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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/09/28
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今回は、ニコ生ゼミ9月16日(#248)から、ハイライトをお届けいたします。

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 「【『ホモ・デウス』解説 】 頭の中から雑音が消える機械の話 

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 『ホモ・デウス : テクノロジーとサピエンスの未来』についての解説。

 今回は、この本の第3部に面白いポイントがあるので、その話だけしておきますね。

・・・

 これは第3部の、「ホモ・サピエスによる制御が不能になる」のところに出てくる経頭蓋直流電気刺激装置(tDCS)ってヤツです。

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 これは人間の脳というか、オデコとか、いろんな所に電極を当てるんだと思ってください。

 それで、微弱な微弱な電流を流すと。

 それが商品化されたものが、これです。


 それで脳の特定の部分に電極を当てて、たとえばプラス極が当たっている脳の部分は活性化される。

 マイナス極があたっている部分は沈静化される。

 そこが面白いんですね。


 活性化する部分と、沈静化する部分を選ぶことが出来る。

 これが、この下の方の写真で、それをやっている所です。


 それで、これはまだまだ試験中なんですけども、アメリカではすでに「これは試験中なんだけども “医療品” として売らなきゃいいだろう」という事で、ゲーム機として発売されているんですね。


 この上のヤツがゲーム機として売っているヤツなんですけども。

 「シューティングゲームで使うと、集中力が上がる」というデバイスです(笑)。 


 foc.us(フォーカス)、集中というダジャレみたいな名前です。

 みなさんも “foc.us” で検索したら商品が出てきますから、これで売ってるんですけども、集中力が上がると。


 何でそうなのかって言うと、経頭蓋直流電気刺激装置っていうのは、元々は統合失調症の治療に開発されたデバイスなんです。

 それで一部では、これによる治療も始まっています。


 それで成果はバラバラで、ものすごい成果が上がった場合もあれば、あまり成果が出なかった場合もあると。

 それで、もうこの機械を脳に埋め込んだ人もいるんですよね。


 それで心臓のペースメーカーみたいに、胸の辺りにコンピューターとか電池とかを埋め込んだ人がいて、これで欝症状がなくなると。

 欝症状になりかけると、この欝を起こす部分というのをマイナス極で落として、元気の出る部分というのをプラス極で上げていくっていう事をするそうです。


 それで、ある患者がこれの手術をしたんだけども、何ヶ月かして「いや、やっぱりダメです。 どうしても、しんどくて、しんどくて」っていうので検査してみると、電池が切れていたと(笑)。

 どうも埋めた電池がちょっと古かったらしいんですね。

 で、電池を換えたらメチャクチャ明るくなって、「どうもーっ!」って言って帰っていったそうなので、効果は、すごくある場合もある。


 ただ、まだそれは一般的に市販したり、一般の治療として出来るものでは無いんですけども、そろそろ日本でも臨床試験が始まっています。

・・・

 それで、この機械にアメリカの軍部が目をつけました。

 オハイオ州のライト・パターソン空軍基地ですね。


 ニューメキシコ州のロズウェルに墜落したUFOの宇宙人の死体が保管されている事で有名な、ライト・パターソン空軍基地なんですけども(笑)。

 しかし実際はもっと地味で、もっと凄い事をやっています。


 それで、このライト・パターソン空軍基地には、人間有用性局という、人間がどれぐらい有用性があるのかを測る局ですね。

 ヒューマン・エフェクティブネス・ディクトレートという部局があってですね、そこで狙撃手、スナイパーとか、あとはドローンのパイロットの集中力を長時間 維持する研究というのをやっています。

・・・

 それでイギリスの科学雑誌『ニュー・サイエンティスト』の記者のサリー・アディーという人が、数年前に特別に取材を許可してもらって、このヘルメットを被りました。

 その人間有用性局で研究している、狙撃兵の集中力を増すためのヘルメットを。


 だいたい、普通は狙撃兵の集中力っていうのは、25分から40分ぐらいと言われているんですけども、このヘルメットを付けると6時間、場合によっては12時間ぐらいの集中力がでるというふうに言われてるんですね。

 そんなヘルメットを被るという実験に、このサリー・アディーは参加しました。


 一番最初は、このヘルメットを被らずに戦場シミュレーターに入りました。

 それで戦場シミュレーターでは、自爆用の爆弾を持ったテロリストがサリーの所にドンドンドンドン走ってくる映像が映るんですね。

 それでライフルを持たされたサリーは「それを撃て」と言われるんですけども、とにかく何とか一人を撃ったら、その後ろから三人が来ると。

 なのでサリーはパニックになって、ライフルを捨てて、そのシミュレーターから逃げ出してしまったそうです。


 それで次にサリーはヘルメットを被りました。

 なのにヘルメットを被っても、何の変化も無いんですよ。

 ただ口の中が、金属っぽい味がすると。

 「何か金気くさい、アルミのスプーンとかを口に銜えているみたいな金属っぽい味がするなー」と思ってシミュレーターの中に入ったんですね。


 そうすると、割と落ち着いて、何かランボーとかシュワルツェネッガーみたいになったつもりでバーンと撃って、敵が来ても割と落ち着くと。

 パニックも起こらないと。

 それで、あっという間にシミュレーションが終わっちゃったそうです。


 さっきは凄く長く襲われたのに、今回はすぐに終わったから、「何か機械の故障かな?」と思って聞いたら、「いや、あなたはテロリストを全員 殺しましたよ」と言われて、ビックリしたそうなんですね。

 サリーにとってはすべてが一瞬の事だったんですけども。


 さっきは一人を撃っただけで、もうパニックになって逃げてしまったのに。

 ヘルメットを被ったら、何十人もいた敵をすべて殺しつくして、その意識もほとんど無かったんですね。

・・・

 それで、サリーの話は ここからなんですよ。

 この日から、この実験に参加してから数日間、取材してから数日間、サリーの頭の中から一切の雑音が無くなったそうです。

 一切の雑音です。


 どういう意味かっていうと、人間は誰しも、いつも心の中に、いろんな声というか “雑音” みたいなのがあるじゃないですか。

 たとえば「ちょっと暑いな」とか、「帰りにゴミ袋を買いに行かなきゃな」とか、「あれ、何ていう曲だっけ?」とか、いろんな雑音みたいなものが頭の中でつぶやかれていると。

 ところがサリーには、数日間、一切、それが無くなった。


 完全な静寂による、完全な集中が可能になったそうです。

 その集中の間、サリーがずーっと考えた事が、「今すぐシミュレーターに戻って、あのヘルメットをもう一回被りたい」という事だったそうです。


 サリーは後に、だいたいこんな事を言ってるんですけども。

 「私たちは子供の頃から、いろんな雑音が聞こえる」と。

 「自分の心の中に“敵意” とか “恐怖” をささやかれる」と。

 
 たとえば「アイツには敵いっこない」とか、「そんなのは自分には出来っこない」とか。

 そんな声を、いっぱい聞いていると。


 「アイツはキライ」とか。


 それは自分自身でそう思ってるんではなくて、自分が説き伏せられて、自分自身が説き伏せて思っている事がいっぱいあったと。

 それが全部、聞こえなくなったと。


 「アイツらの正体は、なんだったんだろう?」と。

 それで、「もし、この機械が実用化されて、みんなが私みたいに “あの声” が全部 聞こえなくなったら、いったいこれからの人類の歴史や世界っていうのは、どうなってしまうんだろう?」というふうにサリーは考えたそうです。


 この話、すごい面白いよね(笑)。

 怖いけども、面白くていいなぁと思います。

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