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「とんでもなく面白い児童小説『ブラッカムの爆撃機』 その2」
そんな爆撃機のチームの中でも嫌われ者として有名だったのが、本のタイトルにもある、ブラッカムという機長がいるチームでした。
その上、アイルランド人なんですよ。
アイルランドというのは、やっぱり、イギリスの中では仲間はずれということはないんですけど、ちょっと差別されてる場所なんですね。
彼はアイルランド人でカソリックだったもんですから、他の人と反りが合わずに、しょっちゅう喧嘩を起こしていました。
そして、ブラッカム機長のチームというのも、着陸の順番とかも守らずに、何度も事故を起こしかけてるような、そういうダメなヤツらだったんですね。
そんなもんだから、現地につくまでに、何割かはすでにいなくなっているんですよ。
イギリスを出発した時は500機くらいのチームだったはずなのが、100機くらいいなくなっています。
帰りも現地解散なんですよ。だから、バラバラに飛んで行くんです。
それぞれの飛行機の機長の判断で「こうやれば生き残れる」とか、「こうやったら危ない」というふうな勘所が違うんですね。
なので、バラバラに飛んで帰ります。
だから、インターコムの感度を上げたり、インターコムの音量を上げると、他の飛行機と話が出来ちゃうこともあるんですけど。
でも「まあ、あいつらは嫌なヤツだから」ということで、無視して飛んでたんです。
よくよく目を凝らして見ると、ドイツの戦闘機の “ユンカース” が、今まさに上昇して、ブラッカムの機体を襲おうとしてたんです。
すると、それを聞いた瞬間に、ブラッカムの爆撃機はクーンと左旋回して、一気にキリモミの急降下に入ります。ユンカースもそれを追いかける。
そして、両方の機体がほぼ同時に、お互いに向けて機銃を放ちました。
「その瞬間、光の糸が2つの飛行機を結んだ」と書いてあるんですけども。
どちらがやられたのかというと、意外なことにユンカースの方に弾が当たってしまします。
なので、火がコックピットに近づくにつれて、コックピットの風防、ガラス面がゆっくり溶けて、小さくなていくのが見えるんです。
ガラスが溶けて見えなくなると、中のパイロット達の恐怖の表情までが見えてしまうんですね。
よく聞いていると、「〇〇、早く脱出しろ! 何やってるんだ!?」と言う声が聞こえるんですけど、それに対する返事は一切ない。
つまり、後ろの方の席にいるヤツは、もう死んでしまっていて、そいつが場所を塞いでしまっているから、脱出ハッチを開けることも出来ないんです。
なので、ユンカースのパイロットは、もう乗っているしかないんですよ。
そして、ゆっくりと飛行機が燃えて行く中でジワジワと焼き殺されて行くしかないんですね。
ゲイリーのチームは何も出来ずに、「このドイツ機はなんで墜落しないんだろう?」と見つめることしか出来ませんでした。
というのも、撃たれたユンカースは、片側のエンジンがやられただけなので、まだ十分飛べるんですね。
でも、コックピットがもう火炙りになっているから、中の人間が生きて行けない環境になってる。
そんなドイツの戦闘機ユンカースは、墜落せずに、ついに中で生きているのがパイロット1人だけになってしまいました。
この体当たりを機長が避けると、ユンカースはそこからゆっくりと高度を落として墜落して行きました。
この時、ドイツ人のパイロットは、もう気を失い掛けているのか、ドイツ語で何かを呟くのが聞こえたんです。
「ママ、腕が取れちゃったよ」と言っているんですよ。
「ママ、操縦桿が熱くて、焼け付いてしまったから引っ張ったら、腕が全部とれちゃったんだ」と。
そんな言葉を最後に、そのユンカースは墜落してしまうんですね。
ここまでで、無料放送は終わりなんですが、ここから先は、この話はホラーになっていきます。
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2019/01/05
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今回は、ニコ生ゼミ12月23日(#262)から、ハイライトをお届けいたします。
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「とんでもなく面白い児童小説『ブラッカムの爆撃機』 その2」
そんな爆撃機のチームの中でも嫌われ者として有名だったのが、本のタイトルにもある、ブラッカムという機長がいるチームでした。
ブラッカムという男は、アル中で、教養がなくて、すぐに暴力を振るいます。
その上、アイルランド人なんですよ。
アイルランドというのは、やっぱり、イギリスの中では仲間はずれということはないんですけど、ちょっと差別されてる場所なんですね。
彼はアイルランド人でカソリックだったもんですから、他の人と反りが合わずに、しょっちゅう喧嘩を起こしていました。
そして、ブラッカム機長のチームというのも、着陸の順番とかも守らずに、何度も事故を起こしかけてるような、そういうダメなヤツらだったんですね。
ある日、またもや夜間爆撃の命令が来て、ゲイリー達タウンゼント機長チームと嫌われ者のブラッカム機長のチームは同じグループで出動することになっちゃいます。
タウンゼントは、いつもよりもさらに低空を、民家の煙突ではなく “屋根のレンガ” を擦るくらい低く飛ばせて、雲の切れ目に隠れ、雲の中を出たり入ったりしながら飛んでいました。
おかげで、ゲイリー達の爆撃機は、ドイツの夜間戦闘機に発見されずに任務を成功させることが出来たんですけど。
・・・
この時、出動した飛行機はイギリスから飛び立ったんですけど、夜間飛行だから、すぐにお互いの飛行機が見えなくなるんですね。
なので、同時に離陸したとしても、もう「○時○分頃、ドイツの上空で現地集合」という形なんですよ(笑)。
ドイツで現地集合したら、一番最初に着いたヤツが爆弾を落としたら、次のヤツは、その爆弾が落ちて燃えているのを見て「あの辺が燃えてるけど、あそこでいいんだよな?」って、次々に落とす。
まあ、そんなやり方でやってたんですけど。
ドイツで現地集合したら、一番最初に着いたヤツが爆弾を落としたら、次のヤツは、その爆弾が落ちて燃えているのを見て「あの辺が燃えてるけど、あそこでいいんだよな?」って、次々に落とす。
まあ、そんなやり方でやってたんですけど。
そんなもんだから、現地につくまでに、何割かはすでにいなくなっているんですよ。
イギリスを出発した時は500機くらいのチームだったはずなのが、100機くらいいなくなっています。
帰りも現地解散なんですよ。だから、バラバラに飛んで行くんです。
それぞれの飛行機の機長の判断で「こうやれば生き残れる」とか、「こうやったら危ない」というふうな勘所が違うんですね。
なので、バラバラに飛んで帰ります。
・・・
さて、そんなミッション終えた帰り道、たまたま隣を見ると、遥か向こうの雲の上をブラッカムの爆撃機が飛んでいるのが見えたんですね。
ゲイリーたちは「ブラッカムだ。やなヤツらだけどな」と思いながらも、インターコムに耳を傾けます。
インターコムというのは、エンジン音でうるさい飛行機の中だけで話す無線なんですけど。
これが不思議なもんで、夜空を飛んでいると、他所の飛行機の無線まで聞こえるんですね。
これが不思議なもんで、夜空を飛んでいると、他所の飛行機の無線まで聞こえるんですね。
だから、インターコムの感度を上げたり、インターコムの音量を上げると、他の飛行機と話が出来ちゃうこともあるんですけど。
その日の夜も、やっぱりインターコムの感度が良くて、ブラッカムの爆撃機にいる男たちの話し声が聞こえてきました。
でも「まあ、あいつらは嫌なヤツだから」ということで、無視して飛んでたんです。
・・・
お月さまが出ていたので、雲の上にブラッカムの機体の影が見えるんです。
青い影が雲の上をグーッと移動しているんですけど。
青い影が雲の上をグーッと移動しているんですけど。
この時、ゲイリーはその影が2つあることに気がついたんです。
つまり「ブラッカムの爆撃機の他に、何かがもう1機いる」っていうことなんですよ。
つまり「ブラッカムの爆撃機の他に、何かがもう1機いる」っていうことなんですよ。
よくよく目を凝らして見ると、ドイツの戦闘機の “ユンカース” が、今まさに上昇して、ブラッカムの機体を襲おうとしてたんです。
ゲイリーは無線士だったので「ブラッカム! 左旋回、下方に敵機!」と、とっさに大声で叫びます。
さっきも言ったように、なんとか他の飛行機にもインターコムが通じるので。
さっきも言ったように、なんとか他の飛行機にもインターコムが通じるので。
すると、それを聞いた瞬間に、ブラッカムの爆撃機はクーンと左旋回して、一気にキリモミの急降下に入ります。ユンカースもそれを追いかける。
そして、両方の機体がほぼ同時に、お互いに向けて機銃を放ちました。
「その瞬間、光の糸が2つの飛行機を結んだ」と書いてあるんですけども。
どちらがやられたのかというと、意外なことにユンカースの方に弾が当たってしまします。
・・・
当たったのは、ほとんど偶然だったみたいなものだったんですけど、ブラッカム隊は大喜びです。
ドイツのユンカースという戦闘機は “双発機” ……つまり、両方の翼にそれぞれエンジンが付いているタイプなんです。
どうやら、ブラッカム隊の放った機銃の弾は、そんな夜間戦闘機ユンカースの片側のエンジンに当たったみたいで、そこから火を吹いて、その火がメラメラと燃えながら、ゆっくりとコックピットに近づいて行くのが見えたんです。
もう、空中といっても、月灯りがある他に何もない状態ですから、本当に目の前にあるかのように、ユンカースが燃えて行くのが見えるんです。
翼のエンジンから出火した火が、段々とコックピットを炙っていく。
この当時の飛行機のコックピットというのは、ガラスではなく、正確には “ネオフォンガラス” という、いわゆるアクリル製なんですね。
日本空軍では “匂いガラス” と言ってたんですけども。
アクリル、プラスチックなんですよ。
日本空軍では “匂いガラス” と言ってたんですけども。
アクリル、プラスチックなんですよ。
なので、火がコックピットに近づくにつれて、コックピットの風防、ガラス面がゆっくり溶けて、小さくなていくのが見えるんです。
ガラスが溶けて見えなくなると、中のパイロット達の恐怖の表情までが見えてしまうんですね。
その上、ドイツ人のインターコムまで聞こえちゃうんです。
よく聞いていると、「〇〇、早く脱出しろ! 何やってるんだ!?」と言う声が聞こえるんですけど、それに対する返事は一切ない。
つまり、後ろの方の席にいるヤツは、もう死んでしまっていて、そいつが場所を塞いでしまっているから、脱出ハッチを開けることも出来ないんです。
なので、ユンカースのパイロットは、もう乗っているしかないんですよ。
そして、ゆっくりと飛行機が燃えて行く中でジワジワと焼き殺されて行くしかないんですね。
・・・
そんなふうに、ドイツ兵が脱出できずに生きたまま焼かれるのを、ブラッカムの爆撃機のヤツらは大笑いしながら見てるんです。
「おい、見ろよ! ドイツ人が焼かれてるぜ!」「おいおい、ドイツのバーベキューは美味そうだな!」なんて言いながら、ゲラゲラ笑ってる。
そんな声も、ゲイリー達には聞こえてしまいます。
「ナチ野郎が火炙りだ!」とか、「ドイツ語で『助けてお母さん!』と言ってみろよ!」と言っているのも聞こえます。
そんな声も、ゲイリー達には聞こえてしまいます。
「ナチ野郎が火炙りだ!」とか、「ドイツ語で『助けてお母さん!』と言ってみろよ!」と言っているのも聞こえます。
ゲイリーのチームは何も出来ずに、「このドイツ機はなんで墜落しないんだろう?」と見つめることしか出来ませんでした。
というのも、撃たれたユンカースは、片側のエンジンがやられただけなので、まだ十分飛べるんですね。
でも、コックピットがもう火炙りになっているから、中の人間が生きて行けない環境になってる。
そんなドイツの戦闘機ユンカースは、墜落せずに、ついに中で生きているのがパイロット1人だけになってしまいました。
すると、その機体がゆっくり上昇して、ゲイリー達の機体に体当たりしようと近づいてくるんですね。
この時、ガラスが溶けて丸見えになったコクピットに座るパイロットが見えたんですけど、顔の半分が焼け落ちていたんです。
この体当たりを機長が避けると、ユンカースはそこからゆっくりと高度を落として墜落して行きました。
この時、ドイツ人のパイロットは、もう気を失い掛けているのか、ドイツ語で何かを呟くのが聞こえたんです。
「ママ、腕が取れちゃったよ」と言っているんですよ。
「ママ、操縦桿が熱くて、焼け付いてしまったから引っ張ったら、腕が全部とれちゃったんだ」と。
そんな言葉を最後に、そのユンカースは墜落してしまうんですね。
・・・
ゲイリー達がようやっと基地に到着したら、嫌われ者のブラッカムのチームは先に到着して、パーティーを開いていて「ドイツ野郎をバーベキューにしてやったぜ!」と大笑いしてるんですね。
……しかし、そこから、何か奇妙なことが起きるようになったんです。
実は、この『ブラッカムの爆撃機』という小説は、最初にも言った通り、戦争モノじゃないんですよ。
“ホラー小説” なんですよ。
“ホラー小説” なんですよ。
ここから呪われた爆撃機の話が始まるという(笑)。
これ、本当に面白いんですよ。
ここまでで、無料放送は終わりなんですが、ここから先は、この話はホラーになっていきます。
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「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
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みなさんの質問で、僕も予想外の発想ができることも多いです。
だから僕は、質疑応答が大好きです。
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