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「貧乏なカナダ人の青年が、『攻殻機動隊』のコミックで当てて豪邸に住むまで」
僕は昔、SF大会っていうのをやったんだけども、DAICON3とDAICON4というSF大会を2つやって、アマチュアを卒業してプロになったんだよね。
で、プロになって、大阪で店開いた。
次に東京に来て “ガイナックス” というアニメスタジオを作って、仕事もそこそこ回りだした時に、また大阪で “DAICON5” というSF大会があったんだ。
「彼はトーレン・スミスという青年で、私はガイナックスの社長であります。彼のことは私が保証しますから、どうですか? アメリカで『うる星やつら』を出版させてやってください」という交渉を、もう本当に、出版社を一つ一つ回ってやったんだよね。
今考えれば、なんであんなことをしたのかわかんないんだけども。
……なんでだろうね?
トーレンの目的は分かるし、それをやった方がいいのも分かる。
まあ、それに協力したとしても、うちの会社にも僕にも何の利益も入らないんだけども。
でも、そんな面白いことを、誰か知らない人の手でやられてしまうよりは、そういう流れに身を置いた方が、「フォレストガンプ効果」というか、歴史の流れの変換点にいる気がして面白いじゃん?(笑)
本当に野次馬根性だけで、それにしてはやたら熱心に、「彼は! 彼は!」っていうふうにプレゼンして回ったんだよ。
その中で、唯一真面目にちゃんと検討して、作品を提供してくれたのが “青心社” っていう大阪の会社で。
そこが士郎正宗の一連の作品というのの出版を、どんどん許可してくれた。
なので、その2年後、彼はサンフランシスコに行ってスタジオプロメテウスという会社を作って、かなり成功したんだよ。
士郎正宗の作品とは、それが縁で、結局『攻殻機動隊』まで含めた全部を出版できることになった。
「日本の次に士郎正宗の漫画が簡単に読めるのはアメリカだ!」という状況を作ったのはトーレン・スミスだし、この間、実写版の攻殻機動隊がハリウッドで作られたのも、実はここから始まったところがあるんだよね。
今から25年くらい前に、トーレン・スミスが日本の出版社を回って、頭を下げて、いろんな本を出させてもらった。
そして、士郎正宗の作品をメインコンテンツにして、かなりの売り上げを出して成功した。
アメリカの映画界の中でも、彼がアメリカで出版した士郎正宗の漫画を読んでた人が、実はかなりいたんだよね。
だからこそ、あの企画が成功したっていう大きい流れが、歴史の陰にありました。
いかがでしたか?
「え?!それってどういうこと?」「そこのところ、もっと詳しく知りたい!」という人は、どんどん、質問してみて下さい。
番組内で取り扱う質問はコチラまで!
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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/11/16
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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2017/07/30放送の『ニコ生ゼミ』
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「貧乏なカナダ人の青年が、『攻殻機動隊』のコミックで当てて豪邸に住むまで」
僕は昔、SF大会っていうのをやったんだけども、DAICON3とDAICON4というSF大会を2つやって、アマチュアを卒業してプロになったんだよね。
で、プロになって、大阪で店開いた。
次に東京に来て “ガイナックス” というアニメスタジオを作って、仕事もそこそこ回りだした時に、また大阪で “DAICON5” というSF大会があったんだ。
DAICON3が1981年、DAICON4が1983年だけど、DAICON5はもう1980年代の終わりか、1990年代くらいの、かなり遅くになってから開催したんだけども。
僕は、そこに完全なお客として行ったんだよね。
そこで “トーレン・スミス” っていう、貧乏なカナダ人に会ったんだ。
僕は、そこに完全なお客として行ったんだよね。
そこで “トーレン・スミス” っていう、貧乏なカナダ人に会ったんだ。
トーレン・スミスは日本の漫画に惚れ込んでてさ。
カナダ人だから日本語も全然 出来ないんだけど、「なんとかして日本の漫画を翻訳してアメリカで出版したい!」っていう理想に燃えて、半年くらい日本で安いホテルに泊まり歩いて、出版社との交渉に行っていた。
ところが、彼はなんの実績もバックグラウンドもないカナダの青年だからさ、どの出版社にも相手にしてもらえないんだよ。
カナダ人だから日本語も全然 出来ないんだけど、「なんとかして日本の漫画を翻訳してアメリカで出版したい!」っていう理想に燃えて、半年くらい日本で安いホテルに泊まり歩いて、出版社との交渉に行っていた。
ところが、彼はなんの実績もバックグラウンドもないカナダの青年だからさ、どの出版社にも相手にしてもらえないんだよ。
DAICON5という大阪のSF大会に完全にお客さんとして僕が行った時、矢野徹さんというSFの翻訳をしているおじいちゃん、もう本当に偉い人に会ったんだけど。
そこで矢野さんが「こんなヤツがいるんだよ。 でも、うまくいかないんだよ」っていうふうに言ってたんだ。
そこで矢野さんが「こんなヤツがいるんだよ。 でも、うまくいかないんだよ」っていうふうに言ってたんだ。
それを聞いていた僕は、当時、ガイナックスがそこそこうまく行ってたもんだから、なんか余裕みたいなのがあったんだよね。
だから、なんか助けてあげたくなっちゃって、「じゃあ、“ガイナ荘” に来なよ!」って言っちゃったんだよ。
なんか、そいつ「住むところももうすぐ追い出される」って言ってたから。
だから、なんか助けてあげたくなっちゃって、「じゃあ、“ガイナ荘” に来なよ!」って言っちゃったんだよ。
なんか、そいつ「住むところももうすぐ追い出される」って言ってたから。
“ガイナ荘” というのは三鷹の方に借りた一軒家で、ガイナックスのメンバーで共同生活をするという、いわゆるシェアハウスの走りみたいなもんだよね。
「そこが一部屋くらい空いてたな?」と思ってタケダさんに確認したら「空いてる」って聞いたんで、もう、他の人間の同意も何も取らずに「じゃあ、お前はガイナ荘に住め!」って言ったんだ。
「そこが一部屋くらい空いてたな?」と思ってタケダさんに確認したら「空いてる」って聞いたんで、もう、他の人間の同意も何も取らずに「じゃあ、お前はガイナ荘に住め!」って言ったんだ。
(中略)
でも、それだけだったら、トーレン・スミスをなんとかしたことにはならない。
だから俺は、なぜかその時から、別に何の得もないんだけど、ガイナックスの名刺を持って講談社とか小学館とか集英社とか、いろんな出版社にトーレン・スミスと一緒に周ることを始めたんだよね。
だから俺は、なぜかその時から、別に何の得もないんだけど、ガイナックスの名刺を持って講談社とか小学館とか集英社とか、いろんな出版社にトーレン・スミスと一緒に周ることを始めたんだよね。
「彼はトーレン・スミスという青年で、私はガイナックスの社長であります。彼のことは私が保証しますから、どうですか? アメリカで『うる星やつら』を出版させてやってください」という交渉を、もう本当に、出版社を一つ一つ回ってやったんだよね。
今考えれば、なんであんなことをしたのかわかんないんだけども。
……なんでだろうね?
トーレンの目的は分かるし、それをやった方がいいのも分かる。
まあ、それに協力したとしても、うちの会社にも僕にも何の利益も入らないんだけども。
でも、そんな面白いことを、誰か知らない人の手でやられてしまうよりは、そういう流れに身を置いた方が、「フォレストガンプ効果」というか、歴史の流れの変換点にいる気がして面白いじゃん?(笑)
本当に野次馬根性だけで、それにしてはやたら熱心に、「彼は! 彼は!」っていうふうにプレゼンして回ったんだよ。
でも、やっぱりね、どの出版社も自分の所のキラーコンテンツは出せないんだよね。
結局、出版させてくれたのは、SF系の出版社とか、一発ネタがあるところとか、マイナーな出版社だけで。
それも「この作品だったら、アメリカでのテスト的に出させてもいいだろう」というのを提供してくれたんだ。
結局、出版させてくれたのは、SF系の出版社とか、一発ネタがあるところとか、マイナーな出版社だけで。
それも「この作品だったら、アメリカでのテスト的に出させてもいいだろう」というのを提供してくれたんだ。
その中で、唯一真面目にちゃんと検討して、作品を提供してくれたのが “青心社” っていう大阪の会社で。
そこが士郎正宗の一連の作品というのの出版を、どんどん許可してくれた。
なので、その2年後、彼はサンフランシスコに行ってスタジオプロメテウスという会社を作って、かなり成功したんだよ。
士郎正宗の作品とは、それが縁で、結局『攻殻機動隊』まで含めた全部を出版できることになった。
「日本の次に士郎正宗の漫画が簡単に読めるのはアメリカだ!」という状況を作ったのはトーレン・スミスだし、この間、実写版の攻殻機動隊がハリウッドで作られたのも、実はここから始まったところがあるんだよね。
今から25年くらい前に、トーレン・スミスが日本の出版社を回って、頭を下げて、いろんな本を出させてもらった。
そして、士郎正宗の作品をメインコンテンツにして、かなりの売り上げを出して成功した。
アメリカの映画界の中でも、彼がアメリカで出版した士郎正宗の漫画を読んでた人が、実はかなりいたんだよね。
だからこそ、あの企画が成功したっていう大きい流れが、歴史の陰にありました。
(中略)
そこまで追い込まれていたトーレン・スミスは、サンフランシスコで大成功をして、いつの間にかアメックスのゴールドカードまで持ってやがって。
彼はいつも俺のことを「オカダサン」って言うんだけど、「オカダサン、俺、あと2年か3年でリタイアして、カリブ海に住めるよ」って言い出して。
「お前、めちゃくちゃ景気いいな」って(笑)。
彼はいつも俺のことを「オカダサン」って言うんだけど、「オカダサン、俺、あと2年か3年でリタイアして、カリブ海に住めるよ」って言い出して。
「お前、めちゃくちゃ景気いいな」って(笑)。
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