8月10日に金曜ロードショーで『ハウルの動く城』をやったんですけども、その前の週と、前の前の週は、細田守 祭りだったんです。
細田監督の『時をかける少女』と『バケモノの子』っていうのを、2連続でやっていました。
元々『ハウルの動く城』っていうのは、細田監督が初監督作品としてジブリでやるはずだったんですよね。
それで細田版のコンテというのが いくつか残っていてですね。
『ハウルの動く城』と、スタジオジブリのコンテに書いてありましてね。
「Aパート」って書いてあるんですけども。
ここがね、よく分からない所なんですけども、絵コンテの ほとんど、3分の2ぐらい完成したところでですね、本人が言うには下ろされたと。
宮崎駿が言うには「スタッフが勝手に逃げだした」と「解散しやがった」と。
それで鈴木さんは、そこら辺は言葉を濁すっていうですね、何かこう、分かんないような感じになっています。
それで、僕はやっぱり「どんな内容なのか?」だけ興味があったので。
細田版の『ハウル』っていうのがですね。
それで残っているコンテとかを引き伸ばしてみると、舞台が現代になってるんですね。
現代の車が、ソフィーの店の前に止まっていてですね。
それでコンテの下側二つのコマを見てみるとですね、ソフィーが眼鏡っ娘なんですね。
それで仕事をしている最中はメガネをかけて、あれこれ自分の生き方に悩んでるみたいな描写があるんですけども。
これはこれで悪くないというか、「案外、現代にした方が面白かったかもしれないな」ってふうに思うんですよね。
僕はメルマガの予告とかで「『ハウルの動く城』はジブリ初の敗戦処理」って書いたんですけども、それは何でかっていうと、ハウルはヨーロッパでは受けが悪かったんですよ(笑)。
実を言うと、フランスで『千と千尋の神隠し』を中心とした ものすごい美術展をやって、それには人がウワーッと入った。
その時に『ハウルの動く城』の宣伝をやって初公開をしたんですけども。
ところがその『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』の大評判にくらべて、『ハウルの動く城』っていうのはフランス・ヨーロッパでやや受けが悪かった。
まぁ、“やや” なんですけどね。
その理由っていうのが、何なのかっていうと「何で日本の事をやってくれないんだ?」と。
「ハヤオ・ミヤザキの作品は今の日本を見るのに凄く良いのに、何でこんなヨーロッパのモノマネの世界っていうのをやるんだ!?」っていうふうに言われてですね。
その事が、宮崎さんはやたら悔しかったらしくてですね。
でも細田版を見てみると、ちゃんと現代の世界になってるんですね。
だから、そこらへんも細田さんがやっていたら違っていたのかなと思います。
宮崎さん自身も、ヨーロッパでやることに実は凄い迷いがあったと。
たとえば一番最初にソフィーって女の子の主人公が街に行くんですね。
それで街に行くときに、どう歩かせるべきかと。
実は当時の、19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパの女の人っていうのは、絶対に肩も腕も動かさなかったと。
歩くときに、下半身だけ動かして歩くんですよね。
でも、それをすると何かツンと構えたような感じになっちゃうので、悩んだ末、やっぱりソフィーは普通に今の日本人みたいに手を両手を動かして歩くようにした。
すると、やっぱりそこらへんも色々と言われる事になったというので、宮崎さんは悔しかったそうですけどね(笑)。
だから、この細田版のハウルもですね、せめてコンテ集を出して欲しいんですけども、もうジブリは徹底的に封印するみたいですね(笑)。
出てこないですねぇ。
だからもう次のチャンスは、宮崎駿が死んだときに何が出てくるかで。
最後のチャンスは、鈴木敏夫が死んだときに何が出てくるかっていうのがあると思うんですけども(笑)。
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