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岡田斗司夫の毎日ブロマガ 2018/08/27
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今回は、ニコ生ゼミ8月19日(#244)から、ハイライトをお届けいたします。

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 【友達不要論と『幸福の「資本」論』 1 】幸福な人生の為の3つの資本

 僕が大学で講義していた時、「わざわざ友達を作ろうとするな。勝手に出来た分に関してはしょうがないけど、出来るだけ距離をとれ」と言っていたんです。

 なぜかというと、「大学というのは、自分の時間を最大化して好きなことに集中するための場所なんだから、そこで友達なんか作ってどうするの?」って、マジで思ってたからなんですけど。

 でも、これを実行できる人というのは、極少数なんですよ。

 そもそも、中学校や高校の時から、1人でいても平気なやつが、いわゆるクリエイターとして伸びて行くわけですし。

 そうじゃない人に、こんな事を言ってもしょうがないんですよね。

 なので、言っても無駄だから、最近は、僕も言わないようにしています。


 じゃあ、今日の主題である「友達不要論」とは何なのか?

 林先生やタモリさんや下重さんみたいな “成功者のみが語る弱者を無視した強者の理屈” なのか?
 それとも、友達は本当に不要なのか?


 これを考えるに当たって必要なのは「何をするために不要なのか?」という視点だと思うんですよね。

 なぜかと言うと「必要/不要」というのは、必ず「〇〇をするために~」という主体あっての言葉だからなんですよ。


 「人生のために、友達は必要か? 不必要か?」というふうに拡大解釈するから、大騒ぎになってしまうんです。

 まず、「いろんな生き方があるけれど、自分がこういう生き方をするために、友達は必要か? 不必要か?」というふうに制限しないと、変なことになっちゃうんですね。


 「成功のため」とか、「クリエイターになるため」とか、いろんな言い方があると思うんですけど、そうやって条件を揃えた上で考えないと、ちょっとズレてしまいます。

 しかし、これに対して「違う! 友達の必要/不必要というのは “幸福” のためだ!」と定義した人がいます。

 僕は大好きだけど、なぜか世間ではあんまり人気がない橘玲さんですね。

 彼が去年書いた『幸福の「資本」論』という本の中に、大変面白い指摘があったので、今日はこれをベースに「友達不要論」を考えてみたいと思います。

・・・

 これが『幸福の「資本」論』です。

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 「あなたの未来を決める3つの資本、8つの人生パターン」と表紙に書いてあります。

 この本の中で、橘玲さんは、「幸福であることを条件付けるものは、自由、自己表現、共同体=絆の3つであり、これらはしっかりした土台の上に設計すべし」と書いています。

 つまり、幸福な人生に必要なインフラストラクチャーというのを、“自由”、“自己表現”、“共同体の絆” という3つに定義しているんです。

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 そして、「自由というのは、金融資産の上に建っている。自己表現というのは、人的資本の上に建っている。共同体=絆というのは、社会資本の上に建っている建物である。だから、この土台がユルユルしていると、3つとも実現しない。この3つが自分が幸福になるための条件である」と続けます。


 だからといって、「これらは3つ全てがないと駄目だ」とは言ってないんですよ。

 この辺を注意しなきゃいけないんですけど、「幸福とは、この自由、自己表現、人との繋がりの3つで構成されていて、このどれかが欠けていると “意識すると” 人は不幸を感じる」と言っているんです。

 注意しなければいけないのは「意識したら不幸を感じる」という部分です。

 「欠けたら不幸になる」という意味じゃないんですよ。


 「自由を生み出す金融資産」というのは、つまり、不動産を含めた財産のことです。

 「自己実現を生み出す人的資本」というのは、これは働いてお金を稼ぐ能力だと言っています。


 「人的資本」と聞くと、ついつい「人との繋がりだ」って考えちゃうところなんですけど、橘さんの定義では「稼いで他人から評価を受けることが出来る=それによってお金を稼ぐことが出来る、自分自身が持っている能力」を指して人的資本と呼んでいます。

 これは「自分の個人的資本」と言い換えてもいいですね。

 そして、「人との繋がりを生み出す社会資本」というのは、家族や友達との人間関係だと考えてください。


 この3つの資本の有無の組み合わせによって生まれる8つのパターンがあります。

 つまり、橘さんは、「財産がある/ない」、「金になる能力がある/ない」、「人間関係がある/ない」という、2×2×2の8つのパターンで幸福の形を定義しています。

 そして、それぞれのパターンをピラミッド構造にした図を本の帯に載せるという、なかなかエゲツないことをしてるんですけども(笑)。

・・・

 これが、その8つのパターンです。

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 まずは、「3つの資本を全て持っている」という “超充” 。

 まあ、全てを持ち合わせた、リア充のさらに上を行く超充というパターンです。

 ちなみに、『ウルトラマンエース』に出てくる怪獣のことを “超獣” って言うんですけど(笑)。


 その超充の1つ下には、3つの資本のうち2つを持っているパターンが並びます。

 その1つ目が「財産はないんだけど、稼ぐ能力があって友達もいる」という “リア充” 。

 次に、「財産はあるし友達もいるんだけど、稼ぐ能力がない」という “旦那” 。

 「財産があって稼ぐ能力もあるんだけど、友達がいない」という “金持ち” ですね。


 そして、その下には、3つのうち1つしか持っていないパターンというのが並びます。

 まずは「財産しかない」という “退職者” 。

 次に「稼ぐ能力だけしかない」という “ソロ充” 。

 「友達だけしかない」という “プア充” 。


 そして、一番下は「全て持っていない」という状態の “貧困” 。

 こんなふうに分けています。


 こうやって分けていくと「いやいや、俺はもう “貧困” だよ。なんにも持ってないや」って考える人が多いと思うんですけど。

 橘先生の定義は、わりと正確で精密なんです。

 なので、もう少し話を聞いてから自分の立ち位置を考えてください。


 全て揃った “超充” というのは、この本の中で「現実にはありえない」と書いてあるんですね(笑)。

 そして、「すべて持ってない “貧困” というのも、あんまり考えなくてもいい」と書いてあります。

 つまり、どれか1つでも手に入れられたら、もう上の層に上がれるわけです。


 「超充というのは現実にはありえない。そして、貧困というのは、実は1つでも手に入れられれば、すぐに1段あがれる」というのがわかっていないから、みんな、この2つのパターンに惑わされてしまうんです。

 たとえば「全部揃ってない限り、俺は駄目なんだ」と思ったり、「何もかも持ってないから俺は駄目だ」って思っちゃうんですね。

 そうではなく、「だいたいの人間はですね、この8つのパターンから2つを除外した6つの中に収まるよ」と書いてあります。


 「3つの資本の全てを揃えるのは難しいが、せめて2つを揃えられれば、幸福と言える条件は揃う。では、どうすればこの2つを 揃えることが出来るのか? そして、幸福になれるのか? 3つの資本を解説しながら、その答えを追いかけます」というのが、Amazonに書いてある、この本の紹介文です。

・・・

 では、これをどういうふうに応用するのか?

 この本には「資本と資産の循環」と書いてあります。

 つまり、「持っているものを投資して、別の形にして利益を得るという循環が発生する」と言っているんですね。

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 たとえば、ZOZOTOWNの社長というのがいますよね。

 ……すみません、いちいち名前を覚えてないんですけど。


 ZOZOTOWNの社長というのは、アイドルというか女優さんというか、そういう女の人と付き合ってるんですよ。

 これまた、僕はあんまり興味のない女の子なので、名前をよく覚えてないんですけど。


 なんだっけ?

 なんか『エイリアン コヴェナント』か何かで、ヒロインの吹き替えをやって、やたらと評判が悪かった人ですよね。

 ……あ、剛力さんだ。下の名前は覚えてないです。


 この本での解説に照らし合わせると、「ZOZOTOWNの社長は、金と地位を使って、見事、剛力さんと付き合っている」ということになります。

 つまり、“金融資産” で得たお金で、たとえば「プライベートジェットを使ってロシアに行くデートをする」みたいに、お金を稼ぐ能力= “人的資産” をアピールして、男らしさを見せつけて、「アイドルとお付き合いする」という人間関係= “社会資本” を手に入れている。

 自分が持っている資産を使って、別の形の資産を手に入れることをしている。

 「足りない部分を、持っている資産を投資することで手に入れる」ということがこの考え方の面白いところです。


 要するに、「人的資産しか持っていないから駄目」というのではなく、「人的資産を投資することによって、社会資産にしたり金融資産にすることが出来る」というのが、この『幸福の「資本」論』という本の考え方のベースになっているんです。

 この本は、ものすごく面白いので、そのうち、ちゃんと紹介したいと思うんですけども。

 今夜は、「友達不要論」に関係している部分だけに限って、ちょっとだけ紹介します。

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