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岡田斗司夫の毎日ブロマガ・増刊号「メンタリストDaiGoがテレビ局出禁をまったく怖がらない理由」

2019/09/23 08:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/09/23・増刊号
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今回は、ニコ生ゼミ9月22日分(#301)から、ハイライトをお届けいたします。

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 メンタリストDaiGoがテレビ局出禁をまったく怖がらない理由」

 メンタリストDaiGoのテレビ局民放出禁の話が面白かったんですよね。

 「テレビで勝手に発言を編集された」というのですね。

 「自分のニコ生で本当の事を言ったら出禁にするよ」と、「赤坂を歩けないようにしてやるぞ」とテレビ局に脅されたので、DaiGoが「別に出禁でもいいですよ」と言ったら、本当にテレビ局を出禁になっちゃったという内容が報道されました。

 これ、面白いのは、DaiGoが言ってるのは「テレビ屋さんの上から目線がイヤだ」という事なんですよ。
 
 
 そうなんですよね。

 テレビ屋さんって、当たりは凄い腰が低いんですけども、凄い上から目線で。

 やっぱり「最終的に編集してやるから、どう使うのかは、こちら側の料理しだいだ」という、そういう目線で見てるんですよね。


 それで、ああいうのが報道されると、「DaiGoは最近テレビに出れないから、悔し紛れにそんな事を言ってるんだ」と言ってる人もいるんですけども、まったく逆なんです。

 多分、DaiGoは、テレビに出てる有名人を含めて、音楽系のアーティストを除けば、日本で一番稼いでいる芸能人だと思うんですね。

 だから、「テレビに出る」っていう事が、もうすでに貧乏くさくなってきたと言うのかな。


 テレビに出る人って、雨上がり決死隊の騒動で分かるとおり、世間の事をずーっと気にしなきゃいけなくて、何かあったら一瞬で干されて、自分で謝る事も出来なくてっていうような状況に追い込まれちゃうんですけども。

 それに対して、ニコ生でもYouTubeでも何でもいいんですけど、自分のメディアを持っている人っていうのは、昔で言うと “作家” みたいなもんなんですね。

 昔の作家っていうのは、出版社から本が出ているから、自分の食い扶持っていうのは自分で開拓できたんですよね。

 それでYouTubeとかニコ生っていうのは、それよりも遥かに強い。


 作家はまだ出版社に出してもらわなきゃダメなんですけども、YouTubeやニコ生だとそうじゃなくて、自分で本当に何を話しても大丈夫ってところがあるじゃないですか。

 それで直に稼げるので、もうDaiGoはテレビ局が全然怖くない。

 というか、逆にテレビに出るメリットが無い。


 この「メリットが無い」とはどういう意味かっていうと、DaiGoはYouTubeやニコ生で話している限りは、自分で自由に話せるんですよ。

 それで好きな事が話せるから、自分で話している事に責任が取れる。

 いわゆる “宮崎駿の映画” みたいなものなんですね。


 もしテレビ局が宮崎駿の映画を好きなようにカットしたらどうなるのか?

 たとえば金曜ロードショーが60分しか枠が無いとして、「『もののけ姫』は2時間以上あるの? んじゃ、ウチが60分で適当に切ってオンエアするよ」なんて言ったら、宮崎駿は激怒して「もう金曜ロードショーでは俺の作品は やるな!」って言いますよね。

 DaiGoが言ってる事は、まさにそれなんですよ。


 「自分が言った事の適当に使いやすい部分っていうのを切ったり貼ったりして、それを流されたら、とてもやっていけない」って事なんですね。

 「それだと俺の商品価値が下がっちゃうじゃん」と。

 
 「テレビで言ってるような事を本当に言ってると思われたらdaigoの商品価値が下がるから、テレビには出ない」って話なんですね。


 あれって僕みたいに一応両方に足をかけている人間にとっては、ものすごい分かりやすい話なんですけども。

 メディアでしか見ない人っていうのかな?

 テレビとかネットとかでしか情報を集めてなかったら、そこらへんがちょっと分かりにくいんですよね。

・・・

 それで、そもその何でDaiGoの件の例を宮崎駿で出したのか。


 昔、宮崎駿のアニメっていうのは海外で売る時に、勝手にカットされてたんですよね。

 『風の谷のナウシカ』なんて、重要な部分が何箇所もカットされた挙句、VHSパッケージは全体の5%の早回しで発売された。

 それを最初、宮崎駿は知らなかったんですよね。


 宮崎駿は海外で発売されたビデオパッケージっていうのを貰ってなかったら、知らなかったんですけどもですね。

 昔、僕の知り合いでトーレン・スミスっていう外人がいて、日本のアニメとか漫画を海外・アメリカに紹介するヤツがいたんですけども。

 そいつが『風の谷のナウシカ』が凄く好きなのに、あまりに英語版が酷いっていう事を一生懸命 鈴木敏夫に言ってたんですね。

 「宮崎さんの作品の翻訳は、もっとちゃんとしないとダメだ」っていうのを鈴木さんに説明してたんですけども、鈴木さんはそれを宮崎駿に聞かれると、「もう海外に売るのをやめる!」と言われるので、ずーっと宮崎駿に伏せてたんですよね。


 僕はそこら辺の事情を知らずに、アニメージュ・グランプリの時に、たまたま僕らも呼ばれて行っていて、その時に宮崎さんもいたので挨拶をして、「宮崎さん、海外版が何か酷い事になってますよね」ってトーレン・スミスの話をそのまましたら、宮崎駿が立ち上がってですね、鈴木敏夫に詰め寄って怒鳴りだして「俺はもう帰る!」っていう事件があったんですね。

 俺、ものすごく鈴木さんに怒られたんですけどね(笑)。


 「言わんとする事は分かるけど、場所をわきまえろ!」って言われたんですよ。

 いや、その通りだと。

 でも僕も宮崎駿の性格を知らなかったから、まさかあの場で怒鳴りだして「帰る!」って言うとは思わなかったんですよね(笑)。

・・・

 そういう事があるので、クリエイターっていうのは、自分の発言がカットされたり、順番を変えられたりすると、まったく意味が違ってくるって事にすごい敏感なんですね。


 多分、DaiGoも、 “メンタリストDaiGo” という事でテレビに出始めのときは「しょせん俺はテレビに出ている人間なので、小道具の一部みたいなもんだから、編集されて勝手に発言を使われるのもしょうがない」っていう諦めが絶対にあったと思うんですよ。

 ところがYouTubeやニコ生で、自分の発言が全部そのまんま掲載されて、作品になるっていう快感を知ってしまったので。

 快感というか、作品性が分かってしまったので、もうテレビに出ることが凄い難しくなってるだろうなというふうに思います。


 だから、今、結構テレビに出る人っていうのは、逆に言えばテレビにしか出られない人か、もしくはそういうテレビの特性を知っていて「それでも俺はメリットがある」とあえて思っている人だと思うので。

 そこら辺のギャップが面白かったのが、このメンタリストDaiGoのテレビ局出禁事件ですね。


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