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フランス映画祭観客賞受賞『92歳のパリジェンヌ』名女優サンドリーヌ・ボネール、「この映画は実は死ではなく生について語っているのです」 主演映画を語る

2016/10/28 16:00 投稿

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フランス映画祭2016で最高賞のエールフランス<観客賞>を受賞し、話題を呼んでいる感動のヒューマンドラマ『92歳のパリジェンヌ』が、10月29日(土)より公開となる。

リオネル・ジョスパン仏元首相の母の人生を、作家である娘ノエル・シャトレが綴った物語を原案とし、自分の美学を貫き、美しく、凛としたまま人生を終える決意をした一人の女性とその家族を描きあげる、感動の物語だ。本作で主人公の娘役を演じ、近年は監督としても名を馳せているフランスの名女優サンドリーヌ・ボネールのインタビューが到着した。


――本作に出演することになった経緯を教えてください。

監督のことは、共演者のアントワーヌ・デュレリを通して知っていました。クロード・ルルーシュ監督の『Salaud, on t'aime』の撮影中に、彼の口から企画の話は耳にしていましたが、誰が主役を演じるかという話はされませんでした。面白い主題だと思っていたので、監督から申し出があった時は、やると即答しました。自分の死を選択するというのは複雑な問題ですが、映画で描かれているように、人生の終末期にあって、そのことを完全に自覚している人が自ら選択する時は、受け入れられる決断だと思っています。

――でも、母は病気ではありませんね。

そこが映画の興味深いところです。我々、みんなに関係する老いの問題を正面から扱っているのです。母は老いの兆候を感じている"だけ"ですが、完全に老いてしまうことを望んでいません。だから頑固に自分の決断を遂行しようとします。私には理解できることです。


――ディアヌは母親の決断を受け入れた瞬間から、自由と活力を得ますね。

そうですね。以前より明るくなります。彼女と母親の関係も同じです。ジャン=ピエール・アメリス監督が『C'est la vie』の撮影で言っていました。その映画で私は人々の最期の日々に付きそうボランティアの役を演じたのですが、「死んでいない限り、生きている」のです。撮影は本当に死期の迫っている人たちと一緒に行いましたが、彼らはみんな、そう言っていました。残された日々が数週間しかないと知りながら、楽しそうに生きる彼らを見て驚いたものです。

私が演じたディアヌと母マドレーヌの場合も同じです。状況の哀しさを忘れることはありませんが、決断を迫られたことで、人生の最期の日々に、それまで以上に生き生きと輝くのです。とても深刻な主題を扱いながら、ここまで明るい映画であることが気に入っています。この映画は実は死ではなく、生について語っているのです。マドレーヌが死について決断したいのは、最期まで生きたいからです。失禁したり、運転できなくなったりするのは、彼女にとって受け入れられない小さな死なのです。生きた死者にはなりたくないのです。


――原作者のノエル・シャトレが撮影現場にいたようですが、どんな感じでしたか?

特に電話のシーンでは彼女の存在に動揺しました。この状況を再度、体験する彼女のことを考えずにはいられなかったからです。他のシーンではそこまで動揺しませんでしたが、最後の別れを言うシーンでは...。
このブーメラン効果は彼女にとって、あまりにも酷だと思ったのです。その日は、本当に彼女のために演じました。彼女が経験したことを演じるのにふさわしい高みに到達し、この出来事を忠実に表現したかったのです。ノエルにとって二度目の葬送になる映画です。真の葬送、最後の葬送だと言ってもいいかもしれません。監督とはそのことを何度も話し合い、ノエルもそうだと言ってくれました。

――彼女の反応は?

シーンが終わると駆け寄って、感謝するように私を抱きしめてくれました。とても感動しました。彼女が経験したのと同じようには演じませんでしたが、それでも表現したのは同じことです。彼女の母親の選択はお手本になりますが、ノエルのようにそれを受け入れるには、大変な勇気が要ります。結局、最後に喪失感と共に残されるのは彼女なのですから。私は彼女に満足してほしいと望みました。私にとっては、これがとても重要なことだったのです。こんなにも長い間、認めなかった映画化を、ようやく認めてくれたのですから、なおさらです。


――法律や制度を改善するために闘う物語と言えますね。

そうですね。人間と、その人の決断を尊重するための闘いです。尊厳死を求める人が5000ユーロも払ってスイスへ行かなければいけないような状況はおかしいし、恥ずべきことです。乱用を防ぐために、死の選択を認める法の制定は慎重に議論されるべきでしょうが、私は死を選択できるという原則を支持しています。だからこそ、現状を改善するために、この映画に参加したかったのです。映画は倫理を押しつけたり、何をすべきか語ったりはしません。各人が自由に選択できるべきなのです。



(C)2015 FIDELITE FILMS - WILD BUNCH - FRANCE 2 CINEMA - FANTAISIE FILMS
『92歳のパリジェンヌ』は10月29日(土)より公開

■参照リンク
『92歳のパリジェンヌ』公式サイト
http://gaga.ne.jp/92parisienne/

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