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「【『アナ雪』主題歌シーンに隠された意味 1 】 多くの人が『Let it go』を間違えて捉えている」
今日はその『アナ雪』のヒットの秘密に迫ろうと思います。
とにかく、いきなり、真冬の山の中を、マントを羽織った女の子が歩いていて、歌を歌い始める。
それが盛り上がって来たところで氷の城が完成して、「少しも寒くないわ」というところまで、ノーカットで流れたんですよ。
つまり、『シン・ゴジラ』で言うと、ゴジラが初めてプラズマ火炎を吐いて、東京の街が炎に包まれるシーン。
予告の時点で、あそこを丸々ノーカットで全部見せちゃうみたいなものなんですね。
それくらい、クライマックスの一番おいしいところを、編集なしの切り出しでドーンと見せるということは、これは本編に相当な自信がある証拠だと思って、まあメチャクチャ期待したんですよね。
僕は、ここに『アナと雪の女王』の魅力がほとんど全て詰まっていると思います。
歌の見せ方、まとめ方、キャラクターの演技。
この「キャラクターの演技」という見方をしている人はあまりいないんですけど。
ここから、これまでのディズニー作品とは違った領域、ディズニーアニメがこれまで扱ってこなかった表現とか思想、今まであえて描かなかったところに、この作品を持って行こうとしているのがわかるんです。
それで、僕はそのノーカットの予告編を見た時に、背中がゾクゾクしたんですけども。
これがなんか、ちょっと炎上して、伊集院さんは、また別のところでフォローするような感じで「ディズニーの文法に全て則った、そこから一歩もはみ出すことのない映画」と言っています。
おぎやはぎの小木さんも、「これまで映画を見た中で一番つまらないかもしれない。どこにでもあるようなお話。なんだよ、この誰でも描けそうな話。何もひねってない。あれで記録かなんかになったんでしょ、映画の。すごいな、あんなので」と、もう本当にボロクソなんですね。
この吹き替え版の歌詞というのは、“翻訳” ではなくて、ほとんど “替え歌” なんですね。
「ありのままの姿見せるのよ。ありのままの自分になるの。何も怖くない。風よ吹け。少しも寒くないわ」とか「悩んでたことがうそみたいね。だってもう自由よ。なんでもできる」とか。
こんなふうに歌ってるから、わりとポジティブな内容に聞こえるんですよ。
これはだいぶ違うんです。
ラストなんか、超ポジティブです。
「これでいいの。自分を好きになって。これでいいの。自分信じて。光浴びながら歩き出そう。少しも寒くないわ」と。
実際、このポジティブさがウケたんですけど。
英語の歌詞を見ると全然違うんですね。
というのも、日本語というのは、メロディの音符1つにつき1音ずつ、つまり日本語の文字1つずつしか乗せられないんですけど、英語というのは音符1つにつき1つの音節、1シラブルを乗せることができる。
日本語版の翻訳も、日本でヒットした秘密の1つだし、英語版のもともとの歌詞というのもヒットした秘密なんですけど。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/02/04
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「【『アナ雪』主題歌シーンに隠された意味 1 】 多くの人が『Let it go』を間違えて捉えている」
『アナと雪の女王』というのは、かなり評判のいいアニメなんですよ。
「泣いた」という意見の人も多いし、いまだに主題歌の『Let it go』は、歌番組で定番になっています。
今日はその『アナ雪』のヒットの秘密に迫ろうと思います。
・・・
僕が『アナ雪』を最初に見たのは、劇場公開の半年以上前、たぶん9ヶ月くらい前だと思うんですけども。
映画館で、いきなり「ディズニー最新作!」ということで、4~5分ある『Let it go』の歌の部分が、丸々ノーカットで映画館で流れたんですよ。
とにかく、いきなり、真冬の山の中を、マントを羽織った女の子が歩いていて、歌を歌い始める。
それが盛り上がって来たところで氷の城が完成して、「少しも寒くないわ」というところまで、ノーカットで流れたんですよ。
この歌と映像のすごさにビックリした、というのと、あとは、これって明らかに “本編の中で一番カッコいいシーン” なんですよね。
「それを丸々見せるというのは、よっぽど自信があるんだろうな」って思ったんですよ。
「それを丸々見せるというのは、よっぽど自信があるんだろうな」って思ったんですよ。
つまり、『シン・ゴジラ』で言うと、ゴジラが初めてプラズマ火炎を吐いて、東京の街が炎に包まれるシーン。
予告の時点で、あそこを丸々ノーカットで全部見せちゃうみたいなものなんですね。
それくらい、クライマックスの一番おいしいところを、編集なしの切り出しでドーンと見せるということは、これは本編に相当な自信がある証拠だと思って、まあメチャクチャ期待したんですよね。
実は、この歌の部分だけは、いまだにYouTubeで見れます。
日本語版も英語版も見れます。
日本語版も英語版も見れます。
僕は、ここに『アナと雪の女王』の魅力がほとんど全て詰まっていると思います。
歌の見せ方、まとめ方、キャラクターの演技。
この「キャラクターの演技」という見方をしている人はあまりいないんですけど。
ここから、これまでのディズニー作品とは違った領域、ディズニーアニメがこれまで扱ってこなかった表現とか思想、今まであえて描かなかったところに、この作品を持って行こうとしているのがわかるんです。
それで、僕はそのノーカットの予告編を見た時に、背中がゾクゾクしたんですけども。
・・・
しかし、『アナと雪の女王』については、嫌いな人もメチャメチャ多いんですよ。
たとえばタレントの伊集院光さんはラジオで「毒にも薬にもならない映画」とコメント。
おぎやはぎの小木さんも「今まで見た映画の中で一番つまらなかった」とバッサリ。
おぎやはぎの小木さんも「今まで見た映画の中で一番つまらなかった」とバッサリ。
もともと伊集院さんがこの『アナと雪の女王』を見たきっかけは、「松たか子の歌と、声優の沙也加の素晴らしさ」しか言わないメディアや、あとは1時間しかない映画なのに、それについて2時間も語ってくる伊集院さんの奥さん……それも、ストーリーに関しては何も語らず、歌ばっかり歌っているということに興味が湧いたから見たそうです。
その上で映画を見て「ストーリーに関しては、悪いところも一切ないが、良いところも一切ない。毒にも薬にもならない映画だ」とラジオで発言しました。
これがなんか、ちょっと炎上して、伊集院さんは、また別のところでフォローするような感じで「ディズニーの文法に全て則った、そこから一歩もはみ出すことのない映画」と言っています。
おぎやはぎの小木さんも、「これまで映画を見た中で一番つまらないかもしれない。どこにでもあるようなお話。なんだよ、この誰でも描けそうな話。何もひねってない。あれで記録かなんかになったんでしょ、映画の。すごいな、あんなので」と、もう本当にボロクソなんですね。
・・・
まあ、そんな絶賛と全否定の両方の感想があるんですけども、実は、このどちらも、割とピントがズレてるんですよ。
まず、絶賛される理由というのは「歌が素晴らしい」ということなんですけど、この歌というのを、大部分の人が吹き替えで聞いているんです。
この吹き替え版の歌詞というのは、“翻訳” ではなくて、ほとんど “替え歌” なんですね。
たとえば、これが吹替版の歌詞なんですけど。
吹替版では『ありのままで』というタイトルで、かなりポジティブな感じで、松たか子さんが歌ってます。
「ありのままの姿見せるのよ。ありのままの自分になるの。何も怖くない。風よ吹け。少しも寒くないわ」とか「悩んでたことがうそみたいね。だってもう自由よ。なんでもできる」とか。
こんなふうに歌ってるから、わりとポジティブな内容に聞こえるんですよ。
これはだいぶ違うんです。
ラストなんか、超ポジティブです。
「これでいいの。自分を好きになって。これでいいの。自分信じて。光浴びながら歩き出そう。少しも寒くないわ」と。
実際、このポジティブさがウケたんですけど。
じゃあ、原語ではどうなのかというと。
こちらもまた長いフリップなんですけど。
こちらもまた長いフリップなんですけど。
英語の歌詞を見ると全然違うんですね。
というのも、日本語というのは、メロディの音符1つにつき1音ずつ、つまり日本語の文字1つずつしか乗せられないんですけど、英語というのは音符1つにつき1つの音節、1シラブルを乗せることができる。
サビの「レリゴー、レリゴー」という部分についても、英語版では音符3つに対して「Let」 「it」 「go」と、3つの単語を入れられるんですけど、日本語では「あ」「り」「の」、「ま」「ま」「の」としか入れられないんですね。
だから、英語版ではかなりいろんなことを言っている歌詞も、日本語の吹き替えで同じような歌にする場合には、かなり縮めなきゃいけないんです。
・・・
まあ、そんな事情があったとしても……たとえば、僕がやっぱり一番気になるのが「Let it go」の訳なんですね。
「ありのままで」と訳しているんですけど、本来「Let it go」というのは「もうどうなってもいい。本当にどうでもいい」っていう意味なんですね。
「もう元には戻らない」とか、そういう意味に近い。
「もう元には戻らない」とか、そういう意味に近い。
日本語版の翻訳も、日本でヒットした秘密の1つだし、英語版のもともとの歌詞というのもヒットした秘密なんですけど。
これを念頭に、僕がもう本当に大名作だと思う歌のシーンを冒頭からワンシーンずつ見ていきましょう。
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