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「マンガ読みのプロでも難しい原作版『攻殻機動隊』の凄さ 」
今回のニコ生ゼミは講談社刊、士郎正宗さん作の『攻殻機動隊』というマンガを徹底的に語っていこうと思います。
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今回は、ニコ生ゼミ01月20日分から、ハイライトをお届けいたします。
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「マンガ読みのプロでも難しい原作版『攻殻機動隊』の凄さ 」
今回のニコ生ゼミは講談社刊、士郎正宗さん作の『攻殻機動隊』というマンガを徹底的に語っていこうと思います。
何回になるか、わからないんですけどね。
とにかく徹底的に語って行こうと思います。
きっかけはコレなんですね。
スカーレット・ヨハンソン版の『ゴースト・イン・ザ・シェル』という映画が公開されまして、そこそこ映画館での評判も良くてですね。
まぁ、アカデミーはちょっと無理かもしれませんけども、興行成績もそれなりに取れると思います。
それで、これが公開されてですね、また日本でも『攻殻機動隊』のアニメが発表されたりという、大変調子がいい感じになっていると。
ただし、これはニコ生ゼミでいつも僕が言ってるんですけども、僕の不満というのは原作版の『攻殻機動隊』がそれほど評価されないという事なんですよね(笑)。
それで、この間ちょっとこのハリウッド映画版の『ゴースト・イン・ザ・シェル』の映画批評を読んだら「グレードが下がった」と書いている人がいたんですね。
つまり、原作版とかアニメ版はこういうふうな哲学性を持っているのに、ハリウッド版はグレードっていうかレベルが明らかに下がっちゃったというふうに文句を言っている人がいてですね。
僕も「あぁ、そうだよなぁ」と思いながら、でも僕を含めて原作版を好きな人は「それを言うんだったらアニメ版だってグレードが下がったじゃん」と。
原作版の『攻殻機動隊』が到達しているとんでもない高みに比べて、アニメ版っていうのは何かちょっと下がる気がしてしまう。
もちろんアニメ版の方が優れている部分もいっぱいあるんですよ。
でも、その代わり原作版が持っている凄い所でも失われている部分がある。
でも、その事を指摘する人が あまりいない。
という事で、じゃあ「あまりいない」という事を嘆いていてもしょうがないので。
じゃあ少なくとも原作ファン、「マンガ版の『攻殻機動隊』が一番だ」と思っている人たちは、いったい どこを評価しているのか?
そういう事を今回から語っていこうかと。
まぁ、みんなの意見というワケじゃないんですよ。
これは別にSFファンとか、古いオタクの人達みんなが持っている考えというのではなくて、あくまで岡田斗司夫の独断と偏見という事になるんですけども。
昔、『BSマンガ夜話』で、プロのマンガ読みの いしかわじゅん さんとか、夏目房之介さんと『攻殻機動隊』の話をしたときでも、「『攻殻機動隊』っていうのは、こういうふうに読むんです」って僕が説明しても、プロのマンガ研究家でありマンガ作家であるお二人でも「いや、それは読めないよ」「岡田、無理だよ」と。
「そこまで描いてあるんだったら、もっと分かりやすく描いてくれ」と。
「いや、岡田の説明を散々聞いたら、そこまで描いてあるのは分かった。 納得した。 でも、何でもっと分かりやすく描かないんだ?」って言われるんですね。
僕がそれに対して言えるのは、僕は士郎正宗さんじゃないですから何で描かないのかは分からないんですけど、たった一つ分かるのは「それを描いていると終わらなくなるからだ」というですね(笑)。
(中略)
これは単行本の裏表紙ですね。
単行本と言っても、実はこれは単行本じゃないんですよね。
左下に雑誌コードが付いてるんですよね。
という事で、実は『攻殻機動隊』は雑誌。
いわゆるヤングマガジン別冊 扱いというヤツですね。
士郎正宗さんは、あんな売れている国際的な作家なのに、『攻殻機動隊』の最初の本が講談社から出た時は、単行本ではなくて別冊雑誌 扱いされてしまっているというですね(笑)。
一応 奥付 とかも付いているんですけども、いわゆるコンビニとかで売る本の体裁なんですよね。
まぁ、後に豪華本とかもいっぱい出たんですけども、最初の時は雑誌だったんだなぁというふうなビックリする事があります。
すごくリアリティのある画力で描いてありますけども、当然これは “絵” なんですね。
別にこういう小道具を作って、ネジで止めたわけじゃなくてですね。
こういう本当か実写か絵か分からないような画風というのは、士郎正宗はこの『攻殻機動隊』あたりから確立しました。
その前に描いていた、たとえば彼の代表作である『アップル・シード』とかですね、あとは同人誌時代に出していた『ブラックマジック』とか、そういう所では絵面はリアルで、大友克洋さんの影響を大変受けているのは分かるんですけども。
ここまでのリアリティを持った画風っていうわけでは なかったんですね。
それは『攻殻機動隊』の本編が進む中でも、その当時、最新の機材であったパソコンとかを使いながら、どんどん絵が新しくなってきます。
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