レオナルド・ディカプリオが、ハンティング中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負った上に、目の前で息子を殺され復讐心をその胸に宿す主人公を熱演し、俳優として5度目のノミネートで悲願のアカデミー賞主演男優賞を獲得した主演『レヴェナント:蘇えりし者』が絶賛公開中だ。リアリティへのこだわりから、キャスト陣が過酷な撮影に挑んでいることでも多くの注目を集めた本作だが、命に関わるような危険も多かったという。世界の終尾で公開を迎える日本だからこそ明かすことが出来る、究極の撮影現場とはどのようなものだったのだろうか?
本作の舞台は19世紀アメリカの広大な未開拓の荒野。狩猟中に熊に喉を裂かれ瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス(ディカプリオ)は、狩猟チームメンバーの一人、ジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)の裏切りで置き去りにされてしまうばかりか、愛する息子を殺されてしまう。フィッツジェラルドに復讐を果たすため、"生きる"という意志だけを武器に、グラスは大自然の脅威なか、厳しい冬の寒さに耐え、交戦中の部族の熾烈な襲撃を交わし、約120キロの容赦ない旅を生き延びなければならない。
【危険1】気温がマイナス27度まで低下することも!
本作の撮影でロケ地として選ばれた場所は手付かずの自然が残る未開の土地で、遠く離れたそれぞれの撮影ポイントは100箇所近くに及んだという。イニャリトゥ監督はなるべくCGを使わないことにこだわり、劇中のほとんどのシーンは実際に撮影されたものだという。例えばグラス演じるディカプリオが氷点下の中で裸になったり、極寒の川にダイブするシーンなど、普通ならスタントマンに頼るところを彼自身が撮影に挑んでいる。
おかげで、ディカプリオは撮影中にかなり頻繁に体調を崩していたと語っており、劇中シーンにこめられたリアリティもうなずける。さらに、手付かずの大自然が広がる土地はとにかく寒く、時にはマイナス27度まで気温が下がったという。クルーたちはお互いに凍傷の兆候が無いかを確認し合ったほどだ。
【危険2】雪崩が本物!
本作は、人工的な照明を使用せず、自然光のみを使用することにこだわって撮影された(夜のシーンは"火"の灯りのみを使用した)。彼らが撮影に使用できたのは、"マジックアワー"と呼ばれる、一日の内1時間半程度しか現れない、撮影に必要なだけの日光が差し込む時間のみ。こうしてこだわり抜かれた撮影はスケジュール内に収まらず、雪が解けてしまうというアクシデントにも見舞われた。CGで雪を描くという選択肢は当然なく、近くの山から雪を持ち帰ったりもしたが、最後には直線距離で1万キロ以上離れた南アメリカ大陸の南端まで向かい、映画に必要な冬の景色を捉えたという。
そして、こと雪に関して圧巻なのは、リアルへのこだわり故に実際の雪崩を起こしたという事実だろう。劇中で雪崩が起こるシーンがあるが、これはヘリコプターと爆薬を使用して実際に撮影されたもの。もちろん該当シーンは撮り直し不可の一発チャレンジとなったが、キャスト・スタッフはその撮影を成し遂げた。
【危険3】生肉を食べるために弁護士に相談!?
劇中で、グラスは生き残るために様々なものを食す。木の根、手づかみにした生魚等をディカプリオが貪る姿は非常に印象的だが、最も記憶に残るのはバイソンの生レバーを食すシーンでは無いか。このシーンではもともと、レバーに似せたゼリーを用いて撮影を行う予定だった。しかし、このシーンではディカプリオの本物へのこだわりが爆発。ゼリーではなく、本物のバイソンのレバーを用意したという。様々な感染症の危険すらも孕んだこのチャレンジに、ハリウッドのトップスターが挑むというのは並大抵ではない。エージェントや弁護士にもディカプリオは電話で話をつけ、この撮影に挑戦した。劇中で目撃できる、思わず咳き込むグラスの姿はディカプリオの本気のリアクションであり、リアリティにこだわるイニャリトゥ監督はこのシーンを迷わず本編に採用した。
上記のような過酷過ぎる撮影は、すべて映画の"リアルさ"を追求するために行われている。CG、スタントといった手法が溢れる現代にありながら、ハリウッドの大作映画にもかかわらず、それらの手段をあまり使用せずに撮影された本作の映像からは、大自然の過酷さや登場人物の動きを、まるでその場に居合わせたかのようなリアルさで体験できる。臨場感を極めた圧倒的なスケールの映像と、ディカプリオの鬼気迫る演技で描かれる、親子の深い愛とそこから紡ぎだされる奇跡のサバイバル。唯一無二の鮮烈且つ、壮大な映画体験を、ぜひ味わって欲しい。
映画『レヴェナント:蘇えりし者』は絶賛公開中
https://youtu.be/ogn4IbTs8cU
(C)2016 Twentieth Century Fox
■参照リンク
映画『レヴェナント:蘇えりし者』公式サイト
foxmovies-jp.com/revenant/
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