100歳のおじいちゃんの摩訶不思議な冒険を描いたエンターテイメント『100歳の華麗なる冒険』(13)の大ヒットが記憶に新しい北欧・スウェーデン映画界で2015年、またしても社会現象的大ヒット作品が誕生した! 20週を越える大ロングランを記録し、第89回アカデミー賞外国語映画賞スウェーデン代表となった話題作『幸せなひとりぼっち』が12月17日(土)より公開される。本作は、妻の死をきっかけにふさぎこみ、周囲から厄介者扱いされていた一人の老人オーヴェが、隣人家族との交流を通し、幸せの意味を感じながら人生を全うする姿を描くヒューマンドラマだ。
日本公開を記念し、先日、来日したハンネス・ホルム監督は、主人公について「日本人っぽいところがあると思います」、「日本はある意味、オーヴェの故郷といってもいいのではないでしょうか」と述べているが、そんな主人公オーヴェを演じた俳優ロルフ・ラスゴードは、本作で、寂しさと悲しみにくれる男が周囲との交流で凍てついた心を溶かしてゆく様を、重厚でありながら繊細な表現力で好演し、スウェーデンのアカデミー賞と言われるゴールデン・ビートル賞で主演男優賞を受賞。ホルム監督は、「ロルフはスウェーデンでも実力派として知られる名優で、あくまでコメディ役者ではなく演技力が優れた役者をキャスティングしたいと思っていました」とキャスティングの理由について明かした。
世界30カ国で大ベストセラーとなった小説の映画化作品である本作。ホルム監督は、「原作を映画にするのは好きではないし、難しい作業であることは予想できたので、最初は断ったんです」と意外な事実も明かし、「小説のファンは本の世界を気に入っているので、その期待に応えるのはなかなか難しいですね。なので原作に忠実な脚本は書きたくなかった。あくまで原作は原作で映画は映画というスタンスです」と映画化に際してのこだわりを語る。また、脚本の作り方について「脚本で重要なのは、ストーリーを原作本から盗むことでした。要するにストーリーと抽出して再構成する。キャラクターについても同じです。本を1回読んだ後は、気にせずに作業するようにしました」とも振り返った。
そんなホルム監督と日本のかかわりだが、影響を受けたという日本の作品については、「ヨーロッパで黒沢明監督は有名だね。どの作品も大好きです」と往年の巨匠の名を挙げると同時に、「あとは 90 年代の作品で『ワンダフルライフ』(99)。死をテーマにした作品でとても気に入っている。死をテーマにすると生の要素が強く栄えてくるから、いいテーマだと思う」と、近年世界中から支持されている是枝裕和監督の初期の名作についても言及するところに、日本文化への造詣の深さが垣間見られた。
日本の印象については、「すごく居心地がいい。スウェーデン人と日本人は似ているかもしれない。基本的には静かで謙虚。ここでも生きていける、そう思います。街もクリーンですね」と好感触だったようで、「2年前、スウェーデンの寒い部屋で脚本を執筆していたときに、日本で上映してもらえて来日までできるとわかっていたら、最高な気分で作業できたのにと思っています。来日できてうれしいです」と大きな喜びを語ってくれた。
監督いわく「人生についての映画で、コメディと悲劇をブレンドした作品」と厳しい寒さが訪れるこの冬、心温まるストーリーの本作を大切な誰かと楽しんでみてはいかがだろうか。
映画『幸せなひとりぼっち』は12月17日(土)より新宿シネマカリテ&ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開
■『幸せなひとりぼっち』公式サイト
hitori-movie.com
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