。社内においてプロジェクトはどんな位置づけか。応援者はどのくらいいて、反対者はどのくらいいるのか。それはどういう人たちなのか」(同書より)
こうした点をまずはじめの打ち合わせでしっかりと確認することにより、プロジェクトは良い走り出しをすることが出来るのだそうです。
打ち合わせの場をいかにうまく生かし、プロジェクトを円滑に進め成功へと導いていくのか。本書のなかでの気づきを参考に、一人一人が積極的に、打ち合わせを巡る意識や姿勢を根本から見直してみる必要があるのかもしれません。
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