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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「【 漫画版『攻殻機動隊』を掴むための3つのキーワード 1 】終末戦争とサイバーパンク」

2019/01/28 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/28
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今回は、ニコ生ゼミ1月20日分(#265)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【 漫画版『攻殻機動隊』を掴むための3つのキーワード 1 】終末戦争とサイバーパンク
 
 では、早速、士郎正宗さんの『攻殻機動隊』の単行本の一番最初に収録されている「GHOST IN THE SHELL」という、たった1ページしかない第0話を見てみましょう。

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 この次の、第1話は「PROLOGUE」というタイトルなんですけど。この第0話の「GHOST IN THE SHELL」というタイトル自体が、この単行本のタイトルにもなっています。

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 バーンとビル街が映って、「企業のネットが星を覆い、電子や光が駆け巡っても、国家や民族が消えてなくなる程、情報化されていない近未来。アジアの一角に横たわる奇妙な企業集合大国日本」というナレーションが書かれています。

 そして、またビルが映る。


 これだけ見ると、ついついスーッと見過ごしてしまうんですね。

 ただ、この1ページには、ものすごく膨大な情報が詰まっているんです。

 というのも、こういった情報を、作者は最初の第1ページ目に、それも単行本のために、わざわざ描き下ろしているんです。

・・・

 この「GHOST IN THE SHELL」というエピソードは、たった1ページだけなんですよ。

 次のページからは、第1話の「PROLOGUE」というのが始まるんです。

 では、なぜ、この1ページのエピソードが必要だったのかというと……まあ、その前に、『攻殻機動隊』というのはどういう作品なのかをお話しましょう。


 士郎正宗さんという漫画家は、それまでは大阪の小さい出版社の “青心社” というところで漫画を書いていました。

 「青」い「心」の会「社」ですね。


 ここの社長が “青木さん” という人で「その青木さんの心のままに本を出す会社だ」という意味で、この社名になったと、僕は副社長から聞いたことがあります。

 「青心社とはどういう意味なんですか?」って聞いたら、「それはなあ、青木の心の会社やねん」って言ってたんですけど(笑)。

 その青心社というところから、描き下ろしの漫画として『アップルシード』という作品を発表して、マニアの間ではものすごく評価が高かったんですね。


 ただ、この人はとにかく筆が遅い。

 描き下ろしで本を出しているんですけども、1巻出すのに2年くらい掛かるので、「まあ、プロの漫画家になるのはとても無理だろう」と。

 あとは、同人誌みたいな描き下ろしの漫画単行本、いわゆる、昔の貸本時代の漫画家みたいな本の出し方をしていたんですけど、「それだけで十分売れてるので、プロにならなくても食っていけるんだろうな」って、みんな思ってたんですね。

 それが、まさかの講談社のヤングマガジンの別冊の海賊版からデビューするということで、みんなビックリしたはビックリしたんです。

 それも『攻殻機動隊』という漫画は、『アップルシード』のような、それまで彼が得意としている未来モノ、または『ブラックマジック』とか同人誌時代に描いていた金星を舞台にした超過去モノみたいなものではなくて、いきなり現代風の舞台だったんですよ。


 奥付によると、士郎正宗さん自身は、この作品を「サイバーパンクもどき」と卑下してるんですけども、構造自体は わりと おいしい話ではあるんですね。

 「相棒と組んだ刑事が悪を追う」という、いわゆる『水戸黄門』というんですかね?

 基本的には『あぶない刑事』みたいなお話で。「そんな中に、ちょっと近未来のガジェット、コンピューターとかハッキングとか、そういうのがいっぱい入っていますよ」という、すごく分かりやすい “ヒットしそうな素材” を持って来たんです。

 ということで、「ああ、士郎正宗、こんなことがやれるんだ!」ってビックリしたんですね。

・・・

 この『攻殻機動隊』には3つのキーワードがあります。


 1つ目は「終末戦争とサイバーパンク」。

 2つ目はですね「バブル経済」。

 3つ目は「シリコンからニューロチップの時代に移り変わっていく」ということですね。


 1つ目の「終末戦争とサイバーパンク」の方から説明してみましょう。

 『攻殻機動隊』がヤングマガジンで連載されたのは、1989年。つまり、1980年代の本当に後ろ、どん詰まりなんですね。

 80年代というのはどんな時代だったのかというと、この80年代には『北斗の拳』と、大友克洋の『AKIRA』という作品があるんです。

 この3つ共、核戦争みたいな大きな戦争が起こって、その崩壊後の世界を描いているんですね。

 だから、この時代特有の産物でもあるんですよ。


 『攻殻機動隊』というのは、『AKIRA』と『北斗の拳』という2つの作品と、ほぼ同時の作品だったんです。

 『北斗の拳』というのは、1983年から88年まで連載されていて、『AKIRA』はちょっと連載期間が長いんですけども、1982年から始まって、80年代には、わりと連載されていたんだけど、その後、長いお休みを取った後、1990年くらいにようやっと完結しました。

・・・

 さて、『ブレードランナー』という映画が公開されたのが1982年。

 ウィリアム・ギブスンが『クローム襲撃』という小説を発表したのが1986年。

 日本で翻訳されたのが87年あたりです。


 終末戦争の後の世界を描いた『ブレードランナー』、ウィリアム・ギブスンの『クローム襲撃』というのは “サイバーパンク” と呼ばれています。


 サイバーパンクというのは何かというと、よく世間で言われるのが「『ブレードランナー』みたいなもんだ」という説明です。

 たしかに、小説としてのサイバーパンクというのは1980年代後半に流行したのに対して、映画としての『ブレードランナー』の公開は1982年。

 そういう意味では『ブレードランナー』というのは、すごく予言的な作品だったんです。


 『ブレードランナー』で描かれた未来というのは、それまでの『2001年宇宙の旅』とかが作った「清潔で、明るくて、科学が支配しているが、その代り人間味がないような世界」ではなく、その全く逆の「不潔で、雨が降って空が暗くて、酸性雨とかが降っているから身体に悪くて、その代り人間味に溢れていて、欲望にまみれた人が売春宿とか博打とか一夜の快楽を探して、小汚い街をウロウロしている世界」だったんです。

 そういった未来像を『ブレードランナー』がバンと提示したんですね。

 それとほぼ時を同じくして、イギリスのSF小説業界が、サイバーパンクという、いわゆる「コンピューターネットワークの発達が人間の意識をもっと伸ばすのではないか?」、「人間の脳の中にコンピューターとか、もしくはネットワークが入ってきて、人が変わっていってしまうのではないか?」という予言が始まった時代でもありました。

・・・

 『攻殻機動隊』というのはそういう時代に描かれたんですね。

 まず「終末戦争モノが漫画界で立て続けにメガヒットしている中で、大作としてこれをやる」と。

 だから、講談社の、海賊版といえどもヤングマガジンという大舞台に出るという時に、士郎正宗が、まず終末戦争後の世界を描くというのは、すごくよくわかる話なんです。

 と同時に、『北斗の拳』でも『AKIRA』でもやっていなかった、サイバーパンクの世界をも同時に描いたんです。


 というのも、当時の漫画家としては、みんなやっぱり、パソコンとかそういうのが不得意だったんです。

 漫画家がデジタルで漫画を描くようになったのって、だいぶ後のことで、80年代はまだまだ不得意だった時代だったんですね。

 そもそも、パソコンのパワーもそんなになかったので。


 そんな中、あえて「将来、近い未来には、コンピューターネットワークが発達して、世界はこういうふうになる!」ということを、実際に絵として見せたのは、実は『攻殻機動隊』が世界で初めてだったんです。

 「『ブレードランナー』がサイバーパンクを予言した」と言っても、『ブレードランナー』には、いわゆるネットとか、もしくはコンピューターというのがほとんど出てこないんですね。

 そうではなくて、“未来の色” 的なイメージを決めたんですよ。


 それに対して『攻殻機動隊』というのは、「電脳とか、コンピューターが生活の中に入って来たらどうなるんだろう?」という “未来の理性” 的なイメージを見せたんです。

 携帯電話なんか全く使わずに会話をするという描写は、『攻殻機動隊』の中では第1話から当たり前のように出てきているし、僕らはそれを漫画として見るだけで「ああ、未来というのは、こういうスマホとか携帯電話を持たずに話すようになるんだ。そういう会話をいくつも振り分けするLINE的なものも出てくるんだ」とわかる。

 そういうビジョンを、ソフトバンクの社長とかが言うよりも、ずっとずっと前から『攻殻機動隊』は予言していたんです。

 これが、第1のキーワード「終末戦争とサイバーパンク」です。

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