今回のテーマは『王立宇宙軍』です。
表のテーマは「全クリエイター必見! 異世界の作り方教えます」というもの。
裏テーマは「『王立宇宙軍』とは何だったのか?」つまり、「どういう現象だったのか?」というのを語ろうと思います。
無料放送部分では、出来るだけ漫画やアニメに登場する “異世界” というものの凝った作り方を紹介します。
まあ、異世界モノって多いですよね。
“小説家になろう” のような小説投稿サイトにもいっぱいありますし、今はもう、漫画投稿の半分くらいが異世界モノになっているとも言われています。
でも、異世界モノって、なんとなく中世ヨーロッパっぽくなったり、ハリーポッターっぽくなったりしがちですよね。
そこで今日は、そういった異世界の実例を出しながら、もっとカッコいい、すごい異世界の作り方というのを、時間さえかければ誰にでも出来るように解説しようと思います。
後半の有料部分では、岡田斗司夫が認めたくない『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の “失敗部分” を語る予定です。
これはあんまり言いたくないんですけどね(笑)。
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今回は、全部で1時間ちょっとくらいの軽めな内容でお届けします。
なぜかというと、僕、3日くらい前に『王立宇宙軍』を久しぶりに見直したんですけど、全カット、絶叫モノなんですよ。
もう、あと10年は見たくないというか(笑)。
「なんで?」(コメント)
やっぱり「うわー辛い、悔しい!」って思っちゃうからですよ。
これについては、まあ、後半の方で語ります。
「映画監督があまり自分の作品を語らない理由」や、あとは「『王立宇宙軍』というのは、『エヴァ』はもちろん『トトロ』以降の宮崎駿にも実は大きく影響を与えてる」という話。
「『トトロ』以降の宮崎駿の作風が変わった理由は『王立宇宙軍』の影響だ」という話もしようと思います。
なぜ僕が「ぎゃー!」って叫ぶのかという話も、あまりにもシンドいので、後半まで置いておこうと思います(笑)。
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この『王立宇宙軍 オネアミスの翼』というのは、大ヒットした映画ではありません。
「掛けた予算を回収するのに15年掛かった」と言われているような、決して大ヒットした映画とは言えないんですけども。
しかし、同じ時代に作品を作っていたクリエイターに、ものすごい影響を与えた作品でもあります。
今日語るのは「では、なぜ、そこまで作家に影響を与えられたのか?」ということと、他には「今、『王立宇宙軍』と同じ思想や方法論を使って作品が作れるのか?」ということを語ります。
この「『王立宇宙軍』はどうやって “異世界感” を作ったのか?」という話については、前半の方で出来ればいいなと思っています。
ではでは、スタートです。
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今、八王子の夢美術館というところで「王立宇宙軍 オネアミスの翼展 SFアニメが出来るまで」という展示会をやっています。
この展示会、八王子まで電車で1時間以内くらいで行ける人は、行った方がいいと思いますよ。
展示会の会場自体が、松任谷由実の実家の荒井呉服店の隣なので、会場に行くついでに見学できますし。
この荒井呉服店の前では、大体、誰かが写真を撮ってます。
この展示会では、かなり昔の細かい設定資料も展示されていて、見応えがあります。
特に、いきなり行くんじゃなくて、今日の話を聞いてから行ったら、もう見え方が全く違いますから、ご期待ください。
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この『王立宇宙軍 オネアミスの翼』という映画を作るに当たって、僕らは “完全な異世界感の構築” というのを目指しました。
まあ、完璧な異世界感と言ってもいいですね。
では、そんな完全な異世界感というのはどういうことか?
たとえば “文字” です。
これは、『メアリと魔女の花』に出てくる文字です。
ファンタジー映画の多くには、その物語世界の中でのみ使われる “異世界文字” というのが出てきます。
『メアリと魔女の花』では、メアリが偶然手にした魔法の本の表紙に、模様みたいに独自の文字が書いてありますが、これが異世界文字なわけですね。
これは、後に大学に行った時に、大学の先生が黒板に板書している文字です。
他にも、図鑑のような本を開く描写の中でも、図案の周りの説明文っぽいところにグニャグニャっと、異世界文字が描いてあります。
これらは、かなり絵の上手い人が描いているので “それっぽい文字” に見えるんですけども。
まあ、異世界文字というのは、こういうパターンで作られるものが多いです。
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『メアリと魔女の花』というのは劇場作品だから、予算も製作期間もたっぷりあるんですけど。
一方で、最近は予算が貧困なテレビアニメの異世界モノでも、オリジナルの文字を作ろうというところが多く現れています。
たとえば、これは『異世界食堂』のワンシーンなんですけど、お店の黒板に「本日の日替わりメニュー」というのが異世界文字で書いてあるんです。
まあ、なかなか複雑なオリジナルの文字のようにも見えるんですけども、横に倒して見たらわかる通り「ホンジツノヒガワリ ホカヨリモオモトメヤスクナッテオリマス」というカタカナを、そのまま90度回転させただけなんですよね。
一瞬だけ、まじめに「これって楔文字か!?」とか思った自分が馬鹿みたいに見えるという(笑)。
まあ、こういう、ちょっと面白いパターンもあります。
俺、こんなシンプルな変換をやったテレビアニメを見るのは久しぶりで、ちょっとビックリしたんですけど。
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異世界文字というと、最近の作品で有名なのが『Re:ゼロから始める異世界生活』ですね。
『リゼロ』に出てくる文字については、「アニメごろごろ」さんというブログの中で、taida5656さんという方が「『リゼロ』に登場する異世界文字は、アルファベットをこういう法則で変換しているよ」とか、「あいうえおの変換もあるよ」というふうに解析した結果を発表してくれています。
このtaida5656さんは「『リゼロ』の異世界文字には、平仮名とアルファベットの両方があって、ひょっとしたらその他にもあるかもしれない」と仰っています。
同じように、『HUNTER×HUNTER』でも「あいうえお」に対応した、あの世界独自の文字というのが使われていますね。
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『王立宇宙軍』でも、同じように「あいうえお」と「ABC」の両方に対応した文字を独自にデザインしているんですけど、これには理由があるんです。
まあ、とりあえず見てみましょう。
さっき紹介した八王子でやってる『王立宇宙軍』の展示会の何が良いかって「写真撮影自由」なところなんですよね。
なので、僕も久しぶりに見た資料をバシバシ写真に撮ってきました。これから見せる写真も、全部、そこで撮影したものなんですけど。
これが『王立宇宙軍 オネアミスの翼』の中に出てくる文字を「あいうえお」に対応させた表です。
なぜ「あいうえお」に対応するように作るのかというと。『メアリと魔女の花』みたいに、グニャグニャとそれっぽく続けて書いてもいいんですけど、あれをやると、長い文章とかを見せた時に段々とボロが出てきちゃうからなんです。
日本語が持っているような “文節の区切り” や、英語にあるような “単語の区切り” 。
そういうものがないと、文章としてギッシリ書いた時に、異世界文字って、すごい嘘くさくなっちゃうんですよ。
なので、無理矢理でもいいから、アルファベットとか平仮名に対応させて、現実の世界にすでに存在している文章を書き換えるようにする。
そうするとリアリティが出るんです。
異世界文字にリアリティを出そうと思ったら、基本的には自分の母国語に対応させる形で作る方が良いんです。
僕らの場合は母国語は日本語ですから、日本語にあるような “平仮名” から “漢字” までを異世界文字で作って、現実にある日本語の文章を忠実に置き換えるというのが、鉄板のやり方です。
ちなみに、この表に描いてある異世界文字は上下2段の2種類の表記があります。
これは、上の段が “毛筆文字” で、下の段が “活字” になっています。
こういうふうに作っているんですね。
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