堺雅人主演のNHK大河ドラマ『真田丸』。いま、視聴者からは、女優・松岡茉優演じる大谷吉継の愛娘・春が注目を集めている。
劇中、松岡が演じるのは、豊臣家の重臣・大谷吉継(片岡愛之助)の愛娘、春(後の竹林院)。彼女は第26話「瓜売」で、肥前・名護屋城にいた信繁(堺雅人)と初対面を果たし初登場すると、美しい"姫君"姿が注目を集め、男性ファンを中心に瞬く間に話題となった。さらに第28話では、秀吉(小日向文世)が信繁に対して春を嫁にもらうように命じるというシーンが登場したが、実はこの二人、後に本当の夫婦となる関係だけに、歴史ファンからの注目度は◎。というのも番組開始後半年以上経過してからという遅い登場の春だが、極めて重要な意味を持つ人物なのである。
春と信繁の結婚後に勃発した関ヶ原の合戦(1600)では、父、夫、義父のいずれもが豊臣方である西軍に属し、敗れてしまう。戦後まもなく夫とともに紀州・九度山に幽閉され、豪華絢爛な世界であった大阪とは天と地ほどの差がある貧しい生活を送るはめになるという、なんとも辛い結婚生活が待っているのだ。
しかし、彼女のすごいところは、ここで腐ったり、気に病んだりするだけで終わらなかったところ。実は、彼女がこうした極貧生活の中で、少しでもその暮らし向きを豊かにしようと考案したとされるのが、現代も信州の特産品として知られる織物の「真田紐」なのだ。通説によると、彼女は真田紐を家臣たちに預けて行商させることで少しずつ利益をあげながら、徐々に商品価値を高めていき、事実上の軟禁生活にありながらも、地道に蓄財することに成功したという。また、信繁との夫婦仲もすこぶる良く、幽閉先での厳しい暮らしの仲、長男・次男と相次いで出産。妻としても、母としても、強く、そして賢く生きた女性であったのだ。
その後、信繁が壮絶な最期を遂げることとなる大阪の役(1615)では、彼女も夫とともに大阪城へと入り、落城寸前まで、場内に設けられた屋敷に留まり続けたという。この時代特有の相次ぐ戦乱ゆえに、彼女を取り巻く環境は、決して恵まれたものであるとは言いがたかったが、そうした中でも苦難にめげることなく、自らの努力で道を切り開き、常に夫と共に生きたその人生は、実に天晴れなものであったと言える。果たして、そんな強く賢い女性を、弱冠21歳という若手でありながら、ドラマや映画にとどまらず、バラエティ番組でも才能を発揮するほどの柔軟性とたしかな演技力が注目を集める女優・松岡茉優がどのように演じていくのか、じっくりと見守りたいところだ。
https://youtu.be/L0zBKE9rNYg
■『真田丸』公式サイト(NHK)
www.nhk.or.jp/sanadamaru/
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