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「【 漫画版『攻殻機動隊』を掴むための3つのキーワード 3 】ニューロチップ」
あのPM2.5というのが「1000分の2.5ミリ」なんですね。
だから、あれよりもちょっと大きいくらいだと思ってください。
髪の毛が、だいたいPM30くらいだというので、これの6倍くらいの太さが髪の毛だと考えて頂ければいいと思います。
これが30年前の技術ですから、この『攻殻機動隊』の中では、おそらくもっと小さくなってくるだろうと思われます。
おそらく、こういう白くなっている部分がありますよね。
ここらへんが神経細胞が壊死している部分なんですね。
では、これがなぜ死んでいるのか?
普通の人は「神経細胞の断裂が見られる」とだけ言われても、このページの読み方がわからないんですね。
そもそも、これが成功しているのか失敗しているのかも分からないんですよ。
だって「神経細胞の断裂が見られる」とか、「成長過剰で死にかけてる」としか書いてないんですから。
そのおかげで、一部、死んじゃってる部分もあるんですけど、それ以外は過剰成長しているから、制御できないくらいの思わぬ成長を見せて、もう作った人間ですら何をやっているのかわからなくなっている。
それが、『攻殻機動隊』の物語の、30年前の姿なんですね。
1つ目が「終末戦争とサイバーパンク」、2つ目が「バブル経済」、3つ目が「ニューロチップ」です。
これがそのニューロチップなんですね。
つまり、これが『攻殻機動隊』という作品の中の最後のキーワードとなっている概念なんですけど。
こういったものが、作った人間ですらもうわからないくらいの発展を遂げている世界。
それは僕らが今知っているような、スマホなんかの、2017年現在使っているコンピューターよりも遥かに進んだものが、この中には描かれているということですね。
首都東京が第3次世界大戦の核戦争で消えてしまった日本で、新しい首都として暫定的に作ったのが兵庫県の沖にある海上都市なんです。
そこに “新居浜県” という県名がついているんです。
そのニューポートシティという場所で話し合いが持たれています。
最初のセリフです。
さっきも言ったように、わずか8階建ての建物の中で「なぜ、いまさらシリコンの鉱床など」という会話から始まります。
このセリフが、すごくわかりにくいです。
「政府が『貴国の分離独立を認めない方針』に関与しないと保障できるほど重要な理由です」
――――――
「第三国を経由します」
「結構」
――――――
その後には、こういう会話が続きます。
言ってしまえば、石油とか原子力とか電気がある時代に、石炭の話をしているみたいなものなんです。
かつては価値のあった資源で、19世紀には「それを持っているか否かが国力を決める」とさえ言われた石炭は、20世紀になってからは、ほとんど意味をなくしている。
それと同様に、この21世紀の『攻殻機動隊』の世界では、シリコンなんていう20世紀のコンピューター技術というのは、全く意味を持たないんですね。
「そんなものに、なんで “今さら” こだわるんですか?と」いう質問から始まっています。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/30
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今回は、ニコ生ゼミ1月20日分(#265)から、ハイライトをお届けいたします。
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「【 漫画版『攻殻機動隊』を掴むための3つのキーワード 3 】ニューロチップ」
『攻殻機動隊』の第1話「PROLOGUE」は、いきなり、5万倍に拡大した “ニューロチップ” というコンピューターチップを見開きで見せる、というところから始まります。
「これは1998年、播磨研究学園都市で作られた成長型ニューロチップを5万倍に拡大したもの」とあります。
これが5万倍です。
このパネルは、たぶん、実際の原稿とほぼ同じサイズなので、これが5万分の1だとすると、だいたい1辺が0.006ミリ。1ミリの1000分の6のサイズのチップということになります。
このパネルは、たぶん、実際の原稿とほぼ同じサイズなので、これが5万分の1だとすると、だいたい1辺が0.006ミリ。1ミリの1000分の6のサイズのチップということになります。
これは “細胞” です。
つまり「生体部品などを使ったコンピューター技術というのがこの頃発達してきた」ということですね。
つまり「生体部品などを使ったコンピューター技術というのがこの頃発達してきた」ということですね。
これが、この『攻殻機動隊』という漫画の世界では、1998年の出来事となっています。
「30年前の時点でここまで進歩していた」と言ってるんですね。
「30年前の時点でここまで進歩していた」と言ってるんですね。
「この1辺が0.006ミリ」というのがどれくらいの小ささかというと、“PM2.5” っていうふうにいうじゃないですか。
中国から来る、まあまあ身体に悪い微粒子みたいなものですね。
フィルターを通ってしまうので、マスクとかをしても無駄だと言われている有害物質です。
中国から来る、まあまあ身体に悪い微粒子みたいなものですね。
フィルターを通ってしまうので、マスクとかをしても無駄だと言われている有害物質です。
あのPM2.5というのが「1000分の2.5ミリ」なんですね。
だから、あれよりもちょっと大きいくらいだと思ってください。
髪の毛が、だいたいPM30くらいだというので、これの6倍くらいの太さが髪の毛だと考えて頂ければいいと思います。
これが30年前の技術ですから、この『攻殻機動隊』の中では、おそらくもっと小さくなってくるだろうと思われます。
・・・
この解説の中でですね「まだ開発段階の生体部品なので、過剰成長で細胞が死にかけて、各所で神経細胞の断裂が見られる」と書いてあるんですけども。
こういうところを、やっぱりみんな飛ばして読んじゃうんですね。
じゃあ、どういう意味なのかというと。
おそらく、こういう白くなっている部分がありますよね。
ここらへんが神経細胞が壊死している部分なんですね。
では、これがなぜ死んでいるのか?
普通の人は「神経細胞の断裂が見られる」とだけ言われても、このページの読み方がわからないんですね。
そもそも、これが成功しているのか失敗しているのかも分からないんですよ。
だって「神経細胞の断裂が見られる」とか、「成長過剰で死にかけてる」としか書いてないんですから。
ここで注意すべきは「成長過剰」ということなんです。
この計画は成功しているんですよ。
人間の生体部品みたいなもの、脳を構成している神経線維、ニューロンみたいなものを、コンピューターのチップの上で培養することに成功して、それが過剰に成功して、もうコントロールが効かなくなっている。
だから「過剰成長している」んですね。
人間の生体部品みたいなもの、脳を構成している神経線維、ニューロンみたいなものを、コンピューターのチップの上で培養することに成功して、それが過剰に成功して、もうコントロールが効かなくなっている。
だから「過剰成長している」んですね。
そのおかげで、一部、死んじゃってる部分もあるんですけど、それ以外は過剰成長しているから、制御できないくらいの思わぬ成長を見せて、もう作った人間ですら何をやっているのかわからなくなっている。
・・・
いわゆる、配線式とか、もしくはシリコンチップで作っているコンピューターというのは、どこまでいっても人間が作った物であり、設計図通りに物が出来ているんですよ。
ところが、こういった生体部品で、勝手に成長するものというのは、思ってもみない形にどんどん過剰成長しちゃうもんだから、もうすでに、作った人間ですら、その仕組みがわからなくなってる。
それが、『攻殻機動隊』の物語の、30年前の姿なんですね。
つまり「 “バイオチップ” という、この作品の中に出てくるコンピューター技術、ネット技術というのは、すでに作った人間でもその中身が分からないようなものになっている」というのが、このコマの読み方なんです。
前回、『攻殻機動隊』を成立させる3つのキーワードの話をしました。
1つ目が「終末戦争とサイバーパンク」、2つ目が「バブル経済」、3つ目が「ニューロチップ」です。
これがそのニューロチップなんですね。
つまり、これが『攻殻機動隊』という作品の中の最後のキーワードとなっている概念なんですけど。
こういったものが、作った人間ですらもうわからないくらいの発展を遂げている世界。
それは僕らが今知っているような、スマホなんかの、2017年現在使っているコンピューターよりも遥かに進んだものが、この中には描かれているということですね。
・・・
次のページに行くと「新居浜県海上都市ニューポートシティ、2029年3月5日」とあります。
ここにある「新居浜県」というのも、単に架空の都道府県名を適当に出しているというわけではないんですよ。
首都東京が第3次世界大戦の核戦争で消えてしまった日本で、新しい首都として暫定的に作ったのが兵庫県の沖にある海上都市なんです。
そこに “新居浜県” という県名がついているんです。
そのニューポートシティという場所で話し合いが持たれています。
最初のセリフです。
さっきも言ったように、わずか8階建ての建物の中で「なぜ、いまさらシリコンの鉱床など」という会話から始まります。
このセリフが、すごくわかりにくいです。
――――――
「なぜ、“今さら” シリコンの鉱床など」
「政府が『貴国の分離独立を認めない方針』に関与しないと保障できるほど重要な理由です」
――――――
もう、主語、述語、関係代名詞が全くわからない会話ですね。
これ、なぜかというと “役人たちの喋り言葉” をそのまま書いているからなんですね。
――――――
「先の『独立を認めれば援助を行う』という約束は、いわばタテマエで、我々の貿易とも矛盾しません」
「第三国を経由します」
「結構」
――――――
その後には、こういう会話が続きます。
もう、何を言ってるのか全然わからないですね(笑)。
(中略)
「なぜ、“今さら” シリコンの鉱床など」というセリフには「今さら」のところに注意点が振ってます。
では、「シリコンの鉱床」というのが、なぜ「今さら」なのかというと、さっき説明した、右のページのニューロチップの解説と繋がっています。
この時代というのは、すでにニューロチップの時代に入ってしまったので、シリコンチップというのは、もう古い技術なんですね。
言ってしまえば、石油とか原子力とか電気がある時代に、石炭の話をしているみたいなものなんです。
かつては価値のあった資源で、19世紀には「それを持っているか否かが国力を決める」とさえ言われた石炭は、20世紀になってからは、ほとんど意味をなくしている。
それと同様に、この21世紀の『攻殻機動隊』の世界では、シリコンなんていう20世紀のコンピューター技術というのは、全く意味を持たないんですね。
「そんなものに、なんで “今さら” こだわるんですか?と」いう質問から始まっています。
つまり、一番最初にニューロチップの拡大図がドンと描いてあるのは、このシリコンとの対比を見せたいからなんですけど、もちろん、99%の読者はおいてけぼりになってます(笑)。
これがあるから、最初のセリフとして「なぜ、今さら?」というのが来てるんですね。
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