「日本の混浴温泉が激減している」
そんなニュースを聞いて、「まだ日本に混浴温泉があったなんて」、と驚く人もいるかもしれません。実は日本の混浴温泉は月に2湯以上、年に25湯以上が減り続け、この20年で40%以上の混浴が日本からなくなってしまったのです。
混浴についての著書の多いカメラマンの石黒敬太氏によると、「温泉宿が約800軒、共同湯や野湯(風呂の形状があるもの)が約400湯、計1200湯以上の混浴風呂が日本にあったんです。それが2013年の時点で温泉宿は500軒を切り、共同湯・野湯も200弱で、合計で700湯を割ってしまいました」とのこと。
なかでも、野湯の減り方が大きく5割以上がなくなってしまいました。その原因は、あまりのマナーの悪さにあるとのこと。ある大分県在住の温泉ライターは、書籍『温泉批評』のなかで、実情を紹介しています。
「九州地方は90年代には無料で入浴できる野湯の宝庫でしたが、グループでのドンチャン騒ぎ、ゴミの放置などによって、好意で無料開放していた地主もたまらず潰してしまったり立ち入り禁止にしたりで、あっという間に激減してしまいました。ゴミの中にはコンドームなんかも多かったようです。これは東日本も例外ではなく、特に管理者不在の混浴風呂の閉鎖が目立ちます」
共同湯や野湯には、法的な規制がほとんどないといった背景があります。公衆浴場法が対象にしているのは、営業として不特定多数を入浴させる施設に限られているのです。共同風呂はいわば地域のお風呂。基本的には家庭の風呂と変わらないのです。
激減の理由を見ていると、野湯を潰してしまう気持ちも理解できます。
混浴は日本の古き良き文化。今後、一つでも混浴温泉を残していくために、私たち利用者の意識を変える必要もありそうです。
【書籍データ】
・『温泉批評』 第二書籍編集部(編集) 双葉社
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