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岡田斗司夫の毎日ブロマガ「『りぼん』に投稿できる『デスノート』を考える」

2018/10/13 06:00 投稿

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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/10/13
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今日は【岡田斗司夫アーカイブ】から選りすぐり 2015/03/08放送の『ニコ生ゼミ』
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 『りぼん』に投稿できる『デスノート』を考える


 今回は、マンガを例にして、アイデアの出し方をやってみようと思います。

 今日は、大学の講義でよく使ってる話なのでですね、だいたい6年ぐらい前に、僕が講義でよく使ってたネタを久しぶりにちょっとやってみます。


 『デスノート』っていうマンガがあるよね。

 アイデアの作り方っていうのは、これを少女マンガにするのにはどうすればいいのか。

 まぁ、あんまりこんなふうに考える人、いないんだよね。


 昔、「少女マンガのアイデアで、なんかいいのありませんか?」というふうに聞かれて、そのときに答えたのが、「じゃあ、自分がすごく好きなマンガを、無理やり少女マンガに変換しろ」っていう話をしたんだよね。

 さっき言ったみたいに、「構造を同じにしたらどういうふうになるのだろうか?」という話。


 で、少女マンガのヒット作を自分流にアレンジするっていうのは、すごい難しいんだ。

 たとえば、『NANA』が好きだ。

 じゃあ、『NANA』みたいな話が書きたいって言ってアレンジすると、あっという間にパクリだとバレてしまう。

 そうじゃなくて、自分がすごく好きなんだけど、かなり無理があるところ。

 今、『黒執事』っていうコメントが出てきたんだけど、そうなんだよね。


 だから、女の子でマンガを描きたいって人って、黒執事とか、女の子の人気が高くても、安定してる少女マンガの方から何か自分がインスパイア受けて、そこからアイデアを作ろうとしてるから無理があるんだ。


 そうじゃなくて、『デスノート』みたいな、全く関係ないものから少女マンガを変換するんだ。

 それも、これは『なかよし』とか『りぼん』に投稿できるものにしようと。


 ここで、ちょっと枠をもうけたわけだね。

 「『なかよし』とか『りぼん』に投稿する」と。


 じゃあ、どういうふうにするのかっていうと、『デスノート』を構造で分解するよ。

 『デスノート』を構造で分解すると、“ノートに名前を書いたら死ぬ”。

 だから『デスノート』だよね。

 シンプル。

 ノートに名前を書いたら死ぬと。

 これは男性向けのマンガで、リアルな絵柄で書いて、おまけに半分ホラーっぽい要素があるからだ。


 じゃあ、そうじゃなくて、少女マンガに変換したらどうなるのかって言うと、『なかよし』とか『りぼん』だから、死ぬっつう訳にもいかないだろ。

 で、ノートっていうのを使っちゃう。


 でも、たとえば「ノートに名前書いたら相手が自分のこと好きになってしまうラブノート」って言ったら、編集部の人からボコボコに殴られるよね。

 もちろん、それはパクリだと言われる。

 バレちゃいけない。


 こういうふうに構造ベースで考える時っていうのは、どの部分を変換させて、どの部分を変換させないのかっていうのは『デスノート』の構成をよく考えるべきなんだ。


 『デスノート』の構成を考えてみたら、主人公の夜神月っていうやつがいる。

 月と書いてライトと読むんだけど、これがいいや。

 こいつが主人公ね。


 で、デスノートがどういう話かっていうと、ライトがLと戦うっていう話なんだ。

 ものすごいシンプルに言うと。


 ライトの味方には、リュークっていう死神がいると。

 はい、すごくシンプルに書くよ。


 死神リュークを味方につけたライトは、ノートに名前を書くことで、人を殺すことが出来る。

 「ライトが犯人じゃないか?」と気づいた、勘で思ったLは、ひたすらライトを責め立てる。

 というか、いろんな証拠みたいなものを探したりして、こいつを逮捕しようとすると。

 追っかけっこの物語なんだ。


 で、中心にあるのはノート、ライト、L。

 でも、これだけだったら、あまりにもライトが有利なんだよね。

 なのでここに、父親という要素があると。


 実は構造で分解しないとわからないんだ。

 構造で分解しないと、たとえば夜神月側にいるミサミサ(弥海砂)とか、いろんなキャラクターが気になってきちゃうんだけども。

 じつは構造で考えると、大事なのはライトとLと父親なんだよ。


 この父親が刑事さんなんだけども、この刑事がいないとライトとLの関係の持ちようがないんだよね。

 国際的に有名な探偵のLと、単なる受験生・高校生だったライトっていうのを結びつけるのは、この父親だけなんだ。

 この父親が刑事だからいけてるんだよね。


 ところがマンガの中ではたいして強いキャラクターとして描いてない。

 何でかって言うと、平凡な正義感を持って、捜査能力も普通程度の、まぁ人のいい刑事さんとして書いてるんだよね。


 なので、この父親のキャラクターがクローズアップされてないんだけども、構造にすると、ものすごい重要。

 だから、この人をここに書くんだけども。


 では、この構造をベースにして少女マンガにしてみよう。

 少女マンガにする時は、さっきも言ったように『デスノート』っていう訳にはいかない。

 なので、もっと分かりやすく、ノートよりは女の子に共感を生んでスマホ。

 デス(死ぬ)よりも『なかよし』や『りぼん』の女の子の読者に共感を生むというふうなことで“ラブスマホ”だよね。

 まあ、8年前はラブ携帯って言ってたんだけど、恋愛のスマホっていうふうにしてみる。

 これぐらいでいいんだ。
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