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俗物王・叶恭子
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俗物王・叶恭子
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おはよう! 岡田斗司夫です。
先週は「読んで後悔した本」を書いたら、もう悪評プンプン。
「今度は役に立つ本を紹介してください」
「つまらない本の話はいりません」
自分の話術のヘタさを思い知りました。
マズい料理の話は盛り上がるのに、つまんない本の話って、なんて難しいんでしょう。
なので、今回は面白かった本。
面白かった、というか「これ、アリ?」な本です。
「 トリオリズム 」(小学館)
作者は【自称・セレブ】なお姉さん・叶恭子さん。
ネットでは「自分で書いていない」「ゴーストの代筆」とか勝手なこと書かれていますが、とんでもない。
プロの物書きとして断言します。
こんな内容を書けるゴーストライターなんて、日本には存在しません。
もちろん、ゴーストライターでは無く、編集者が長時間インタビューして書き起こした可能性はあります。
でも、ここに書かれている数機で特殊で、おまけにとんでもなく下世話な体験談は、まちがいなく本人のものだと僕は思います。
書いてる内容を簡単に言うと「中学二年の欲望を全肯定」。
ありとあらゆる下世話な快楽をすべて肯定してるんだけど、視点や文体が品格があるので、これがなぜか読めてしまうんです。
主張してる「内容」だけ取り出すと、ブラックマヨネーズの吉田さんとそんなに変わりません。
「男は誰でも、エエ女をとっかえひっかえ抱きたいやないですか!」
「カネさえあればエエんと違て、金持ちがなんぼカネ払っても脱げへん女が俺に抱かれる。そこがエエんですわ!」
こんな聞くに堪えない中二病患者の吉田さんの主張と、叶恭子さんの書いてる内容は大同小異です。
でもノーブルな文体と成金な装飾で飾れば、なぜか読めてしまうんです。
ただし、男性の僕にとっては「女性の中学二年生的な欲望」は共感できません。
なので、失礼ながらひたすらゲラゲラ笑いながら読みました。
”封筒をいただくこと、これ以上のプレゼントはございません。
中身は、土地や不動産の権利書や、株券などの有価証券。
こうしたものはなぜか、各国共通で茶封筒らしきものに入っているようなのです。茶封筒をプレゼントしてくださる方は、一番ものをよくわかってらっしゃる究極のお金持ちの鑑。プレゼントの達人です。”
どうですか? まるで「中学生の妄想」でしょ?
価値あるものと言えば不動産や証券類しか思いつかない。
それは「価格が高いもの」であって、けっして「価値の高いもの」ではありません。
この本の中で叶恭子さんが紹介するものに、なにひとつ「オリジナリティ」はありません。
彼女が愛してやまないグッドルッキング・ガイも、彼女自身には「独自の審美眼がゼロ」ということを証明してしまっています。
叶恭子さんは「世間の人が素晴らしいと言う保証のあるモノ」しか価値を見いだせません。
たいへん美的センスが乏しい人なんだと思います。
でも、センスゼロなのに、堂々と「茶封筒はステキ」とか「クリスマスツリーに現ナマ釣られたから、ぶっさいくな男でも一瞬で愛してしまった」とかおっしゃるんですね。
その堂々とした俗物性が逆にまぶしく、オーラに見えちゃうんですよ。
巨大な俗物的な欲望にまみれながら、風格のあるたたずまい。
これって「任侠の大親分」の魅力と同じじゃないでしょうか?
「トリオイズム」
笑いながら読めて、でもかなり「女性の本質の一部」を深く捉えた本だと思います。
では、また明日。バイバイ!
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