キャサリン・ボーモントがウォルド・ディズニーに初めて会ったのは、彼女がまだティーンエージャーになったばかりの頃だが、その記憶は鮮明に残っているという。


「ウォルトさんには畏敬の念を抱いていました。母と一緒に彼のオフィスに行ったとき、ご本人がドアを開けたので、私は腰が抜けそうでした」とボーモントは1950年代初めの初対面を思い出しながらAOLのインタビューに語った。「私を招き入れて、自分の隣に座るよう私は言われました。そして席に着くとおしゃべりが始まったんです」

ボーモントがウェンディ・ダーリングの声を吹き込んだオリジナルの『ピーター・パン』から60年以上が経過した今でも、彼女の声を聞けば「ウェンディだ」とわかるはずだ。快活で少しばかり英国訛りがあって、耳に心地よく陽気で、その魅力の虜になりそうになる声である。

ボーモントはさらにこう語っている。「ウォルトさんはスタジオの一番偉い方でしたが、製作チームの一員でした。カフェテリアに姿を見せては、順番待ちの列を縫うように通り抜け、誰ともなく隣に空席がある場所を見つけてそこに座るんです」

これはウォルト・ディズニーと仕事をした声優たちが声をそろえて語るディズニーの姿だと、ディズニーの歴史に詳しいミンディ・ジョンソンが語っている。

「彼は現場を大切にするプロデューサーで、とても話しやすい存在でした。特に声優たちとは距離が近かったのです。声は芸術性と観客をつなぐものであり、役に命を吹き込む重要な役割を果たしますからね。映画の製作が進むにつれ、声優たちとウォルトの間には素敵な絆が生まれていました」とジョンソンはAOLに語っている。

『ピーター・パン』が米国で公開されたのは1953年で、これはウォルトがその晩年に注力したディズニーランドが公式オープンする2年前のことだ。しかし、ジョンソンによると、そんな巨大テーマ・パークの設計に携わっていながらも、映画製作への時間はしっかり取っていたという。「ピーター・パンは構想に15年近くもかけていました。そのストーリーはウォルトが長い間温めていたものなのです」

『ピーター・パン』の他にも『不思議の国のアリス』でアリスの声も担当し、映画の声優として夢のような経験をしたボーモントだったが、ほどなくハリウッドのきらびやかな世界から身を引き、小学校の教師の道を選ぶ。(教え子やその親たちがお気に入りのディズニー映画を見た際、ボーモント先生の声に気づくことが多々あったという)

ウォルト・ディズニーが1966年に他界した時、ボーモントはまだティーンエージャーだった。「それはもう本当に驚きました。ウォルトさんは私が知り合うことのできた人の中でも特別な人でしたから」と語っている。

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