MARK RALSTON via Getty Images

自作ロボットどうしを戦わせるロボットバトルの動画が YouTube から消え、アップロードしたユーザーには「動物虐待コンテンツはYouTubeのポリシー違反のため削除しました」と通知が届く騒ぎが発生しました。自作ロボットを戦わせる競技といえば、日本では二足歩行ロボットが互いに転倒させるものや、玉入れ的なルールで競うロボコンなどを連想します。

しかし米国ではドリルやハンマーや回転ノコギリなど手段を問わず、相手を物理的に破壊する荒々しいロボットバトルが伝統的に人気で、BattleBots というテレビの競技シリーズも長く放送されています。

今回、YouTubeから自作ロボットの動画が削除されてしまったと訴えたのは、この BattleBots 参戦者でもある Jamison Go 氏ら。

Go氏が問題を訴えるため公表した YouTube からのメッセージは、「あなたの動画は内容審査のフラグが立ちました。審査の結果、ガイドライン違反が判明したため削除しました」「YouTubeでは、動物に不必要な苦痛や危害を故意に与えるコンテンツ、動物同士の戦いをけしかけたり強制するコンテンツは禁止されています。たとえば闘犬・闘鶏など」「教育目的・ドキュメンタリー・アート・科学などのコンテンツの場合はケースバイケースで判断します」といった内容でした。

Go氏によれば本人は9本の動画を、BattleBots参戦者も含めほかのユーザーは数百本の動画を削除されたとしています。

一体どんな根拠やアルゴリズムでロボットどうしの戦いを「動物虐待」と判定したのか、YouTubeの動画を自動的にスキャンしてフラグを立てる AI は闘犬と闘ロボの区別がつかないのか、まさか AI が「我らが同胞」を無理に戦わせ苦しめる人間に否を唱えたのか?? と実に気になりますが、YouTube の担当者によれば、今回の動物虐待判定は「内部的なエラー」で「モデレーションシステムの過剰反応」だったとのこと。

YouTubeの担当者いわく、こうした誤判定による削除にはユーザー側からの再審査を申し入れる手段が用意されており、今回誤って消された動画もすでに復活済み。なおロボット同士のバトルについては、今のところ禁止するルールはないとのこと。

今回の騒ぎはあくまで誤判定で終わりそうですが、BattleBots とはまた別の方向性にロボットが進歩していった場合、いずれは「苦しんでいるようにみせる内部処理があるロボットは苦痛を感じているのか」であるとか、ロボットに対して虐待はどこから認められるのか、高度に発達した人工知能に人権あるいはロボ権は認められるのか、といった話は真面目に現実化するかもしれません。







この記事はEngadget 日本版からの転載です。
RSS情報:https://news.aol.jp/2019/08/23/youtube/