2016年のアメリカ国内の興行収入は、2015年から1.7パーセント微増して113億ドル(約1.3兆円)となった。しかし、主な要因は映画チケットの平均価格が8ドル61セントに値上がりした(前年比で18セント上昇)からではなく、原因は1億3100万枚が売れた(前年比で約600万枚上昇)からだ。
実際のところ、映画チケットの総売上枚数は2002年の1億5800万枚をピークに減少傾向にある。
2017年の年明け第一週は、今年全体を象徴するような週になった。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』が3週連続で1位に付けており、興行収入は推定5000万ドルだ(アメリカでの現時点での総計は4億ドル、日本円で460億円以上)。これは2016年の興行収入第2位の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を凌いでいる。
このように、混沌とした2016年を見ると流行がはっきりとしていたが、今回は、勝ち組となった5つのトレンドを挙げてみよう。
1.スター・ウォーズ
現時点での『ローグ・ワン』の興行収入に加え、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が2016年序盤に上映されており、北米市場では年間で7億ドル(約810億円)の興行収入を手堅く稼ぎだしている。『スター・ウォーズ』の映画が1年間に複数本上映されたのは初めてで、2017年12月公開の『スター・ウォーズ エピソード8』へ道筋をつけることとなった。
2.ディズニー
ウォルト・ディズニーの築いた王国は2016年のマーケット・リーダーとして国際的にもアメリカ市場でも独走状態だった。『スター・ウォーズ』シリーズにマーベル、ピクサー、ディズニー作品の実写版リメイクなどをひっさげて、ディズニーは複数の勝利の方程式に基づいて2016年は世界中で70億ドル(約8100億円)以上の興行収入を叩き出している。
ディズニーは10億ドル越えの映画を4本生み出し、年間トップテンのうち6本を占めている。全作品がヒットしたわけではなく、『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』や『BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』は大失敗に終わっているが、大ヒット作品の数々がコケた作品の損失をカバーして余りある利益を生んでいる。
3.中国
2016年夏に『ウォークラフト』が大コケしたのは覚えているだろうか? アメリカでは470万ドル(約5.4億円)しか稼ぎだせなかったこの作品だが、世界的には3億8600万ドル(約447億円)もの大ヒット作となっている。
この興行収入のうち、大部分を占めるのが中国の2億2100万ドル(約255億円)で、ハリウッドが製作している映画のラインナップを見る限り、今では中国市場の映画の好みの方が、アメリカ国内の好みよりも重視される傾向にあるようだ。もちろん、次期大統領のトランプが中国との貿易で全方位に保護主義を発動すれば、中国はハリウッド作品の輸入制限という形で対応する可能性もあるため、『ウォークラフト』のような作品が製作されるのは減少するだろう。
4.しゃべる動物の映画
『ファインディング・ドリー』に『ペット』、『ジャングル・ブック』、『ズートピア』が2016年の年間トップテンに入っている。現在は『SING/シング』がトップ20にランクインしており、これまでに1億1700万ドル(約135億円)の興行収入を記録している。
5.イドリス・エルバ
2016年にもっとも興行収入を上げた俳優は? 『ズートピア』、『ジャングル・ブック』、『ファインディング・ドリー』、『スター・トレック BEYOND』と、イドリス・エルバの出演作は北米市場で13億5000万ドル(約1563億円)を生み出している。確かに、この4作品のうち彼が画面に登場したのは1本だけだが、今では彼の名がクレジットに登場することがいい映画の証となるようだ。
■参照リンク
http://www.moviefone.com/
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