第88回アカデミー賞で見事! 作品賞&脚本賞をダブル受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』が好評だ。数10人もの神父が児童へ性的虐待を行い、カトリック教会が組織ぐるみで隠蔽した衝撃の一大スキャンダル。これをボストン・グローブ紙の調査報道チームが暴いていく実録ドラマは、正義に満ちたジャーナリズムの追求として観る者の正義感も着火するほどの骨太ドラマ。その日本公開を前に劇中で唯一、女性記者として活躍するサーシャ・ファイファーを好演。本年度のアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたレイチェル・マクアダムスが緊急初来日! AOLニュースでは、来日インタビューを敢行した。
――あからさまなスーパーヒーローではなく、地に足のついた記者の地道な活動が感動的でしたが、実際にモデルとなったご本人に会って、アプローチをしたそうですね?
そう。サーシャやほかのジャーナリストたちも皆同じだったけれど、自分たちの実生活は二の次にしていたの。監督のチョイスも面白いと思ったけれど、映画の中でもジャーナリストたちの私生活をほぼ描いていないのよ。報道を仕事にしている彼らは、すべてにおいて仕事が前面に出ているので、家庭環境や人間関係を無視してしまっていて、私生活が上手くいかなかったりすることが往々にしてあったようなの。
――それでも、性格的には正義感の強い熱い人間たちで、マイナスな印象はなかったです。
だからこそサーシャがサバイバー(※被害者のこと)の話を聞く時に自分の意見や解釈の良し悪しを相手に押し付けることはせず、彼らが話しやすい安全な環境を作って、すごく思いやりがある聞き手になっていたと思うの。それらコンビネーションが、どれだけ痛ましいことでも彼女に話してしまうきっかけになったように思うわ。
――実際、そういうシーンもありましたね。サーシャ個人のキャラクターが出ているシーンだったと思います。
それが彼女を演じることの、ひとつの手掛かりにもなったの。それに、彼女はすごい好奇心の持ち主で、権威があるもの、大きな機関に対しては、つねに"それでいいのか?"という問いをしなければいけない、と思っているの。本当に切れる女性なのよ。思考もものごいスピードで、めちゃくちゃ早口(笑)。今回、監督に「なるべく本人に近い演技を」と言われていたので、撮影初日にわたしも超早口でやってみたけれど、ちょっと何言っているかわからなかったので、それは採用されなかったわ(笑)。
――サーシャという女性には、全体のどの瞬間で自分のモノになりましたか?
わたしの場合、モノになった、そうじゃない、の繰り返しなの。だから、監督のところに行って、毎回自分が正しいゾーンにいるかどうかを確認していたわ。そういう意味でテレビがいいなあと思うことも映画に対してはあって、映画だとモノにしたと思うとクランクアップしてしまうことがあるけれど、テレビのほうが長期的にじっくりとひとつの役柄を演じられるから。
――そういう意味では本人に接触して準備したことが、いい結果につながったようですね。
そうね。今回はサーシャとお会いして、彼女も惜しみなく自分の人生について何度も教えてくれたので、そのおかげで役にたどり着く瞬間がいつもより早かったと思う。それにiPodに監督と脚本家が事件について彼女に聞いている音声データを入れていたので、シーンに入る前に彼女の肉声を聞いて立ち戻ったりもしたの。それもすごく役に立った。彼女と直接的なアクセスがあったことは、とても役に立ったのよ。
――今回の作品に出演した主な理由についてですが、"ラブロマンスのクイーン"と呼ばれているイメージを変えたいという想いもありましたか?
そういう理由はなかったけれど、確かに俳優としてはひとつのイメージだけ持たれたくはないと思ってはいるわ。いままでも幅広い役柄を演じてきて、これからもいろいろと違うキャラクターを演じたいわ。残念なことに観客の視点で言うと、インディーズを全然観ないでロマコメを観る機会が多ければ、そのイメージになってもしょうがないわよね。でも、女優でいる人生が大好きな理由には、自分ひとつの人生だけれど、その中でたくさんの人生を生きることができることよ。その中で世界中を旅したりする経験ができることも素晴らしいわ。
映画『スポットライト 世紀のスクープ』は、全国大ヒット上映中!
■参照リンク
映画『スポットライト 世紀のスクープ』公式サイト
spotlight-scoop.com
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