探偵ファイルでコラムを書くようになってから、やたら不思議なメールを受け取るようになった。
「○○事件の真相を聞いてください」
「芸能人○○さんのウラの顔を知っている」
「声優○○はヤリマンだ」
あの、そういう話は僕は興味ないので、探偵ファイル編集部に直に投稿した方がいいですよ?
「岡田斗司夫ならこういう話も聞いてくれる」という妙な信頼感もあうのかもしれない。
それはありがたいんだけど、僕はそういう暴露系には興味がない。
「なぜ興味がないのか、説明すること」には興味あるんだけどね(笑)
この世界は情報に満ちている。
「単なる情報には意味がない。諜報(インテリジェンス)に意味がある」と断言する人もいる。
それらの情報や諜報を、僕は「3つの層と1つの態度」で接している。
今日はそんな話を展開しよう。
情報の第1層「常識」
韓国政府は、日本に対して不寛容だ。
イヤガラセしてるようにも見える。
その理由は過去の経緯にあるようだ。
ひょっとしたら韓国や日本の国民性にも関係してるのかも知れない。
なので現在の日韓関係は、「悪い」
ここまでが常識。
新聞やテレビで言ってることと矛盾しないし、韓国旅行した人や留学生も反対しないだろう。
常識は「ない」と困るし、基本的に意見交換するときの基礎に使える。
なのでほとんどの事柄は「常識」を押さえていれば充分。
僕自身は「常識」より先の情報は、意識的に遮断している。
情報の第2層「ウラ」
「常識的には~と言われてるけど、そのウラは・・・」という話。
ネットの普及によって、こういうウラ話があふれるようになった。
ウラ情報のほとんどは「正義感はあふれてるけど、客観的な証拠は少ない」
そのぶん、面白い。
面白いということは「大衆的であり、大げさなごまかし・ヤラセや嘘が多い」という可能性を常に意識するしかない。
正義感をベースにしてるから「きっとこうに違いない!」「ゆるせない!」「疑うやつもゆるせない!」というバカ三段活用にもいっちゃいがちだ。
さっきの韓国の例で言うと「某テレビ局は韓国を推している」とか「中国政府は沖縄の独立をそそのかしている」とかがウラになる。
どっちも本当かどうかはわからない。
確かなことは「正義感の強いヒトほど信じやすい」ということ。
だから正義感に燃えて「本当に違いない」と主張する人はあとを絶たない。
簡単にアクセスも稼げるしね。
僕はウラに関して「テイストするけど摂取しない」ことにしている。
正義感の強い記事は、カロリーが高いけど栄養価の低い食品と同じ。
つまりそういう記事を読んじゃったら、できるだけ早く忘れる、というのが僕の態度。
情報の第3層「真相」
真相はやっかいだ。正義感も満たされずに、ストレスのみ残る場合がほとんどだからだ。
僕の尊敬する作家に橘玲(たちばな あきら)さんがいる。彼はいつも「熱い正義ではなく、残酷な真相」を語る。
たとえば、いま話題のギリシア経済についての考察が
こちら。
・一般のギリシア市民や法人は、いますぐ必要な現金を除いてすでに”避難”を終えている。
・貯金もなく、生活資金は年金のみという最弱者老人が、いまギリシアのATMに並んでいる。
・彼ら最弱者老人たちが餓死なりデモで死亡するという「事件」が起これば、ギリシアの一般市民たちも「年金交付年齢の引き上げ」を考えるだろう。
・だれかの「いけにえ」があれば、チプラス政権に有利になる。
現在、それをドイツもギリシアも待っている状態。
どうだろうか?
ここに「正義」はない。
徹底したリアリストの視点と、経済的・合理的な「真相」があるだけだ。
チプラス首相は選挙で選ばれた。
選んだギリシア市民はみんな「明日の経済破綻よりも、今日の現金を」を望んだ。
どこにも悪者はいない。
限りない愚かさと弱さがあるだけだ。
真相とは、正義感は満たさず、読む側のストレスがやたらに強い。
なので真相は喜ばれない。
だからネットニュースやメディアにも載らない。
隠されてるからじゃない。
アクセスが稼げないから、載せないだけだ。
で、ポイントは「態度」だと思う。
「常識」は必要。
「ウラ」は面白いけど、過剰摂取は危険。
バカになるからね。
「真相」はあまり役に立たない。
たとえばハンバーガーに使われる牛肉がどのように屠殺されているのか知っても、ランチはぜんぜん楽しくならないもんね。
このサイトを見ている人の動機は「暇つぶし」「役立つ情報集め」とかいろいろだと思う。
大事なのは「自分の態度」だよ。
ギリシア経済危機について、自分との関係はなにか?
韓国の日本バッシングについて、個人的な経験から語れることはないのか?
テレビの向こう側、ネットの向こうにある話だけ見てたら、それはステマに動かされてる人形と同じになっちゃう。
「常識」「ウラ」「真相」の、その向こうにあるのは
「いろいろ言われてるみたいだけど、オレの知ってる○○は」という個人で考えること。
語ること。
以上の理由で、岡田斗司夫は暴露系の話にはあまり興味がありません。
そういうウラ話を持ってる人、もうメールしないでください。
以上、情報サイト『探偵ファイル』よりお届けしました。
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