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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2015/08/24
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おはよう! 岡田斗司夫です。
メルマガ読者の方から、多数質問をいただいています。
かたっぱしから答えてみましょう。

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「人工知能の未来についてどう思いますか?」

 最近は色々なものに人工知能が使われていますが、人間が出来る事は何でも出来るようになってしまうのでしょうか?
 岡田さんは今後の人工知能について、どのように思いますか?
 
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 20世紀半ばぐらいから、人工知能みたいなものができた。
 鉄腕アトムみたいに自由に言葉をしゃべれて、感情を持ったロボット。
 車が空を飛ぶ。
 宇宙旅行に行ける。
 修学旅行で月に行く。
 そういう話あるじゃん。
 それはすべて100年から300年のオーダーなら、いずれ可能になると思うよ。


■タイムマシンもどこでもドアも30年以内には実現しない

 僕らが生きているうちの話になってくると、何かが実現するには30年かかる。
 つまり、10年ずつの段階がいる。
 1番最初はそれが"可能になるきっかけ"の大きい発見が必要。
 論文みたいなものだよね。

 だからタイムマシンはあと30年間は絶対ないよ。
 なぜなら、1番最初の基礎理論がないから。
 今はまだ可能性を考える段階しかない。

 可能性があれば、10年間で革新的に技術的な発展がある。
 20年目には革新的なコストダウンが行われる。
 そうすると30年目くらいに、ようやく僕らの生活に入ってくる。
 コンピューターが僕らの生活に入ってきたときも、やっぱり30年かかった。

「どこでもドア」(コメント)

 どこでもドアはコストダウンの直前までいってないし、革新的な技術も発見されてないし、基礎的な理論もできてない。
 だから30年以内は無理。


■人工知能は「無限ゲーム」が不得意

 自然言語で普通に話して感情を持つコンピューターや人工知能に関しては、今のところ30年以内にないと思う。
 なぜなら感情をコンピューターで表現することに関して、基礎的な研究すらない。
 そうじゃなくて、知能を持って人間を負かしてしまうような存在なんだ。
 それはチェスのような有限ゲームだけじゃなくて、この世界は無限ゲームじゃん。
 ゲーム業界の用語で、「ゼロ和ゲーム」ってあるんだ。

 今から話す業界の知識は、だいたい40年くらい前のもの。
 だから聞いている人が適当にアップデートしてください。
 「ゼロ和ゲーム」はチェスみたいに、"プレイヤーがお互いの持ってる材料の全部を見れる状態"のこと。使える駒の数も有限だし、取れる戦略も有限じゃん。
 ところが外側の世界まで行っちゃうと、有限ゲームとは限らない。

 「ゼロ和ゲーム」は勝つものがいたら必ず負けるものがいる。
 これがゲームの基本理論なんだ。
 これは計算しやすいから、コンピューターが得意なんだ。

 コンピューターが不得意なのは無限なもので、有限じゃないゲームなんだ。
 例えば恋愛が、"勝つものもいれば負けるものもいる世界"だったら、恋愛は計算ができることになってくる。
 でも両者がハッピーになったり、誰もならなかったりする結果は当たり前にあるじゃん。
 つまり「ゼロ和ゲーム」じゃないんだよね。
 なので、人工知能がそれを計算するのはなかなか難しい。

(次号へ続く)


【まとめ】
 コンピューターは有限ゲームが得意ですが、無限ゲームは不得意です。
 この世界は無限ゲームなので、感情をもって、自然言語で話すコンピューターは30年以内に開発されないと思います。