2時間スペシャルの初回から、怒涛の展開で飛ばすドラマ『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)。主人公の望月幸平(伊藤英明)が愛人と共に妻の毒殺を企てるが、妻は誘拐されて身代金2億円を奪われる。実はこの誘拐は夫の計画を知った妻の自作自演だった・・・。


1話では愛人・北里杏南役の相武紗季の大胆なベッドシーンが話題になった。幸平と激しく求め合い、多大な資産を持つ彼の妻・真理亜を痕跡の残らない毒物で殺すようにけしかける。

相武は高校生でデビューし、愛らしいルックスのアイドル的な女優だったが、2009年のドラマ『ブザービート』(フジテレビ系)で、山下智久が演じた主人公と北川景子が演じたヒロインの恋を邪魔する役に挑んだ。外面は良いが意地が悪く、陰湿な策略で2人を別れさせようとする。そもそも自分が浮気して山下と別れたのに。

この視聴者の反感を買う役がハマって、以後は嫌われ役が増えた。『リッチマン、プアウーマン』(フジテレビ系)では石原さとみの恋に横槍を入れ、『ミス・パイロット』(フジテレビ系)では堀北真希に冷たく当たり、『マッサン』(NHK)ではスコットランドから来たシャーロット・ケイト・フォックスに数々の嫌がらせを。

悪女役というと最近では菜々緒が評判だが、彼女は見るからにいかにもな悪女を演じるのに対し、相武は愛想が良さそうなだけに余計憎々しいパターン。『僕のヤバイ妻』でも嫌な女ぶりが存分に発揮されそうに思えた。

だが、2話では木村佳乃が演じる真理亜が自作自演の誘拐劇を振り返った。夫の浮気に気づき、寝室と愛人宅に盗聴器まで仕掛ける。自分を殺す計画を知ると先手を打って誘拐劇を緻密に練る。自ら生爪を剥ぎ、協力者の後輩に石で頭を殴らせ・・・。病院から家に戻り、夫に自分がしていたことがバレても、平然と薄ら笑いを浮かべ、そこまで計算の内だったよう。愛の裏返しで狂気じみた"ヤバイ妻"ぶりが「怖すぎる」とインパクトを残した

木村ももともとはサバサバした明るい女性のイメージだったが、近年は『息もできない夏』(フジテレビ系)で夫にDVを受け、『64』(NHK)では娘が家出して、映画『ホットロード』では女手ひとつで育ててきた娘とすれ違い・・・と、病み気味の役で演技の幅を広げてきた。今回の『僕のヤバイ妻』での恐ろしさにも繋がっている。

悪女の杏南も彼女の計略で幸平との愛人関係を世間に知られ、警察の取り調べを受ける羽目に。真理亜が一歩上だった。だが、杏南も怒りに震えながら、行方知らずの2億円を奪い取ろうとしていて、このままでは終わりそうにない。

今後も急展開が予想される『僕のヤバイ妻』で、木村と相武の悪女ぶりを見比べるのも面白い。直接対決もあるはずで恐ろし気でもあるが。そして、女優として"悪い美女"枠のリアルな奪い合いになっているのかもしれない。

文・斉藤貴志






■参照リンク
『僕のヤバイ妻』公式サイト(火曜よる10時から関西テレビ・フジテレビ系列にて放送)
ktv.jp/yabatsuma/


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