やあ、みんな!
俺はヒーローだ。
どんなヒーローかって?
世の中のビミョーな物の白黒をハッキリジャッジしなきゃ気が済まないのさ。
ジャージ姿でジャッジする、
人呼んで「ジャージ・ドレッド」なのさ!
<もちろん、映画『ジャッジ・ドレッド』にインスパイアされたのさ!>
俺は今、街をパトロールしている。
世にはびこる、ビミョーな看板を白黒はっきりジャッジするために。
ヒーローたる物、街の平和を守るためには日々の努力が必要だ。
むむ、あの看板は何だ?
ロシアンラーメン?
ロシアなのにラーメンなのか......。
「中華料理 ロシアン」ときたか。
中華とロシア、ここは文化の交差点、イスタンブールなのか?
恨まないのがルールなのか?
どんな料理が出てくるのか、ボルシチラーメンみたいな感じだろうか。
残念ながらお店は休みだったので確かめられず。
その味に期待して、ジャッジは「マル」だ。
引き続きパトロールを続けよう。
お、またもや微妙な看板だ。
ぎ、ギロチン稼働!?
これはいかん。ギロチン、それも大型のなんて。
ヒーローとしては見過ごすことができない。
もちろんジャッジは「バツ」だ。
100円ショップで買った、「ザ・○×ボード」が火を噴くぜ。
正義は必ず勝つのさ。
おや、こんどはなんだ?
まず、なんて読むのだろう。
おそらくは「ひやし」ということなんだと思うが、「冷ン」に見えてしまうではないか。いやん、ばかん。
ヒーローを惑わすとは、ジャッジは「バツ」だ。
さあ、この看板。
カッパのイラストにもさまざまなツッコミ要素はあるが、この標語もビミョーだ。
川の底が見えるようになるのが「ゆめ」とは、夢としてはちょっと小さくないだろうか。
少年よ、大志を抱け。
でも、叶わぬ夢をみるのが必ずしもいいことではない。
よって、ジャッジは「マル」である。
む、「大木切ります!」とな。
単なる意志の発露を、わざわざ看板にせずとも、どうぞ切ってくれたまえ。
それとも高校野球の選手宣誓に類するものか。
あるいは「木が倒れるぞー」という、昔話なんかに出てくるあのセリフのようなものだろうか。
ともかく、俺も大木は切ってみたいので、ジャッジは「マル」だ。
引き続きパトロールを続けると、謎の動物を発見した。
モッくん......。
これは俺の知っているあのモッくんではない。
俺の知らない、新しいモッくんを世に知らしめてくれたので、ジャッジは「マル」である。
ヒーローなのに、おもわず矢崎滋みたいな「マル」を出してしまったが、恥ずかしがらずにパトロールを続けよう。
これは、ひとことでいうならば「カオス」だ。
お店の意図が、一切伝わってこない。
どうしたらいいのか、こちらが戸惑ってしまう。
こうまで謎が多いと、このお店に行ってみたくなってしまう。
うあ、思うつぼではないか。
まんまと乗せられてしまったので、ジャッジは「バツ」だ。
パトロールをしているうちに、日が暮れてきた。
そろそろ家路につきたい。
家に帰ったっていいじゃないか、ヒーローだってにんげんだもの。
と思っていたところ、ビミョーな看板を発見してしまった。
「美人多し 脇見運転注意」
この手の看板は全国各地で目にする。
これくらいのユーモアが日本人には適温なのだろうなあ、と思う反面、この程度で笑ってしまってなるものか、という感想も持ってしまう。
それはさておき、悲しいことに周囲に美人は見当たらなかった。
よってジャッジは「バツ」である。
今日もビミョーな物も白黒つけたぞ。
そんな満足感を胸に、明日もまた、ジャージドレッドは、パトロールに出るのであった。
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