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岡田斗司夫の解決!ズバっと「「アオイホノオ」第三話「アニメーターへの決定打」のひみつ」

2014/08/02 06:00 投稿

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  • アオイホノオ
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岡田斗司夫のニコ生では言えない話
 岡田斗司夫の解決!ズバっと 2014/8/2
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おはよう! 岡田斗司夫です。

今日、明日は『解決ズバッと!』はお休み。
ドラマ『アオイホノオ』 http://goo.gl/YM9YwQ 見て頂けましたか?

ドラマを見ながら、僕が解説した昨夜のツイートのまとめをお届けします。


今回は第三話「アニメーターへの決定打」に関するツイートです。
これを読みながら本編を見直すと、面白さが深まりますよ。
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【第2話解説の訂正】
>正式にはグループCAS。カスではなくキャス、と発音する。
 これは矢野健太郎先生直々のツイートで間違いだったと判明。矢野さんたちが創立した当時はカス、と発音したそうだ。それがいつのまにかキャスに切り替わった。僕が大阪芸大で教えはじめた2000年代では完全にキャスが定着していた。

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学食で南たちに誘われるモユル

 背後を通る男子達は、やはりシャツをパンツに入れている。設定、細かいなぁ。

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・寝転んで、机に向かって、また寝転ぶモユル

 妄想だけで仕事しないモユル。モユルは自分と庵野たちの差がよくわかっていない。才能ではなく作業時間の違いだ。パラパラマンガも、モユルの作品より庵 野の作品が10倍以上も時間を要する。モユルが落ち込むべきは、「自分が口と妄想のみ達者な怠け者だ」という事実なのである。

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・庵野の使っているアニメ用紙

 庵野が使っているのはダイエーの計算用紙。単価が安くて、おまけに紙が薄くて下の絵が見えやすい。・・・と本人が語っていました。

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・津田ヒロミと飲むポカリスエット

 テーブルの上に、切り取ったプルタブが残っている。山賀が食べている「赤いきつね」だけでなく、今回登場する小道具のパッケージは1980年当時のもの。鉛筆や消しゴムも当時、本当に発売したモノばかりで統一している。

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・お好み焼き

 近畿圏以外の地方から大阪に来た者ほど、自宅でお好み焼きをやりたがる。大阪人は、お好み焼きは外で食べるもの、と割り切っているから。自宅で食べる場 合は、ちゃんと専用の「鉄板つきテーブル」を使う。ちなみに、岡田家にも近所の鉄工所で作ってもらった厚さ10ミリ、タテヨコ60×90センチほどのガス 式鉄板テーブルがあった。

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・ライリー8ミリホームムービー

 当時、まだ生き残っていた8ミリ映画。「大阪万博」「鉄腕アトム」などのシリーズが有名。ビデオやDVDの手軽さは無いけど、部屋を真っ暗にして8ミリ映写機がカタカタと音をたてながら、白い壁面に「映画」を上映するのはイベント性抜群だった。
 これ、80年代オタク男子の「女子ナンパ術」の典型でもある。つまりこのシーン、モユルは完全に津田さんを墜とす気マンマンなのである。

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・アニメショップ「ベロ」

 正しくは「アニメポリス ペロ」。東映直営のアニメショップであり、当時のアニメファンやマンガファンの聖地の一つ。大阪・梅田の東映会館3階にあった。ペロとは、東映長編アニメ「長靴をはいたネコ」の主人公ネコの名前。
 ショーケースに並んでいる「マジックインキ」の初期パッケージなど、とにかく小道具さんご苦労さまでした。
 モユルや庵野たちが見ているのは、そのペロ名物の「東映アニメオープニング集」の45分間エンドレス上映。

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・マジンガーZオープニング

 当時のアニメファンと、庵野や赤井達との差は「アニメを読み取る読解力」の差であった。モユルが「ど迫力」などという抽象表現で自分を納得させているのに対して、赤井や庵野は「なぜこのシーンはど迫力なのか?」という疑問を持って見ている。
 たとえばマジンガーが光子力ビームを撃つシーン。本編では直線的な光線なのに、OPでは同心円状の効果で「光が集中してチカラになる」という光線兵器の 本質を表現している。ビームを撃った瞬間、Zのコクピットにいる兜甲児が口の端で笑う。つまり彼はこの「無敵のチカラ」を使うことに快感を感じていて、そ れは見ている視聴者の子どもたちにも伝わるのだ。

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・羽根さん、お見事!

 東映の天才アニメーター羽根章悦さん。詳しくはwikiで見ればわかるけど、1964年の「風のフジ丸」から「火垂るの墓」「魔女の宅急便」「おもひでぽろぽろ」などの作画の最前線で活躍し、いまだ現役のアニメーターという怪物。
 庵野が感動するマジンガーZでの作画演出や新しい表現は、だいたい羽根さんが作り出したもの。

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・グレートとゲッター

 庵野や赤井が「グレートもいい」「ゲッターもいい」と言っているのは、作画演出を含めて「アニメとしてのメカニック、SF表現の新しさ」を切り開いたから。
 対してモユルがグレートやゲッター(ロボ)の評価が低いのは、マジンガーほどのオリジナル性がない、と感じているから。
 つまり、実はモユルの方がアニメファン的なのに対して、庵野・赤井はすでに「作り手の目」で作品を見ているのだ。

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・どうしてこいつら、調べようがないようなコアな情報を持っているんだ?

 「アオイホノオ」には登場していない重要な人物がいる。名前は永山竜叶(たつと)。彼は庵野と同郷の山口県民であり、庵野が所属していたアマチュアグ ループ「SHADOW」の代表でもあった。永山の交友範囲は広く、実際に後の岡田斗司夫などのDAICONグループに庵野たちを紹介したのも永山である。 この永山が当時、東京のアニメ同人誌を取り寄せたり、サークルに手紙を出したりしていたので、庵野や赤井はコアな情報を手に入れることができたのだ。

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・手塚治虫も言ってたじゃないか

 有名な「手塚語録」の一つ。声の出演は、まだ秘密らしい。

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・「こいつらは俺より先を行ってるかもしれません。でも俺より上を行ってるわけじゃない」

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 出た!これが島本マンガの魅力である「屁理屈と詭弁」!
「先を行く」というのはあくまで抽象的な喩えなのに、そこに「上ではない」という別の抽象概念を持ってきて、その語感のみで優劣や勝った負けたをこじつけようとしている。
 「逆境ナイン」「無謀キャプテン」など、島本作品にはこういう屁理屈や詭弁が目白押しだ。しかし!この屁理屈の言葉のチカラで登場人物達も読者も勇気を貰って、明日に立ち向かうのだ。
 かつてBSマンガ夜話で島本作品は「寝る前に読むと、やり場のない元気が出て困る」と評されたが、そのチカラいまだ健在なり!

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・「他人の能力が自分より上でも、けっして認めない」

 この矢野健太郎の言うことは徹底的に正しい。他者を認めるとか、客観的になる、というのはクリエイターにとって別に必要な才能ではないからだ。
 いまは認めなくてもいいんだ。いずれ、自分が彼と同じ高みに立ったとき、ライバルを超える作品を作り上げたときにはじめて、クリエイターは「過去の自分の未熟さ」を知り、恥じることができるようになるから。
 これを松本零士先生の言葉に翻訳すると
「今は勝てなくても、歯を食いしばって耐えろ。それが男だ」ということになる。
 庵野たちの才能を認めてしまい、もしモユルが苦しまなくなった時、その時こそがモユルが「何者かになる道」をあきらめてしまう瞬間なのだ。
 頑張れモユル、苦しめ、モユル!
 

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