Filed under: 全社必見

ノーベル物理学賞受賞が決定し、秋の叙勲で文化勲章を受賞した米カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二教授が、かつてその「発明の対価」を巡って争った古巣・日亜化学工業に対し、「過去のことは忘れて関係を改善したい」とその修復を求めるコメントを発表したところ、日亜化学工業側から「丁重なお断り」を受けていたことが判明、そのことについて、現在、ネット上で物議を醸している。



中村氏は日亜化学工業時代、世界に先駆ける形で、レベルの高輝度青色発光ダイオードの製造方法を発明・開発に成功。同社における青色LEDの製品化に寄与したが、この功績について、給与以外に受け取った報酬が対価に見合っていなかったとし、訴訟へと発展。2005年、東京高等裁判所の判決により、日亜化学工業側が約8億4000万円を中村に支払うことで和解が成立している。
こうした経緯があった中で、今回、中村側からの関係改善を求められた日亜化学工業は、「弊社に対する深い感謝を公の場で述べておられ、それで十分」「貴重な時間を弊社へのあいさつなどに費やすことなく研究に打ち込み、物理学に大きく貢献する成果を生みだされるようにお祈りする」と、拒否した格好だ。

こうした両者のやりとりに対し、ネット上では、大手マスコミに目立つ論調に追従する形で、日亜側の対応を「おとなげない」「こういう土壌だから日本からは発明家が育たない」と批判する声もある中で、元社員でありながらも勤務先に対して訴訟を起こし、多額の和解金を手にした過去を持つ中村氏側に対し、「口開けば文句ばっかり言ってきたのにな」「自分だけ"あがり"っていう状況になって関係改善とはw」「図々しいにもほどがある」「会社を捨て訴訟を起こし各所でさんざんコキおろした人に「関係改善を」って言われてもねえ...」「発明家としては一流かもしれないが会社員としては最悪」「組織あっての発明だということを理解していない」「発明セクションばかり評価されたら総務とか地味な部門はどうなるんだよ」といった「会社員としてのスタンス」の部分を中心に、批判も相次いでいる。

昨今、会社組織の中での個人の功績が、ないがしろにされがちだという論調はたしかに目立つ。しかし、こうした「ホームラン要素」を秘めたセクションの社員だけを厚遇することは、同時に「送りバント中心」のセクションで職務に従事する社員からすれば、決して面白いことではなく、古くからある日本型の組織において、その秩序を大きく乱すものとなりかねないという声があがるのも理解できる。そうした意味でこの騒動、組織に属して働く者すべての今後を占う上で、重要なものと言えそうだ。

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