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「『風の谷のナウシカ』 幻の王蟲のセルを公開します」
これが王蟲が襲ってくるシーンで使われた実物のセルです。
これが最大サイズですね。
それでこのセルの下には “ゲージ” と呼ばれる、すごい細かい「今のセルの位置がどの辺にあるのか?」という線が引いてあって、「コイツを何ミリ引っ張れば、どう動くのか?」っていうのが、ちょっと分かるようになっています。
これは本来は水平にして真上から撮影するモノなので、水平に写すとスムーズに動くようになります。
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いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/18
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今回は、ニコ生ゼミ01月06日(#263)から、ハイライトをお届けいたします。
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「『風の谷のナウシカ』 幻の王蟲のセルを公開します」
王蟲のセルが発見されたので、約束どおり今からちょっと公開しますね。
入手の経緯は2018年5月6日のニコ生ゼミで話したので、そっちを見てください。
もうちょっと具体的に言うと、昔アニメショップではセルを売っていたんですね。
“セルを売っていた” というのは、アニメ会社から仕入れたセルをそのまんま売っていたわけではないんです。
“売れるセル” と“売れないセル” を仕分けしなきゃいけなかったわけですね。
それで、いわゆる販売店のアニメショップと、その中間にある管理会社みたいなものが、別会社なわけですよ。
それでセルっていうのは、撮影所から “廃棄物” として届きます。
正確に言うと、『風の谷のナウシカ』だったら当時は“トップクラフト” って会社が作ったんですけど。
トップクラフトがアニメショップにセルを売ったのではなくて、トップクラフトという『ナウシカ』を作った会社は、撮影が終わったあとで「もうこのセルはいらないな」となって、産業廃棄物としてお引取り願ったわけですね。
その時に中間の会社が「いや、産業廃棄物代を払わなくても、わが社が無料で引き取ります」と。
お金がかかっちゃいますからね。
「その代わり、その中でイイヤツはアニメショップで売りますよ」と言ってきたわけです。
そういうふうに言われると、アニメ会社としては資金も苦しいですので、「産業廃棄物の処理代を払わなくて引き取ってくれるんだったら、ありがたいわ」という事で、セルをそのまま譲り渡したわけですね。
そうすると中間の会社はですね、またその膨大にあるセルの中から、使えそうなセルを探し出すんです。
だいたいそのセルっていうのも、つまんないセルが多いわけですよ。
口パクの口だけとか、手だけとか。
そういう中で、使えそうなヤツと背景を組み合わせて、やっと意味があるセルを見つけたら、それをホッチキスで止めて、袋に入れて、300円とか500円とかで売っていた。
そういう時代の話です。
そんな中で発見されたのが、『風の谷のナウシカ』の王蟲のセルですね。
では、一番最初の小さいセルをご覧下さい。
・・・
今、僕はボール紙の部分を触ってますけども、ここから先は手袋をします。
これが王蟲のセルの試作品と呼ばれています。
これがバラバラのパーツですね。
一つ一つが、塗ったセルを切り抜いているわけですね。
それで、こうやってバラバラのパーツ状にしているんですよ。
このセルは、裏から直に描いています。
だから、ここに見える絵っていうのは、裏から「表側は、こうなるんだろうな」と想像しながら塗るわけですね。
なかなかの職人仕事です。
それで、こうやって塗ったものを、一つ一つパーツを切り出して、バラバラにして、合わせて王蟲の形にするわけですね。
(補足:組み合わせる時に一本の平ゴムに各パーツを貼り付けます。そしてゴムに繋げた持ち手を引っ張ると王蟲の体が伸び縮みします。この仕掛けを使った密着マルチ撮影は特殊なもので、ゴムマルチと呼ばれています。)
では具体的な動きを見せます。
次の縦型のヤツをご覧下さい。
これが王蟲が襲ってくるシーンで使われた実物のセルです。
この下の黒い部分を引っ張ると、中の一つ一つの切り出したパーツが別々に動くんですね。
映画の『風の谷のナウシカ』の動きになってるでしょう?
これを撮影の時に、本当に動かして撮るから、王蟲がまるで生きているように見えるわけですね。
それで、今回 発見されたナウシカのセルが三種類です。
それで一番大きいセルをご紹介します。
デカイです(笑)。
これが最大サイズですね。
王蟲が横向きに移動するシーンです。
では、引っ張ります。
これで『ナウシカ』のアニメを作っているわけです。
それでこのセルの下には “ゲージ” と呼ばれる、すごい細かい「今のセルの位置がどの辺にあるのか?」という線が引いてあって、「コイツを何ミリ引っ張れば、どう動くのか?」っていうのが、ちょっと分かるようになっています。
これは本来は水平にして真上から撮影するモノなので、水平に写すとスムーズに動くようになります。
・・・
手袋を脱ぎますね。
あぁ、怖かった(笑)。
“ハーモニー処理” といって、セルとまったく違う質感が出るんですけども、実は、どういうふうに作ってるのかっていうのを知らない人が多いんですね。
で、僕がこういうモノが好きなのは、特撮と同じなんです。
アニメを作る部分って、ほとんど絵画であったり、動きであったり、演技であったりするんですけども、時々 “工作” の時があるんですね。
それで、その “工作” の部分が、模型心をすごいくすぐってくるんです(笑)。
実は今年の秋、ハリウッドに世界最大規模の映画博物館が出来ます。
それで、そのハリウッドに出来る世界最大の博物館の第一回の特集展示が『宮崎駿』だそうです。
それで、おそらく来年あたりに宮崎駿さんの映画の新作が出来る見込みがついたんじゃないかなぁというふうに、僕は考えています。
で、そのハリウッドの映画博物館の話は、年末ぐらいにニュースに流れました。
「まぁ、宮崎駿さんの新作が出来そうだから、鈴木敏夫がOKを出したんじゃないか?」というふうに僕は邪推をしているんですけども(笑)。
で、その博物館の関係者から、実は年末に非公式に打診がありました。
「岡田さんが王蟲のセルを預かってるそうだけども、ぜひそれを世界最大の映画博物館の第一回特集の宮崎駿の時に展示したい」というふうに打診がありました。
ところが僕は今、これを預かっているだけでですね、所有しているわけではないのでですね、所有者に、それも所有者の代理人に聞くわけですね。
もう本当に持っている人っていうのは、自分の正体を出したくないし、目立ちたくないという人なんで。
とにかく人目につくのがイヤだから、「とりあえず岡田さんが代理人になって交渉してくれた方が望ましい」と言われてましてですね。
今の所、持っている所有者の方が、ハリウッドの映画博物館に貸し出しをするかどうか自体の判断というのをしているそうです。
僕はその判断を聞いていません。
なので僕の方からは、これ以上 話せる事は無いんですけども、これほどの資料は 世界中の人に見せた方がいいと思うので、また続報があればお知らせします。
(補足2:ニコ生ではお見せすることはできませんでしたが、セルを裏側から見るとこのようになっています。)
(補足2:ニコ生ではお見せすることはできませんでしたが、セルを裏側から見るとこのようになっています。)
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