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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2017/06/18放送の『ニコ生ゼミ』
のハイライトをお届けします。
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「アニメは芸術か工芸か?」
「アニメベスト10を選ぶ」って企画をメジャーどころがやる場合、どうしても「芸術」として語っちゃうんだよね。
この芸術として語る時の問題点を説明するためには、「芸術とは何か?」っていう話をしなくちゃいけないんだけども。
僕の芸術の定義はもうシンプルで、僕は「表現自体が目的化した工芸」を芸術と呼んでるんだ。
つまり、本来、芸術なんてものは存在せず、あるのは「工芸」だけだったんだよ。
「絵画というものは存在しなかった」と言うのも変だけど、たとえば、もともとは「地味な襖を飾り立てるため」という用途で描かれていた絵が、いつの間にかに「絵単体に値打ちがある」ということになっちゃったわけだよね。
それが芸術の始まりだと思うんだけども。
他にも、前回の放送で話した通り、ゴシック教会の壁に描いてある宗教画も、最初は「キリスト教の教義や物語をわかりやすく理解させるため」のもの。
それが独立したものが絵画だと考えてるんだ。
これは僕の好きな『ムーミンパパの思い出』っていう本なんだけども、この表紙は、作者のトーバ・ヤンソン自身が描いた絵なんだよ。
これも、今では「アート」ということになってるんだけども、もともとは「このシーンはこんな感じなんだ」と、ストーリーを説明するために描いた絵に過ぎないんだ。
それが独立してやっぱり絵画芸術ということになっている。
でも、真に優れた絵画というのは……さっきからこっちに立ててるやつは、この表紙の絵のジグソーパズルなんだよね。
ここからもわかる通り、優れた絵画というのは、一瞬だけ芸術になることはあっても、最終的には元の工芸、いわゆる「襖とか屏風に描いてある絵」のような実用品みたいなところに、どんどん戻っていくものだというふうに思っているんだ。
ある段階で「表現」自体が目的化することはあっても、いずれは「機能」に戻る。
何の話をしようとしているのかというと、アニメってのはさ、もともと「子供に見せるためのもの」であったり、もしくは「ファミリー層に見せるもの」っていう機能があるんだよ。
その機能というのを置き去りにして、アニメの表現自体が目的化してしまった作品もあるんだ。
こういった、機能を置き去りにして目的化しちゃった作品というのは「芸術的だ」と言われて評価されやすい。
具体的に言うと押井守の作品がそうだし、俺が嫌いなタイプの湯浅さんの作品なんかもそうなんだよね。
つまり、本来持っている機能というのを無視して、作者とか、その取り巻き全員が「アニメというのは子供だけのものじゃない!」みたいなことを言いながら、表現自体をどんどん前に出して行ってしまえば、それはもう芸術になってしまう。
いや、もちろんこれは「芸術が悪い」という単純な話でもないんだよ。
機能のみに忠実になって、「子供のためのもの」という部分だけを守ろうとしている作品というのは、建前ばっかりで面白味がないんだ。
でも、だからといって、表現だけに走っちゃった作品、いわゆる視聴者を置き去りにしたままに作家性のみを追いかけて行った作品というのも、僕から見てみたらつまらない。
岡田斗司夫が一番面白いと感じるのは、機能と表現がぶつかり合った、緊張感のある作品なんだ。
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