2016年12月。
SMAPの解散まで、およそ２ヵ月となりました。
最後の花道をどこに敷くのか、テレビ局や関係者は、いまだ手探りの状態にあるようです。

そんななか、ファンクラブ会員の元には、25周年の記念品として重厚な写真集が届きました。ずっしりと存在感のあるそれは、別の意味でもとても重く、実は私は、まだ開封できていないのです。

SMAPからの、最後のギフトが開けられない。

こんな人は稀かと思い、SMAPファンの友人たちにこぼしてみますと、「実は私も開けられない」、「開けていない。ずっとこのままにするかもしれない」という声がポツポツ聞こえてきたのです。

もちろん、到着後すぐに開封し、写真集とともに思い出のグッズを並べたり、「どれほど長い間彼らを愛してきたか」、ほとばしるようにSNSで語る人もいます。それは、とても素直な気持ちの表明だろうと思います。

その一方で、いつも口を開けば〝スマ〟の話をしていた人が、しんみりと押し黙っていたりするのです。
彼女たちの胸には今、どんな思いが去来しているのでしょうか。


ナミさん（45）は、木村拓哉さんを中心に長年SMAPを応援しています。
写真集を開けられずにいるひとりです。

「これから先も開けるかどうか未定だよ。開けるとしたら、解散後になるかなぁ。......いや、開けないかも。SMAPには、本音を言えばぎこちなくても最後にライブツアーくらいしてくれよ！ 全国行脚してくれよ！ な気持ちだけど。たとえば、紅白で終わりというのは違うと思うの。むしろ紅白なんかで終わりを迎えるんじゃねぇよ！って思う。縛りバンバンありーの変な演出ありーのの、人まかせな最後を見せないでほしいって......」

――どういうフィナーレがいいと思う？

「できればスマスマ（「SMAP×SMAP」）で、一週目は名場面集、最終週は客なしで（当選した人だけ、っていうのはズルいから）1時間ライブふうにしてほしい。リクエストを集めたアルバムを出すんだし、曲順そのままとかで、グループとして最後にテレビ上でライブしてもらいたい」


最後は、誰もが見られるテレビでライブをしてほしい......。
会場に足を運べないファンにも、等しく見納めの場を設けてほしいと願う気持ちは、痛いほどわかります。


今ひとり、マキさん（50）はデビュー当初から草彅剛さんに声援を送っています。

「写真集？ 開けてないよ。たぶんずっと開けないんじゃないの。いつもは会報が届くと部屋に上がるまで待ちきれなくて、玄関で封を開けてたのにね。そのためのハサミが、ポストの中に入れてあんの（笑）。」

――それなのに、開けられない？

「うん。うちは少し遅れて届いたんだけど、早くしてよ！ とかじゃなくて、届いたとき、ああ、うちにも来ちゃったって思った」

――ベストアルバム（※）が出るけど、それは買う？

「買う......のかな。でもね、本音を言えば、メンバーそれぞれがセレクトした楽曲でベストアルバムを作ってほしかった。5人分、セットで。そうしたら、たとえば今日は中居（正広）くん、明日は（稲垣）吾郎ちゃんっていうふうに、その人らしいSMAPの世界を楽しめるし、この人のは聴かないよ、っていうのがあってもいいと思う」

――各メンバーの息づかいが感じられるものがいいんだね。ラストステージについては、どう思う？

「紅白とか、スマスマとか、カウコンとかいろいろ言われてるけどさ......。私は、このまま気づいたら終わってた、みたいなのでもいいと思うんだ。わざわざ特番やったり、どっかに引っ張り出したりしなくても。 あれ？ 全然終わりっぽくなかったけど、終わっちゃったの？ って思うような。できることなら、普通に明日に続きそうな終わりがいい」


できることなら、普通に明日に続きそうな終わりがいい――。

このひと言に、万感の思いが込められているように思います。
SMAPファンは、今それぞれに気持ちに折り合いを付けている時期なのだと思います。
写真集を見つめている人、開けられないままの人、「誰が正しい」とかではなくて。

私について言えば、開けたら時が動いてしまいそうで、こわいのかもしれません。それでも、時計の針は確実に、12月に向けて進んでいます。

写真集を開けてみたら？

......開けられないのです。どうしても。



※「SMAP 25 YEARS」。ファンからのリクエストによって収録曲を決めるベストアルバム。12月21日発売予定。

文／みきーる
ジャニヲタ・エバンジェリスト。女子マインド学研究家。応援歴20年超のジャニーズファン。女心を知って楽しく生きるためのライフハック"女子マインド学"を提唱。著書に『ジャニヲタあるある』（アスペクト）『ひみつのジャニヲタ』（青春出版社）他。　●Twitterアカウント:@mikiru　●公式ブログ：『俯瞰！ ジャニヲタ百景』