僕はですね、考え事は多いんですけども、わりと悩みは少ないんですよ。
だから、あんまり人がなんで悩むのかよく分からないんですけども、それでもたまに悩む事があって。
たとえば今週は、ずーっと講演で悩んでたんですね。
東京と大阪で一回ずつやらなきゃいけないって事で悩んでいたと。
それで僕は悩んだら書き出す癖があってですね。
どんな事を書き出したかっていうと、だいたい「時間が無い」とかですね。
「時間が無い」って本当に書いちゃうんですよ。
書いてもムダなんですけども、「時間が無い」って書いたら、「時間が無い」っていうこの心の中の心配を紙に写す事ができますよね。
そうすると、もうそれ以上は考えなくてもすむから。
「時間が無い」って書いたら。
「何を話せばいいのだろう」。
これも、書いちゃうんですよ。
これも書いちゃったら、もう「何を話せばいいのだろう」というのは僕が覚えなくても、紙が覚えてくれるから書いちゃうわけですね。
次に3番目に書いたのは、メモしてるんですけど「何でやろうと思ったんだろう?」ですね。
もう言ってもしょうがない事を考えるわけですね(笑)。
これも書いちゃうわけですね。
それで、「どれぐらい話せばいいんだろう?」。
枠は2時間取ってるけども、まるまる2時間話さなくても別にいいんじゃないかなと。
たとえば僕はこれから1時間ぐらい話してトイレ休憩するつもりなんですけども、「これが45分でもバレないんじゃないか?」とか、そういう事を考えるわけですね。
東京と大阪が同じ内容でもいいんじゃないか?
そうしたら話すことを一種類考えればいいだけでですね。
今話してる内容は実は東京の講演とまったく違います。
後で映像で公開するから皆さんは分かると思うんですけども、同じ内容を話すと僕がつまらないんですよ。
始めて話すことってドキドキして面白いんですけども、2回目になるともう本当につまらなくなるので、違う内容にしました。
なので僕は2倍しんどいんですよ。
・・・
こう、頭にわいてきたものを、全部紙に写していくんですね。
「引越ししたら、インターネットの回線を引かなきゃいけないんだけども、回線どうしよう?」とかですね。
あと「どうやっても痩せないよね」とか。
「ダイエットの本を出していたのに、この状態はいくらなんでもひどいよね」とかですね(笑)。
あとは「うーん、なんか最近、腰が痛いよね」とか。
そういう心配になっている事を、どんどんどんどん書き出すんですね。
なんでかっていうと、これは僕の基本的な考え方なんですけども、人間がいて悩んでいる状態っていうのは、たとえば「何を話そう?」とか「お金どうしよう?」とか「人をどうしよう?とか」、頭の中でモクモクモクモクと色んな事を考えてるわけですね。
で、この状態って、わりとかなりしんどいんですよ。
僕は “頭の中のワークスペース” って呼んでるんですけども、車でいうと人間の頭っていうのは、たぶん2トン車ぐらいなもので、2トンまでの問題や悩みを載せることが出来るんですけども、それをオーバーすると人間は動かなくなってしまうと思ってるんですね。
それで、これらがそれぞれ他の問題を吸い寄せるんですね。
「じゃあ、あれはどうしよう? これはどうしよう?」とかですね、「○○さんにもうこんな事を言っちゃったから、違う事をやったら嘘つきになる」とかですね。
他の問題をくっつけだして、本来だったらば2トン車のトラックだったら2トンの重さを運べるはずのものが、3トン4トン5トンの重さになっちゃうと。
これが悩みのしんどい状態だと思ってるんですよ。
なので、書き出すと。
それで書き出すとどういうふうになるのかっていうと、“書き出す” って言うのはテーブルの上に乗せる事なんですよね。
頭の中にあるゴチャゴチャしたものを、1個づつテーブルの上に乗せてみると。
そうして人間は始めて物を考える事ができると。
僕らはこの “頭の中でいろんな事を考える状態” を考える事だと思っているし、頭のいい人は全部こうやっていると思っているんですけども、それは絶対にウソです。
物事を考えるのが上手い人であればあるほど、問題をテーブルの上に乗せています。
つまり書き出していると。
旅行に行く前に、一回カバンの中のものをテーブルの上に出してからカバンに入れる人っていうのは、絶対に整理整頓が上手いんですよ。
昔、キャビンアテンダントさんの旅行術みたいな内容をテレビで見たんですけども、彼女たちはそのホテルに一泊しかしなくても、全部で七日間の旅でそれぞれのホテルに一泊しかしなくても、スーツケースは付いた瞬間に開けて、全部の荷物をクローゼットにしまったりハンガーにかけたりするそうです。l
それが一番早いから。
早いっていうのは何かっていうと、心の負担が少ないからですね。
全部、一回ベッドの上に並べちゃって、「これは洗面台に置いて、これは引き出しの中に入れて」っていうふうな、いつもっぽい場所にしまうと、この負担が軽くなると。
つまり、テーブルの上に乗せる状態になるわけですね。
それで人間の頭の中も同じでですね、頭の中でモクモク考えてる状態って、ものすごくしんどいんですよ。
早くテーブルの上に乗せてる状態にしたほうがいいと、僕は思っています。
・・・
ところがテーブルの上に乗せても済まない場合があるわけですよね。
どういう場合かっていうと、悩みが大きすぎるとか重すぎる場合。
考えている問題が、自分だけの事じゃなくて家族の事であったり、会社の事であったり、将来にわたって大きな問題の時とかですね。
「どの会社に就職すべきか?」とか、「自分は将来、何をすべきか?」とか、「どうしても○○になりたいんだけど、どうすればいいか?」ってなってくると、1個1個の問題がメチャクチャ大きくなっちゃうわけですよ。
その中に小さい問題もあるので、これがもうテーブルに乗らなくなってくるんですね。
ボロボロ落ちだすと。
こうなってくると、さっき話した “書き出す” って方法も、もう有効ではなくなる。
一番最初に人間は、ついつい頭の中だけで考えちゃう。
だから他人に相談したくなるんですね。
この状態をちょっとでも楽にしたくて。
で、誰かに相談するって事は、この問題をちょっと他にも移すってわけですね。
ところが移す時には言葉にしなきゃいけないので、絶対に正確なニュアンスは伝わらないし、言い難い事は言わないんです。
男性からも女性からも同じなんですけども、よくある質問で、「自分は浮気をしている」「不倫をしている」と、こういう相談をするときに、「俺、不倫してるんだけど、」ってバシッと言う人は、まずいないわけですよね。
「本当に家庭とか夫婦っていうのは、絶対のものなのかなぁ?」という抽象的な問題から話し出すわけですよね。
すると「この人は何の話をしてるのかなぁ?」と思いながらも、抽象的で一般的な事に対して、一般的な事から応えると。
もしくは女の子が男の子に「男女の間に友情ってあるのかな?」っていう場合って、だいたい恋バナの場合が多いんですけども、そこで馴れていない男の人は、いきなり「それは本当にあるのだろうか?」って彼女が望んでないような本質論を考えてしまって、延々ここから二人の話が合わなくなったりするんですけども。
人間、悩みを話すときに、どうやっても話しやすい部分から話すんですよね。
これは、しょうがない。
なので相談相手に移植されるのは、その話しやすい部分をスタート位置とした変な状態になっちゃうわけですよ。
なので話している最中に「ゴメン。 何か気が済んできた」って相談している側が言って、相談相手は何の事か分からないんですけど、「あ、そうなの? それならいいけど」と言って、話が打ち切られる。
これが、人を相手にして相談する場合です。
ただ、これもある程度やっていると、「実は自分が思っている事は、こんな事なんだな」とどんどん縮小してきて軽くなるという作用はあるので、他人に悩みを話すというのは大変素晴らしいんですよ。
だから、他人に相談する人は多いんですけども。
まぁ世の中には、そういう事を気軽に話す知り合いとかがいない人もいますし、あと気軽に話せる問題じゃないって場合も多いので、僕がお勧めしているのは “紙に書く” です。
紙に書いたら、その分、自分はその問題をその瞬間だけでも忘れてもいいから、テーブルの上に並べて一覧にする事が出来るんですけども。
これも今言ったように、あまりにも問題が大きかったら、テーブルの上にどんどん乗らなくなってくるんですね。
それでテーブルの上に乗らなくなってきたら、僕の場合はどうしてるのかっていうと、これは本当にノートでやってるんですけども、たとえば今回だったら “講演” っていう大きいくくりにして、その下に サブタイトルみたいな感じで付けていくわけですね。
「内容はどうしましょう?」とか。
こういうふうにしてメモをしだすようになります。
最初は思い付いたものを思い付いたように書いてるんですけども、「これは引越しの問題」「これはお金の問題」「これは中身の問題」「これは見せ方の問題」というふうに、どんどん分けるんですね。
それで悩んでいるのは “講演” についてなので、“健康” とかが出てきたら考えないようにして、この “講演” だけをザーッと考えるようにすると。
そうすると自分の持っている考える力の100パーセントを、今自分が悩んでいる問題に使う事が出来ると。
だいぶんマシになる。
つまりテーブルでいえば、今関係が無いものは全部テーブルの外に落としちゃって、今週中に考えなきゃいけないもの・2、3日以内に考えなきゃいけないものだけをテーブルに残して考える。
そういうふうにするわけですね。
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