<質問>
僕はもう怒りに震えておりますし、この世の理不尽さを日々感じています。中川さん、聞いてください! この前、先輩の結婚式ビデオの撮影のために、とある相撲部屋で朝稽古の撮影に僕も先輩に付き合ったのですが、その場で稽古の激しさのあまり、右足にヒビが入ってしまいました。
さすが力士! と思ったものの、現在はギプスをつけ、松葉杖生活を送るハメになっております。相撲部屋と先輩には恨みはないのですが、職場からの扱いが実に冷たいんですよ......。もっと心配して欲しいんです!
骨折というとんでもない非常事態にもかかわらず、上司は普通に仕事を振ってきますし、取引先も僕の足を見ないまま、「元気ですかー!」なんて言ってくる。「お前は猪木かよ!」と言いたくなってしまいます。
普段から僕が明るい性格で、皆から好かれているが故に、中川さん、僕はもっと職場の人から心配されたいのですが、どうすればいいでしょうか。(N 31歳・出版(編集)
<中川淳一郎の回答>
まずは結論から言おう。
お前はバカだ。
いいか、職場の人にとって、お前が骨折したかどうかなんてどうでもいいんだよ。お前に課せられたミッションは、とにかくお前が編集をしなくてはいけないページについてはさっさと編集しろ、ボケ、ということだ。
それなのに、お前は仕事の本分とは異なる部分の「もっと心配して欲しい」「もっと同情して欲しい」「もっと優しくしてほしい」という点にのみ拘泥している。お前のその姿勢、仕事人として、オレは張本勲ではないが「喝!」を入れるしかない。職場の人だって「打ち合わせの時はタクシーを使っていいからね」とか配慮はしてくれているんだろ?
いいか、オレみたいに優しく弥勒菩薩の生まれ変わりとも一部で言われている男が、ここまで厳しいことを言うってことは15年に1回くらいしかないんだぞ。
そこまでの状態だからこそ、お前の性根の悪さについて、オレはここでキッチリと叩いておかねば、と考える。お前は出版業界のヤツなんだよな。だとしたら、オレだってもしかしたらお前と、そしてお前の編集部といつ付き合うかは分からない。それなのに、仕事以前に「同情されたい」という気持ちを抱くような生半可な気持ちで仕事をしているバカが出版業界に増えたら、オレにとっても仕事がし辛くなる。だから、ここできっちり言っておこう。
いいか、お前は何のために会社に行ってるんだ? そこからまずは考えろ。
お前は、読者や広告主のために「編集をする」ために会社に行ってるんだろ? それなのに、今のお前は、「辛い境遇にいるボク」を慰めてもらうことを第一義の目標として会社に行っている。
そこをまずは叩きたいのに加え、お前がこの姿勢をこれからも続けるのであれば、お前の部署の編集長や同僚はお前に対して今後大事な仕事を任せない可能性が出て来るぞ、この野郎。それはひいてはお前の生涯年収や出世にも響く重大な事態だ。そこをお前は認識しているのか!
そんな「構ってちゃん」なだけに、お前はたとえば「インポになりました!」とか「包茎手術に失敗しました!」みたいな話を職場でお前は今後することになるだろう。そこでお前みたいなバカは同情を買おうとするが、お前がインポだろうが、包茎だろうが、そんなもんは職場の人には関係ない。取引先も関係ない。それを公にし、なんとか慰めてもらおうとするようなバカはビジネスマン失格なんだよ。
オレはこれまで何年間か悩み相談には答えてきたが、お前みたいなレベルの低いバカは初めてだ。同僚の優しさ、会社の親切に対して感謝をしてこその病人・ケガ人なのに、あろうことか周囲の人をロクでなし扱いする。
お前みたいなバカはもうオレに相談してくるな。喝だ! うんこ食ってろ!
文/中川淳一郎
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